kindleの便利さと書店が売るもの

自分でも「いまさら」感が否めないが、kindleの活用のしやすさを知った。

kindle(電子書籍)がなぜビジネスパーソンにうけていて、電子書籍のジャンルでビジネス書が上位なのか自分なりに分かった気がする。

kindleはとにかく「機能」が使いやすい。
色々あるけれど、衝撃だったのが

・マーカーがひけること。(しかも4色!)
・マーカー部分をファイリングでき、一目でみれること。
・わからない単語を、長押しだけで「辞書」「Wikipedia」「翻訳」にアクセスできること。

紙の本では面倒な操作がこれだけでできる。
スキルや考え方などを得たい為にビジネス書を読むのだから、あとでマーカーを色分けした部分をファイリングできるのは本当に便利だと感じた。

今までビジネス書も「紙派」だった私も、この機能を知ったことにより「電子派」に移行するだろう。

読みたい本は山ほどあるが、本棚のスペースはもうない。本棚は実用書のためにとっておこう。
(なぜ実用書かは割愛)

そこで、書店の意味を考えた。
電子書籍を買うとなると、書店の売上が下がる。
業界人のはしくれとしては、書店を応援したい。

書店の売上が下がる一方の出版業界だが、読者の立場から考えると、こんなに便利な機能でコンテンツを読めるなら、もう紙媒体に依存するメリットはない。
紙の本をわざわざ買う必要はない。

では、書店で本を買う人がいなくなるのでは?
ビジネス書でいうとそうだろう。

そこで書店は何を売ったらいいのか考えた。
それは、書店員が目利きで選んだ「本を提案する空間=ショーウィンドウ」を価値にして売れば良いのではないかと。

ネットでは、目的の本があれば迷わず検索してアクセスできるが、「目的の本がないけど何か読みたい」という場合は非常に探しにくい。
いまの自分が欲している本や新しい発見を与えてくれる「本との出会い」はなかなか少ない。

一方書店に行くと「読んでみたい」と思う本がたくさんある。
装丁がきれいで読んでみたいと感じたり、ポップを見て読んでみたいと思ったり。
買うつもりはなくふらっと書店に入ったのに、出るときには買っていた、ということも少なくない。

それは、書店の大きな価値なのではないだろうか。

六本木にある『文喫』では、入場料を払って書店に入る。ドリンクが無料で飲めて、本も読み放題。さらに本の購入もできる。

入場料は決して安くないが、本との出会いを求めて来店する人が多く好調だと聞く。

本が売れないこの時代。
コンテンツをkindleが最大限に読ませてくれるこの時代。

書店は「本」ではなく、書店そのものの「価値」を売るのはどうか。今は無料で提供してくれてるが、本の売り場というのは、本当は売り物になる、本との出会いという「価値」なのではないだろうか。

さすがに文芸書が買える値段は支払えないが、ワンコインであたらしい出会いが出来るなら、書店に気軽に支払ってしまう気がする。
しかも、せっかく来たんだからとその場でも買ってしまう気がする。

ITの進歩には勝てない。
だからこそ、ITにはできない価値を売る必要がある。

数百円でも入場料をとれば、それは書店員のモチベーションに繋がり、新刊や売れ筋だけでなく、もっと面白い本に出会わせてくれるかもしれない。
もっと書店のある価値を全面に押し出してほしい。

ネットなんかに負けないで、書店。