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コネコビト

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コネコビトのお話。
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#小説

コネコとシイナさんとお盆の話7:思い出の焼き鳥

コネコとシイナさんとお盆の話7:思い出の焼き鳥

MK(モンスターきゅうり)送迎に、ある日何本もの新入りきゅうりが加入しました。何故か妖精の粉がかかって、飛べるようになったというのです。どれも曲がりの少ない良いきゅうり。だけれど……。
「ちょっと塩味ですよね?」
「はい」
秘伝の液に一晩浸かっていたそうです。
「ぱりぱりですよ」

人気の高い胡瓜の馬は早々に予約が埋まってしまったので、今年はズッキーニで帰ることにした。黄色だと更に安かった。

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コネコとシイナさんとお盆の話6:花火とご先祖様

コネコとシイナさんとお盆の話6:花火とご先祖様

慌ただしかった今年のお盆も、今日が送り火だそうです。
「フィナーレにゃ。花火なのにゃ」
コネコが見に行きたいというので、日が暮れるのに合わせて歩いていくことにします。毎年音だけは聞いていたけど、見にいくのは初めて。
「川の向こうで上がるのにゃ」
「コンビニでビール買っていい?」  
「シイナさんは、迎え火といえばビール、お祭りでもビール、花火でもビールですにゃあ」
コネコが文句を言うので、レジ横で

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コネコとシイナさんとお盆の話5:むかしと今

コネコとシイナさんとお盆の話5:むかしと今

「きうり、帰っちゃったのかにゃ…」
一抹の寂しさを覚えて、コネコはふたたび魚屋のおばあちゃんの家に向かいます。この前と同じように、シャッターの横の細い階段を昇ります。  
「コネコちゃん、よく来たねえ」
今日出迎えてくれたのは、生きている方のおばあちゃんです。
「今日はスイカあるわよ」
「にゃにゃ? もうひとりのおばあちゃんはどこにゃ? 帰っちゃったにゃ?」
「まだうちにいるよ」
がらり、と押し入

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