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お経のあらすじ『仏説阿弥陀経』

『仏説阿弥陀経』の要約

浄土宗や浄土真宗、時宗の葬祭で唱えられる『阿弥陀経』

有難い事が書かれていることはなんとなく解っていても、内容がわからないと読経を聴いているだけでは眠りを誘うBGMで終わらせるのはもったいないと思い要約しました。

なぜ南無阿弥陀仏(阿弥陀仏に帰依します)と言うのかが多少わかるのではないでしょうか?

仏教の専門家でもないですが、専門的な話を読む前や聞く以前に
『どんなことが書かれているか』をうっすらとでも知っていた方が良いのではないかと思います。

まず、多くのお経は、お釈迦様が弟子さん(阿難(アーナンダ)舎利弗(シャーリプトラ))からの質問に答える形式のものですが、この阿弥陀経はその一般的なお弟子さんの質問に答える形のではなく、無問自説経と言うお釈迦様自らが説く形式のお経です。

実際の阿弥陀経の中では、お釈迦様は舎利弗に30回以上呼びかけています。この要約ではその部分(舎利弗の名を呼ぶ部分)は割愛しています。中でも舍利弗。於汝意云何「舎利弗、汝が意に於て云何」は、“舎利弗(シャーリプトラ)解るか?”という部分は熱くお釈迦さまがこの阿弥陀様の事を語っておられることが、伝わってきます。


阿弥陀経はこの様な設定です。


■阿弥陀経(鳩摩羅什訳)
浄土真宗や浄土宗、時宗などの日本の浄土教の根本聖典の一つで、『仏説無量寿経』(康僧鎧訳)、『仏説観無量寿経』(畺良耶舎訳)と「浄土三部経」とも総称されています。

■場所 祇園精舎 にて

■対象 お弟子や菩薩、神々や、大衆など1250人
※これは阿弥陀経の対象がすべての人だということだからです。

■設定 お釈迦様が舎利弗に語りかけ、それを阿難が聞いている状況。


要約


阿難がお聞きした話です。


ある時、お釈迦様が祇園精舎でお弟子さんや、1250人の方々とご一緒でした。舎利弗。目連、阿難など(ほかのお弟子さんが列挙されています)の弟子さん。文殊菩薩や弥勒菩薩。常精進菩薩等(ほかの菩薩様)の菩薩方。さらには帝釈天等のさまざまな神々や大衆とご一緒でした。

 

お釈迦様は舎利弗に、ここから西方に向かい十万億の仏の国を過ぎゆくと、極楽にたどり着くとおっしゃいました。

 

そこには阿弥陀様がおられ現在もそこで法を説かれている。そこの住人は、身心の苦しみがなく、永遠の安らかさに包まれているから、極楽(安楽)とよばれる。また極楽国土には、七重に張りめぐらされた玉垣や、七重の飾り網、それに七重の並木があり、 それらはすべて金・銀・瑠璃・等で出来ている。

 

極楽国土は、七宝からなる池があり八功徳水が湛えられていて、その底には、一面黄金の砂が敷きつめられている。そしてその四方に階段があり四宝によって組みあわされそれを昇りつめると高殿がそびえ七宝で美しく飾られている。池の中の蓮華はまるで車輪のようで、青い花からは青い光、黄色の花からは黄色の光、赤い花からは赤い光、白い花からは白い光が放たれ、神秘的で香ばしく咲いている。

 

そして絶えず美しい音楽が流れ、黄金を大地に昼夜にそれぞれ三度ずつ、天から曼荼羅華の花がふりそそぐ。住人は清らかな朝をむかえると、それぞれが花皿を手にして、その中に美しい花々を盛り、他国の数かぎりない仏たちに捧げてまわる。そして昼の食事の時間までには帰り着き、食事の後、辺りを散歩する。

 

またいつも何種類もの色とりどりの珍鳥が生息し、これらの鳥たちは、昼夜にそれぞれ三度ずつ、やさしく美しく啼きます。その声は悟りへ導く三十七の修行の徳目で、五根・五力・ 七菩提分・八聖道分の教えをのびやかに説く。

 

住人は、この声を聞くことでを念じ、を念じ、を念ずる。

しかし、これらの鳥たちは鳥として生きていることは罪報の結果ではない。この仏国土には、地獄・餓鬼・畜生の悪い境界は存在しない。そこに三悪道の名さえもなく実体の鳥が存在するはずがない。


これらは阿弥陀仏が、人々の耳に心地好く法に応化だ。この仏の国土では、そよ風が、さまざまな宝でできた樹木や飾り具を吹き動かすたびに、美しい音色をたて、まるで百千種の音が、同時に音楽を奏でるようで、その音色を聞く者は、自ずから仏・法・僧を念ずる心が生じる。

 

なぜ、かの仏を阿弥陀とよぶのか、かの仏の光明は十方の国々を照らしゆきとどかない所はない。そこで(無碍光)とする。この仏の寿命並びに住人の命も数えることのできない永きに渡るもので、それで(無量寿)と呼ぶ。阿弥陀仏は仏と成ってから、今日にいたるまで、十劫という時を経ている。かの仏には無量無辺の直弟子がいて、さとりを開いた者ばかりであり、その数は、数えつくすことができない。

 

この極楽国土の住人となるべき者は、すべての迷いの境界に退転しない身となり、その多くは、仏に等しい位にある。その数はたいへん多く、 とても数えつくすことはできない。

これらのことを聞いた人びとは、ぜひこの国に生まれようと発願してほしい。なぜなら、そこでは、仏道を歩むさまざまな聖者と一堂に会する喜びを得ることができるので、ただ少しばかりの善行の力などでは極楽に生まれることはできない。

 

仏を信ずる男女が、阿弥陀仏の無量の智慧と慈悲のはたらきを聞いて、絶えることなく念仏し一心に心が乱れなければ、その人が死に際した最後のとき、阿弥陀仏は極楽のさまざまな聖者方を引きつれその人の前に姿を現す。

来迎図


そしてその人がまさに最後の息を引き取ろうとするときは正念にあって、間違いなく、阿弥陀仏の極楽国土に往生することができる。


(お釈迦様が)念仏の利益を体験したので、このように説くのだ。だから衆生の中で、この説法を聞いた者は、ぜひこの国土に生まれてほしい。

 

私(お釈迦様が)が今こうして、阿弥陀仏を讃えるように、東方では同じように、東方浄土の主、無動仏・山幢 仏・大山仏・山光仏・妙幢仏等、ガンジス河の砂の数ほどのたくさんの諸仏がおられ、それぞれが自分の国のすみずみに極楽の素晴らしさを説かれているので、あなたたちは、このすぐれたはたらきをほめ讃えて、すべての諸仏に護念された経典を信じなければならない。

※この六方向、東南西北下上で仏様以外は同じことを韻を踏んで繰り返しますが割愛しない方が良いと思い同じように繰り返します。

南方の世界には日月光仏・名称光仏・大光蘊仏・須弥灯仏・無量精進仏、等ガンジス河の砂の数ほどのたくさんの諸仏がおられ、それぞれが自分の国のすみずみに極楽の素晴らしさを説かれているので、あなたたちは、このすぐれたはたらきをほめ讃えて、すべての諸仏に護念された経典を信じなければならない。

 

西方の世界には、無量寿仏・無量相仏・大光仏・大明仏・宝相仏・浄光仏、等ガンジス河の砂の数ほどのたくさんの諸仏がおられ、それぞれが自分の国のすみずみに極楽の素晴らしさを説かれているので、あなたたちは、このすぐれたはたらきをほめ讃えて、すべての諸仏に護念された経典を信じなければならない。

 

北方の世界には、焔肩仏・最勝音仏・難沮仏・日生仏・網明仏、等ガンジス河の砂の数ほどのたくさんの諸仏がおられ、それぞれが自分の国のすみずみに極楽の素晴らしさを説かれているので、あなたたちは、このすぐれたはたらきをほめ讃えて、すべての諸仏に護念された経典を信じなければならない。

 

下方の世界には、師子仏・名聞仏・名光仏・達摩仏・法幢仏・持法仏、等ガンジス河の砂の数ほどのたくさんの諸仏がおられ、それぞれが自分の国のすみずみに極楽の素晴らしさを説かれているので、あなたたちは、このすぐれたはたらきをほめ讃えて、すべての諸仏に護念された経典を信じなければならない。

上方の世界には、梵音仏・宿王仏・香上仏・香光仏・大焔肩仏・雑色宝華厳身仏・娑羅樹王仏・宝華徳仏・見一切義仏・如須弥山仏、等ガンジス河の 砂の数ほどのたくさんの諸仏がおられ、それぞれが自分の国のすみずみに極楽の素晴らしさを説かれているので、あなたたちは、このすぐれたはたらきをほめ讃えて、すべての諸仏に護念された経典を信じなければならない。

 

どう思われるか(お釈迦様が舎利弗に問いかける)

なぜ今、私が説くところを、「一切諸仏に護念される経」と名付けるのか、仏を信ずる男女で、これら六方世界の諸仏の説かれた阿弥陀仏の名号、経典の名を聞き極楽に生まれたいと願う者は、あらゆる諸仏によって護念され、悟りの道から迷い出ることはない。あなたらはそろって、私が語るところ、あるいは諸仏の説くところを信じ受け入れてほしい。

 

ある人が、過去・現在・未来に願いをおこし阿弥陀仏の国に生まれたいと欲する場合、この人々はすべて、無上の悟りの道から迷い出ることはなく、この国土にそれぞれ、過去現在未来にも生まれるでしょう。従ってさまざまな仏を信ずる男女で信あるものは、願いをおこしてこの国土に生まれてほしい。

私がこうして、諸仏のすぐれたはたらきをほめ讃えるように、その諸仏たちもまた、私のはたらきをほめ讃えて述べる。

「釈迦族の聖者、仏陀は、困難な事業を実現している。それは苦悩の世界のなかでも五濁悪世と 呼ばれる時代、思想、煩悩、有情、寿命の濁りの中で、最高のさとりを完成し、さまざまな衆生のために、信じられることの 難しい法を説かれている」と。

よく心得てほしい。私は五濁に汚れたこの世において、困難にうちかち、最高の悟りを完成し、すべての世の人びとのために、信ずることの難しい法を説いています。これこそ本当に難行だ。

お釈迦様がこの「阿弥陀経」を説きおわられると、舎利弗と、その場のすべての者が、お釈迦様の説法を聞くと、喜びにあふれ、お釈迦さまに礼拝しその場を立ち去りました。

いかがですか?


お坊さんが唱えているお経のざっとした内容です。

読経するお坊さん
仏説阿弥陀経


※参考文献
新纂浄土宗大辞典 (jodoshuzensho.jp)
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