見出し画像

親が毒親だと婚活はガチでキツイ

東京と兵庫にある結婚相談所、
結婚物語。の仲人Tです。

当たり前ですが、結婚相談所では、全員が結婚できるわけではありません。

私たちの力及ばず、誰ともご縁がないまま退会される方もいらっしゃいます。

「じゃあ、結婚できる人とできない人は何が違うのだろう?」
そう所長に聞いてみたら、一言でバッサリ切られました。

「それはね、ズバリ、親やな。」


わ、わ、私もそう思ってたーーー!!

「やれやれ、責任転嫁かよ。30過ぎた大人が結婚できないのを親のせいにするなよ。」うんそういう意見があるのは重々承知だぜ!ただ一つ言わせてくれ!

そばにいる人の影響って、結構バカになりませんからーーーー!!

学校でも「あの先生のせいで数学が嫌いになった」とか仕事でも「あの上司について一気に成長した」とかあるやん!短期間でもあるやん!

親って、ずっとそばにおるやん!?
めっちゃそばにおるやん!?
1年どころちゃうやん!?!?

最低でも18年はそばにおるやん!実家暮らしの人とか下手したら40年とかそばにいるよ!青山テルマと同じくらいそばにいるよ!

逆に聞きたいわ!そんなにそばにいて親の影響受けへんとか、あり得る?

あくまで私個人の感覚ですが、婚活を長年頑張っているのに結婚が決まらない男女は、親御さんに何かしら問題があることが多い気がします。

例えば、両親の仲が悪くて親から結婚の辛さばかり聞かされていると、心の奥底では、結婚したら不幸になるのでは?と思っていたりする。そうなると本当は結婚したくないから、お相手の欠点を次々に見つけては、結婚しない理由を探してしまう。

親が浪費家でお金で苦労してきた方は、どうしても年収にこだわってしまう。年収が低くても幸せに暮らしている夫婦は山ほどいるのに、「お金がなければ幸せになれない!」と思い込んでしまう。

親に厳しく育てられてきた方は、お相手の小さな欠点も許せない。「普通はこうでしょう?普通なら気配りするでしょう?私はそうしないと親に怒られてきたのに!」と怒りを感じてしまう。

いざ交際が始まっても、感情のコントロールができなかったり、相手に合わせて言いたいことを我慢してしまったり、自分が愛されるはずはないと相手を信じられなかったり。


だいぶ前のことですが、あるお母様が、30になるかならないかの娘さんを、当社に無理やり連れて来られました。(身バレ防止のため多少フェイクを入れています。)


お母様はシングルマザーで、見るからにキツそうな顔立ち。

娘さんは薬剤師をされており、知的で真面目そうな方。若いのに、おばさんが着るような体のラインが隠れる地味な服を着ていらっしゃいました。

「ほんとにうちの娘ときたら、昔から勉強だけはできたんですけどご覧の通りブスでしょう?こんなにブスだからこの歳になって結婚もできなくて私も近所の方に恥ずかしくって。この子ったら、将来どうするのか聞いても一人でも生きていけるようにちゃんと貯金してるとか、そんなことばっかり言うんです。私も心配で。結婚物語なら評判もすごくイイから、こんなブスでも結婚相手が見つかるんじゃないかしらと思って連れてきたんですよ!どうですか?こんなブスでも結婚できますか?」

聞いていた所長は、ブスがゲシュタルト崩壊しました。

っていうかお母さん今ブスって何回言った?まさかと思うけどずっとそんなテンションで子育てしてきたん?純粋な子供時代も多感な思春期も病める時も健やかなる時もいついかなる時も娘さんにブスブス言い続けてきたん?マジで?

あと、勉強だけはって何じゃい!勉強できるのはすごい事やろが!薬剤師って手に職までつけて、ちゃんと稼いでまだ30やのに将来のこと考えて貯金してるって相当ちゃんとしとるやないか!むしろ褒め称えろ娘を!

だいたい近所の方に恥ずかしいってなんやねん!自分の見栄のために婚活させるんかい!そもそも結婚が全てじゃないし、このご時世1人で生きていったって全然いいやろ!

一生懸命に頑張って生きてる娘を、結婚してないだけで人としてダメみたいな言い方すなーーーーッ!!

「分かりました。お嬢さんにふさわしい方をお探ししますね。」

所長はメラメラ燃えてきました。

こんなお母さんと同居しているせいで、頑張って生きている娘さんは毎日メンタルをゴリゴリに削られている。

もっと彼女の良さを分かってくれる人を見つけ出して、うつむいている彼女を笑顔にしてあげたい!


ところが、彼女の婚活には、プロフィールを作る段階で、すでに暗雲が立ち込めていたのです。

所長は彼女に、写真は白か柔らかい色の服を着てくださいと勧めました。1番誰でも美人に見えるのは白だけど、当然白の服を選ぶ人は多い。サイト上にずらっと写真が並ぶ中で差別化するなら、ピンクやブルーやラベンダーを着ると目立てます。派手になりすぎなければ赤もイイ。そう伝えると、彼女も頷きました。


それなのに、彼女が撮ってきた写真は、まさかの真っ黒のワンピース!

く、黒て!喪か!喪に服しとんのか!コナンの犯人をリスペクトしとるんか!


彼女は憔悴した表情で言いました。
「ピンクのワンピースを買ったのですが、母が、体のラインが出るし派手で下品だからとこれを買ってきまして…。そこまでして男に媚びたいのか!と言われて…。」

所長は何も言えず、その写真を使うしかありませんでした。



「そんなの、何を言われようが好きな服を着ればイイじゃない!」と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、そういうことが言える方は、幸せな方です。
本物の毒親がどんなものか、ご存知ないのです。


彼らは、少しずつ少しずつ、反抗心を削り取り、子供を洗脳していきます。

お前はダメな人間だ。
親の言うことが正しいのだ。
親に逆らってはならない。
親の望む人間になりなさい。


見る番組、着る服、進路、恋愛。

親の影響を全く受けない子供など、この世のどこにもいません。


お母さんはどう思うだろう?
お母さんに相談しなくちゃ。
お母さんは怒るかな?


そうやって親の望み通り生きているうちに、

【本当は、自分はどうしたかったのか?】

子供には、どんどん分からなくなってくるのです。

所長は、長年婚活に携わってきて、毒親の怖さを知っていました。


不幸中の幸いでしたが、ヘアメイクを頼んでいたおかげで、お顔は華やかに見えました。地味に見えた彼女は、化粧をしたらとてもかわいかったのです!

所長は彼女のメイクを褒めちぎり、とても可愛いですよと口を酸っぱくして伝えました。彼女も綺麗に撮れた写真がとても嬉しかったのか、それからお母さんに隠れてメイクの練習をするようになりました。

黒のワンピースは微妙でしたが、30歳の彼女にはわりと申込が入りました。高望みでも無かったため(条件は年収300万以上と、10歳上までのみ!)お見合い自体はいくらでも組めそうでした。

しかし、またしても、奴が姿を現したのです。

「年収が低いわね。やめときなさい。」
「お父様が高卒ですって。育ちが悪いんじゃないかしら?」
「何だかパッとしない顔ね。背も低いしお母さんこんな人嫌だわ。」

入会してすぐは1番申し込みが殺到する時期です。それなのに、せっかく申し込んでくれた男性のほとんどを、お母さんが断ってしまったのです!

所長は当然お母さんに電話をし、苦言を呈しました。

ところがお母さんは謝るどころか「娘のためを思ってやってるんです!あの子が変な男に捕まらないように!」と自分の行いを正当化してきたのです!

「結婚するのはお母さんではなくて、娘さんなんです!娘さんの意思を尊重してください!次はありませんよ!」

マジギレの所長の勢いに押され、それからお母さんが勝手に断ることはなくなりました。

娘さんはもともと控えめで優しい性格。接客もしているので、初対面の人と話すのも苦ではありません。3回ほどお見合いして、気の合う方が出てきました。

お母さんは「気が弱そうだし大学もレベルが低いし田舎に住んでいるし!」と気に入りませんでしたが、とてもおっとりした、穏やかな癒し系の男性でした。

彼はいつも「どこに行きたい?」「何が食べたい?」と聞いてくれ、彼女のしたい事をさせてくれました。

あれが食べたい。
あそこに行きたい。
疲れたから休みたい。
喉が渇いたからお茶したい。

彼といると、遠慮せずに自分の気持ちを言える気がしました。

地元で会うとお母さんに乱入される恐れがあるので、お休みの日は早起きしてお弁当を作り、電車に揺られて彼に会いにいく。公園で一緒にお弁当を食べ、散歩しながらベビーカーに乗っている赤ちゃんに2人で手を振る。

彼女は穏やかな時間を満喫していました。

お母さんはやれ娘ばっかり呼びつけてこっちに来ないだの仕事が大変なのに早起きしてお弁当を作っている娘が可愛そうだの、当社にぐちぐち電話をしてきましたが、所長はスルーしていました。


順調に話は進みましたが、これで決まりか?と思われた瞬間、

お母さんが、とんでもない事を言いだしたのです!

「娘が心配だから、私もあんたたちの家のそばにマンションを借りて住む。そこに住むお金は、全部彼が出せ!!」


その頃には、所長も気づいていました。

お母さんは、いつまでも、娘を支配していたいのだと。

近所への見栄のため婚活をさせましたが、娘が実際に結婚するのは許せない。

自分は変な男と結婚してあんなに苦労したのに、娘は自分と違って幸せになろうとしている。

本心から娘が心配でそばに住みたい訳ではありません。無理難題をふっかけ、結婚を壊したいのです。

娘さんは泣きながら、彼にそんなことは頼めないと言いましたが、お母さんは頑として耳を貸しませんでした。

「女手ひとつで育ててやった恩を忘れたのか!アンタを育てるのにどれほど苦労したか!アンタが生まれたせいで、私の人生は台無しだ!今まで私を苦しめてきたくせに、私の言うことが聞けないのか!」


娘さんの話を聞いた所長は、自分が殺る説得するしかないと思いました。

所長は、事務所に、お母さんと娘さんを呼び出しました。

臨戦態勢バリバリで待っていた所長。

しかし、すでに遅かった。

事務所にやってきた娘さんの目には、全く光がありませんでした。

お母さんは意気揚々と所長に言いました。

「今まで、本当にありがとうございました!やっぱり、この子に結婚なんて向いてないと思うんです。この子も、彼とは別れたいと言っているので、今日は退会手続きに来たんです。」

所長は驚いて娘さんの顔を見ましたが、娘さんはすでに戦意を喪失したのか、所長と目を合わせることすらしませんでした。

「そんな!あんなにうまくいっていたのに!あなたはそれでいいんですか!?」

彼女に問い正そうとする所長の前に、お母さんが立ちはだかりました。

「娘がそれで良いって言ってるんです!もともと、この子は結婚なんてしたくなかったんです。それにこんな暗い性格で結婚なんかしたって、絶対にうまくいくわけないんですから!」

所長は、あまりの怒りに体が震えました。

「結婚がうまくいかなかったのは、あなたでしょう!娘さんを結婚させたくないのも、あなたでしょう!娘さんは暗い性格なんかじゃない!謙虚で真面目で、人を思いやれる女性なんです!そうでなければ、あなたなんかとっくの昔に見捨てて彼の所に行ってる!こんな、ひどい親でも、見捨てられない優しい女性なんです!」

お母さんは顔を真っ赤にして、机の上の書類を投げつけました。

「帰るよ!早く!」

お母さんに手を引かれ、娘さんはよろよろと立ち上がりました。

所長は娘さんに叫びました。

「〇〇さん!お母さんはいつか死ぬんです!その時、あなたは今日のことを後悔しないんですか!?結婚するのは、お母さんじゃない!あなたなんだ!!お母さんの結婚が不幸でも、あなたは、結婚して幸せになっていいんだ!!あなたの人生なんだ!あなたは、あなたの好きなように生きていいんだ!」

バタンと大きな音を立て、事務所のドアが閉まりました。

結局、彼女をお母さんから救い出すことはできなかった。
所長は、悔しくて悔しくて、机にこぶしを叩きつけました。

しかし、その日の晩のことです。
帰宅したお母さんは、プリプリ怒りながら所長の悪口を言い始めました。

「ほんとに、あんな所に行ったのが間違いだったわ!アンタはこれからも、私の言うことを聞いてればいいんだからね!」

彼女は、何も言わず、うなだれてお母さんの話を聞いていました。

私はあなたのためを思って言ってるのよと念押しするお母さん。

その言葉を聞いて、彼女はふと思ったそうです。

私の言うことを聞いていればいいと言い張るお母さんと、あなたの人生はあなたのものだと必死で叫んだ所長。

果たして、本当に自分のためを思っているのは、どちらなのか?



その時、彼女の胸に、今までに感じたことがない激しい怒りが湧いてきました。

彼女はお母さんを無視して、片っ端から私物をゴミ袋に捨て始めました。お母さんは動揺し、何をしているのかと聞いて来ました。

「結婚して引っ越したら使わないものを捨てていこうと思って。」

ポカンと口を開けたお母さんを見て、彼女は急にバカらしくなったそうです。

そうだ、苅谷さんの言う通りだ!
どうして今まで、お母さんの言う通りにしないとダメだなんて思っていたんだろう!
私は、私のやりたいようにやればいいんだ!

もちろん、彼との結婚がうまくいくとは限らない。私はすぐに物事を悪い方に取る癖があるし、自分の意見を言うのが苦手だし、もしかしたら将来お母さんみたいに子供に当たってしまうかもしれない。

でも、どっちにしたって、結婚がうまくいくかどうかを決めるのは、お母さんじゃなくて、私なんだ!

お母さんはギャイギャイ騒ぎましたが、彼女はもう怖くありませんでした。

だって、私の人生に責任を取るのは、私なんだから。
私は、幸せになるんだ!!

彼女から「彼と結婚します!」と電話がかかってきて、所長は目を白黒させました。彼も事情を知っていたので、あっという間に引っ越しと入籍が終わってしまいました。

彼女はついに、人生を、お母さんから自分の手に取り戻したのです!

当然、お母さんは激怒しました。

家に招待されても、あの子が謝らない限り、絶対に行ってやるものか!と、へそを曲げていたお母さんですが、家に呼ばれるどころか、娘さんが電話すら着信拒否にしていることに気づき、オロオロし始めました。

別人のようにショボくれてしまったお母さんは、時々泣きながら所長に電話をかけてきました。

「私は、私は、娘のためを思って!もう、娘は、一生、私に会ってくれないかもしれない!もう、死にたい!」

所長はやっぱりスルーしていましたが、とりあえず自殺は止めてあげました。

なぜなら、娘さんから、こう言われていたからです。

「苅谷さん、私、妊娠したんですよ!子供が生まれたら、仕方ないからお母さんにも会わせてあげようかな。まあ、万が一、うちの子の顔をけなしたら、二度とうちの敷居は跨がせませんけどね!」と。



今婚活で苦戦している、毒親育ちの皆様。

あなたの親が結婚して不幸だったからといって、あなたの結婚まで不幸になるなんてことは、決して、決してありません!

なぜなら、あなたとあなたの親は、違う人間なのだから!

あなたはお母さんではないし、彼もあなたのお父さんではないのです。


あなたの人生の主人公は、他でもない、あなたなのです。

親のように失敗したくないからと、相手の欠点ばかり目を皿のようにして探す日々は卒業しましょう。

おそれずに、足を踏み出して下さい。
私は幸せになる!と決めて下さい。



あなたがずっと欲しくてたまらなかった、幸せな、愛にあふれた普通の家庭。

それは、確かにあなたの親からは与えてもらえなかった。


でも、落ち込まなくていいのです。

なぜなら、

あなたがずっと憧れていた、
愛にあふれるその家庭は、

あなたさえその気になれば、
これからいくらでも作れるのだから。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

こちらの成婚談が漫画になりました!
ここから無料で読めます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?