第57話『鍵にかかる呪い』

 鍵には時々、とても危険な運命が宿り、鍵をかけて守るものそのものよりも、鍵自体に大きな意味が宿ってしまう場合があります。
 そんな鍵が行方不明になってしまったら、それを探す旅は、普通の探索のたびよりも、更に苦難が待ち受けるものになります。
 安らげる場所そのものを失う呪いは、鍵が勝手にひきよせてしまう種類のもので、鍵の重要さが増していくことによって、呪いの強さも、呪った人間の意図とは関わりなく強いものになっていきます。
 我知らず鍵に呪いを引きよせられてしまったために、自らの呪いに飲まれて命を落としてしまうのは、鍵のこうした性質のせいです。多くの呪術師は呪いよけの研究をしていますが、なにせ鍵がその性質から、勝手にそうなっていくことなので、実際のところなかなか厄介です。
 鍵が関わっているとなれば、なにをするにも慎重になる必要があります。せめてもの助けは、慎重であれば、小さな願いが叶っていくため、現在の状況が把握しやすいことです。
 手がかりがある間は、実直に鍵の行方を追い、どうしたものか、皆目わからくなったら流星の様子を見ながら、火事のあった方角を順を追って注意深く探索していくしかなくなります。

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