母親のことを「ヤバすぎるでしょ」と言われた日のこと
婚活イベントで知り合った方(以下Kさん)と食事をしていたとき、理想の家庭ってどんな感じ?という話になった。
私は「たくさん会話があって、コミュニケーションがとれる家庭」と答えた。なぜなら、私は会話のない家で育ったから。親から関心を持たれないことが寂しかったし、苦しかった。とても心が安らぐような家庭ではなかった。
「だから、話しやすいと思う人と結婚したいです」と続けて言った。具体例として、どうしても無理な人の特徴を挙げた。
「質問しても答えない。20秒くらい待つと答えてくれるけど、コメントが薄い。」
Kさんがすかさず言った。「それはヤバすぎるでしょ!」
私は言った。「ですよね!」
それは、まさに私の母親の特徴だった。
母親は私の質問に答えないことがよくあった。だから、世間話すら成立しなかった。唯一答えてくれる質問が、「今日お昼なに食べた?」だった。
私は毎日のように母親のお昼ご飯を聞いた。母の職場の食堂のメニューなんか興味ない。ただ、母と話がしたかったのだ。
私にとっては毒親だけど、ご飯をあげなかったり、暴力を振るったりといった分かりやすい虐待がないから、世間的には「まぁ普通」と言われてしまうのだろう、と思っていた。だから、Kさんが母親のヤバさを分かってくれて嬉しかった。あの人を嫌いだと思うのは普通の感覚なのだと思えた。
私が「最低限このラインは超えてほしいです。でも、みんな超えてくると思いますけどね」と言うと、Kさんは「そりゃそうだよ」と言った。嬉しかった。私がこれから婚活で出会う人は、少なくとも母親よりは酷くないのだ。
実際、母親より喋らない人には出会ったことがない。きっとこれからも出会わないのだろう。
一応、今の母は当時よりはかなり話してくれるようになった。私が「関心を持たれなくて寂しかった。愛されてないと思った」と母に言ったからだ。
どうせ分かってくれないのだろうとヤケクソで言ったのだが、予想に反して母は反省してくれた。今は毎日だって世間話ができる。心の底から嬉しいことだ。
でもね、あの頃のお母さんは本当に嫌いだったよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?