【イベントレポ】小嶋陽菜と考えるこれからの時代を牽引するブランドの築き方【IWS#5】
先月末から急に忙しくなり、最後のイベントレポートを更新できていなかった……
そして最後のセッションは、今まで以上にレポートとしてまとめるのに時間がかかってしまいそうだ。
私が思い描いていたアイドルのこじはるさんとはまったく違う、これからの日本を引っ張っていくリーダーとしての小嶋陽菜さんに出会ったからだ。
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太くしっかりとした軸を地に据え、組織のトップに立つ自らが誰よりもブランドを愛し、先陣を切る。
若き女性リーダーの美しくしなやかな生き様から目を離せなかった。
熱狂的ファンクラブの共創
最後のトークセッションのゲストは、株式会社heart relation代表取締役CCOの小嶋陽菜さん。
2017年にアイドルグループAKB48を卒業し、その翌年にライフスタイルブランド「Herlipto」を立ち上げた。
私の抱く小嶋陽菜さんのイメージは、いわゆるこじはるちゃん。
AKB48の神セブンとして一斉を風靡し、ふんわりした独特の雰囲気でたくさんのファンを魅了する。
ペンライトの輝くコンサート会場ではなく、学びを得るために大勢がペンとノートを手に座るこのような場でこじはるちゃんの姿を目にすることになるとは、思いがけなかった。
★Herlipto誕生の裏側
グループを卒業したものの、卒業後の夢ややりたいことは思い描いてはいなかったという小嶋さん。
13年という月日をアイドルとして生きてきたが、自分はこの先何をしていくのか、自分が本当に好きなものはなんなのか。
海外へ飛び出し、さまざまな国を旅する中で、これまでの自分を支えれくれたファンとの深い交流を、小嶋さんが大好きなファッションというファクターで実現しようと考えた。
ファッションを手がけるまでには、紆余曲折もあったという。
アパレルブランドについても、当初は好きなデザインを少しだけ作って小さく販売するようなビジョンを描いており、大きなビジネスとして成長させるつもりもなかった。
しかしファンからの熱量、顧客の期待に応えるような形でブランド化し、組織づくりにも注力するようになったという。
当初は想定していなかったビジネスへの挑戦。
小さく進むことが許され、支えられる今の世だからこそ、失敗を恐れずに飛び込むことができると、小嶋さんは語った。
★アイドルから経営者へ
アイドルとしての人生は、経営者としての日々にどのような影響をもたらしたのか。
畑違いのように思われる二者だが、アイドル時代に身につけた発信力や、ファンとの心地よいコミュニケーションの取り方など、小嶋さんはブランド運営に大いに役立てたという。
とはいえまったく未知なる世界での新しい経験。
これまでに築いた人とのつながりを頼りにさまざまなアドバイスも受け、やりながら学び形にしていった。
全ての根源は、「自分の好きな世界観を、ファンの方に楽しんでもらいたい」その一心だった。
アイドル時代は、とにかく与えられた仕事を全力でこなし、いい形で返すことだけに努めてきた。
目の前のことを必死で頑張って、経験を積み重ねる日々。
13年のキャリアで築き上げられたAKB48のこじはるちゃんという立場から離れ、まったく新しい分野へのチャレンジとインプットに向き合う。
積み上げてきた功績への未練、執着がない潔さもまた、私が今まで描いていた小嶋さんのイメージと異なっていて、そのかっこよさにぎゅっと心を掴まれた。
頑固な人は大きく成長しにくい。
自己変革が大切であり、自分に飽きずにいられることが大切だと、AKBグループの生みの親秋元康さんの言葉を借りて自身の思いを語った。
★世界観づくりに込めた思い
EC販売を中心に拡大してきたHerlipto。
時間の経過とともに、ECだけでは伝わらないリアルの大切さ、ブランドそのものを直接体験できる場所の必要性を実感するようになり、表参道へ初のコンセプトストア「House of Herme」を出店。
家具、インテリアのすべてを小嶋さん自身が選び、世界各国から思い描く世界観にぴったりな品々を集めた。
インターネットでの販売を行なっていないローカルなアイテムも、SNSを通じて直接店主に連絡して交渉を試みた。
House of Hermeは、いわば小嶋さんのお城のようなもの。
リアル店舗へも、自身の目で見てきたさまざまな「スキ」をふんだんに詰め込み、本物を集めることにこだわり抜いたという。
小嶋さんの挑戦はまだまだ止まらない。
2022年11月にリリースしたばかりのランジェリーブランド「ROSIER by Her lip to」に込めた「女性らしさを選ぶ」というメッセージ。
多様性の認められる時代だからこそ、さまざまな女性らしさの選択を全力で肯定したいという思いから、小嶋さん自らがコンセプトを決めた。
絶対に妥協しない。
クオリティにこだわって、時間をかけても自らの成し遂げたい世界観を作り上げる。
無理に期限を設けず、柔軟な気持ちで多くの困難を乗り越えたと話す小嶋さんの笑顔は、いつもおおらかな中にも自分の信念を曲げることがなかったアイドル時代の顔も覗かせていた。
★熱狂的ファンコミュニティの作り方
ブランドスタート当初から、すでに熱狂的なファンの支持を獲得してきたHerliptoだが、なかでも興味深いのはファンが自主的にブランドを中心にコミュニティを形成してきたという事実。
Twitterやインスタグラムでは「#herlipto好きな人と繋がりたい」といったハッシュタグが生まれ、ファン同士がブランドを中心につながりあっているという。
Herliptoがこんなにも多くのファンを魅了するのか。
その背景には、小嶋さんがファンに向けていつも仕掛けているサプライズがありそうだ。
サイトで商品を見つけたとき以上に、商品が届いたときに気分があがるサプライズをと考えた結果、商品と一緒にブランドの世界観をふんだんに投影させたハンガーを同封するようにしたという小嶋さん。
自宅でもHerliptoの魅力を味わってほしい、Herliptoの世界観を自宅でも形作るために、もっと揃えたいと思ってほしい。
そんな小嶋さんの素敵な仕掛けは、今も世界のファンに届いている。
★Herliptoと、小嶋陽菜のこれから
今後のブランドの展望としては、現在手がけていることを継続させ、拡大に注力していきたいと小嶋さんは語る。
ここ最近ではアジアへの拡販、主に中国地域への力を注いでおり、世界中のファンへご自身の思いを届けたいという。
そして顧客の期待に応えるには、いい組織づくりが何よりも大切。
2022年2月には経営体制を刷新し、新たなるスタートを切った。
経営者という立場ではあるものの、誰よりも先頭に立ち、働くことを楽しんでいる姿を組織メンバーにも見せていきたいと話す小嶋さん。
ブランドを自分自身が体現し、こよなく愛する。
そのためにも自分磨きを怠ることはしないし、輝き続けていたいという。
そしてリーダーとしてビジョンを語ったときに、「この人と一緒に働いていたい!」とメンバーが同じ熱量でついて生きてくれると、自身の哲学を語った。
個人としての人生は、まだ思い描けないという。
アイドルとしても、経営者・デザイナーとしても、自身の人生全てをコンテンツにして仕事と生きてきた小嶋さんの人生。
これまでの信念は変えることなく、目の前の目標に真摯に向き合い、自分自身を柔軟に捉えながら軽やかに生きていく。
甘く柔らかな笑顔で、自身のこれからに思いを馳せる小嶋さんの姿があった。
人生の手綱を握って生きていく
#IWS の登壇者が発表された瞬間に会場予約をした理由は、こじはるちゃんに会いたかったからというなんともミーハーなものだった。
これまでアーティストのライブや芸能人との交流イベントなんかとも疎遠な人生だった私だが、学びを理由にテレビにもバンバン出演している超有名なこじはるちゃんに会えるのめっちゃいいじゃ〜ん!なんて軽率な考えを抱いていた。
しかし冒頭でも述べた通り、私の思い描いていたイメージのこじはるちゃんはそこにはいなかった。
私があまりにも浅はかだったのだ。
小嶋さんは今も昔も、生き方を変えていない。
人生をどう生きるか、自分自身で切り開いた道を懸命に歩んできた結果が、アイドルとしての歴史であり、経営者としての功績であり、多くのファンに愛され続ける小嶋陽菜さんたる所以なのだ。
私もこの人みたいになりたい。
トークセッション中、ふとこんなことを軽々しくも思った。
これまでの自分であったら、雲も上の存在だから、私とは住む世界の違う人だから、と言い訳をつけて、情報のインプットに留めておいたことだろう。
でも今回は違った。
頭ではなく、心が動いたのだ。
自分がどう生きるかを自分で決め、実行に移す自分でありたい。
「どうせ自分にはできない」「私なんか無理」と決めつけて、あきらめてはいじけていた人生と訣別し、今からでも自分を変えられると、なんの根拠もなしにそう思えた。
不安を飲み込んでしまうくらい、圧倒的な自信が心の奥底から湧き出してきたのだ。
小嶋さんのお話や、過去4セッションのゲストスピーカー、そしてこのような場所を用意してくれた #SHElikes には、とにかく感謝の思いを伝えたい。
私は今現在、何者でもない。
これから先も、何者にもなれないかもしれない。
でもやがてこの命がつき、ゆっくりと目を閉じるとき、「私としてこの世に生まれてよかった」と穏やかな心でそう思える人生にしたい。
幸いなことに、私には夢がある。
起業につながるものなのか、まだわからない。
もちろん叶わない可能性だってある。
でも今無性にワクワクしているし、熱狂できる準備はとっくにできていた。
できることから真摯に向き合って、自分自身の人生に手綱を握って生きていく。
私だけでなく、IWSの参加者全員がそう決意したはずだ。
一人一人の個が集まり作られていく社会。
IWSは、その社会を大きく前進させるきっかけになるイベントだった。
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