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思いを馳せる

 お断りの連絡が来たのは、あの人がいつも寝る時間の30分前だった。寝る前にいろいろ考えたんだろうな。あの人は早寝早起きだから、世間的にはすごく早い時間。深夜というわけでもないその時間まで、いろいろ考えたんだろうな。自由時間が1時間半ある中の、最後の30分。ずっと考えてたのかな。寝る前には、今日中には終わらせないと、と思って勇気を出したのかな。

 どういう思考プロセスを辿ったのか、具体的に想像できないのが悲しい。私はそれを知りたくてたくさん質問もしたけど、結局あまり教えてくれなかった。あちらも私の思考プロセスを知ろうとしていなかったように思う。「それだけしか聞かなくていいの?」と思うことが何度もあった。「聞かれてないのに自分語りするのもなぁ」という気持ちであまり話せなかった。

 YouTubeのコメント欄、動画に関係ない自分語りが湧きがちで苦手。でも、それくらい人間って「自分の話を聞いてほしい」というニーズがあるはずなのに、私に対してそれが発揮されることはなかった。悲しい。

 あの人は結果を重視する人だから、過程を重視する私とは合わなかったんだろう。これは例だけど、こうやってはっきり目処がつくぐらいお相手を理解したかった。分からないというのが悲しい。理解し合うという土俵に乗れなかったのがもう答えなんだろうね。

 これってさ、「仲良くなりたかったのに仲良くなれなかった」のと同じことで、なんか本当に寂しいな。まぁ仕方ないね。全員と仲良くなれるわけないもんね。

 あとは、お断りの理由さえ分かればこの気持ちがスッキリ成仏できそうな気がする。あと少し。


【追記】
 担当者を通じて理由を聞いてもらうと、「価値観の違い」という常套句が返ってきた。言語化できなかったのか、言語化したら人には言えないような理由になってしまったのか。どっちでもいいですね。終わり。



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