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当たり前なんて世界のどこにも存在しないことを、知ったのはいつの頃か。
「家族」というのは最も身近な「他人」である、という言葉を本か何かで読んだのは、中学生の時だった。
ああ、結局は他人なんだ。父も母も弟も。
家という建物の中は、何がおきているか他人には分からない。
外からは何も見えない。
どれだけ嫌だと泣いても。
朝が来ることが怖くて、眠れず苦しくても。
助けてくれる人なんて来ない。
それでも誰かを頼りたかったし、まだまだ誰かに甘えたかった、あの頃。
家族との接し方に悩んでいた私は、強い衝撃を受けた。
「身近な他人」である家族が気にもとめない事を、家の外側にいる、血の繋がりも何もない他人が気付いてくれる日は、来ないと。
その言葉を知ってから静かに、諦めと寂しさを噛み締めた事を、昨日の出来事のように思い出せる。
◇
普通、常識、当たり前…そんな風に初めから、決めつけるように接される事が、私は苦手だ。
今日、今この瞬間に至るまで、全く別の人生を歩んできているのだから、相手と自分は根本的に違う人間なのだと。
自分以外の人はみんな、それぞれ異なる価値観を持った、違う人間なのだと…言葉を発する前に数秒でいいから、少しだけ考えてみて欲しい。
貴方の当たり前は、他人からみたら非常識かもしれない。
それが普通でしょう?って、会話の中でよく聞くけれど。
普通じゃない事は、何かいけない事なの?
貴方の思う「当たり前」とか「普通」から外れて生きている人は、きっと貴方が考える想像以上に多いと思うんだ。
◇
私はね、普通になりたかった。ずっと。
某国民的アニメの世界の、恵まれた家庭に生きてみたかった。
けれどもう過ぎた時間は戻らない。
たら、れば、なんて言ってらんない。
だから今までの全部を糧にして笑って生きていくの。
これは、宣言。
◇
愛してくれる、誰より大切な彼女の為に。
死にたくなるような眠れない夜を耐えて、浅い眠りを遮る朝日に眉を顰めながら、今日も私は呼吸する。
雨上がりの水たまりを踏んで。
過去に負けず今この瞬間を、幸せに過ごす為に。
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