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チケットがいい感じで売れるまで、公演の宣伝がわりにいろいろ垂れ流す試みの3

チケットはPeatixにて絶賛販売中
文化庁Arts for the future!助成事業の採択を受けて、2017年に上演した『Generalprobe』という台本を再演する。
とある劇場の予算が減額されるところからはじまる、劇場スタッフの様子を描くバックステージもので、そこに奏者も居合わせて音楽を奏でる。そんな演劇だ。
クラシックのトリオ、トリオ・エスペルトとのコラボレーションで、舞台上に役者と楽団が同列で登場する。劇中の音楽は全て、トリオ・エスペルトの大柴拓さんが新たに書き下ろした。初演よりも確実に、音楽も明確に意味を持って客席に浸透していくものと思う。

静かな演劇や現代口語劇の現在の姿は確認していないが、血パンダはこれまでもずっと、静かな演劇の流れの果てにあって、演劇の構造そのものについて考え続けてる作業をしている。
かつて、静かな演劇に至った時にまず、演劇から祝祭を、役者からは身体性を捨てる事を考えた。
舞台が未来であれ、ファンタジー世界や犯罪の現場であれ、描くのは日常の光景と決め、そこには鍛えられた体の役者は不要だし、身体表現的な動きも不要ということに決めた。
日常の光景は、確実に始まる前からその話しはあるし、演劇の終わりがその日常の終わりではないと感じさせる時間性を持っていることが最低限の条件だ。どんなに記号化され、抽象化されていたとしても、それはそんな雰囲気の場所で、観客の視線の有無に関係なく、その様に見て取れる時間が流れ続けていると感じさせなければならない。

演劇の終わりに「君たちののぞき見の時間は終了だ」と知らせて、極力そのまま劇場から放り出す様に心がけている。
血パンダは初演から一貫してカーテンコールはしていないし、本当はアンケートも取る必要が無い気もしているものの、そこは申し訳ないことだが、毎回の力加減の確認をさせてもらっている。
富山県内の状況なら、チケットの売り出し即60席ほどが完売する様になったら、観客の観劇体験のためにアンケートもやめてしまいたいと考えているが、こちらはなかなか上手くいかない。こうした欲は、多分押し殺すもの。こちらが考える「体験」を優先させるなら、条件云々を考えるのではなく、やめる方が先だとは思う。

フィクションを細かに記憶できる人は少ない。ならば、どれだけの地続き感で観客の日常の中にフィクションを投入できるのかが重要になる。祝祭性は意識的に捨てているのだから、それは当然のことだ。
最終的には自分の本当の体験の記憶なのか、見た演劇の記憶なのかをわからなくしてしまいたい。いつか、同じ目にあった時に、ふとセリフや演劇の状況を思い出す。静かな演劇にはそれができると確信して以来、ずっとこれを中心に据えて演劇を作っている。

『Generalprobe』で、どんな言葉や状況を記憶に放り込むつもりなのか。
初演を見た人には答え合わせにも来て欲しいところ。
氷見市漁業文化交流センターで待ってます。


劇団血パンダ+トリオ・エスペルト
『Generalprobe』
2021年11月6日、7日(両日18時半開場、19時開演)
氷見市漁業文化交流センター
料金 3,000円(前売りのみ)
作、演出 仲 悟志
作曲 大柴 拓
文化庁Arts for the future!助成事業
氷見市後援
チケットはPeatixから。近所の人は氷見市漁業文化交流センターでも前売り券販売中。
氷見市では、氷見市内での宿泊がお得になる氷見市プレミアム宿泊券も販売中

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