瀬戸の空き家改修PJー解体編

今回のプロジェクトではプロの手を借りずに内装の解体をすることを試みました。
今までの少しの自主施工を行ったことはあれど、解体までは行ったことはなかったので出来るものかと一抹の不安を抱えながら作業をスタートしました。結果としては内装の解体工事であればプロの力を借りなくてもなんとかなるかなと。
でも、なんとか、です。

なぜ解体をするのか?

リノベーションとは古いものに新たな意味を付け加えることにあると考えています。

現在あるものー古い性能(解体)x新しい性能や考え=新しい価値


古いものを古いまま使うのではなく、古いものが持っていた意味を一度剥がして新たな性能や考えを掛け合せます。古いまま使うことももちろん出来ますがより永く使っていくためにはマイナスする箇所も必要になります。
今回は第1期工事に内装工事を行い、第2期に外装工事を行います。
これらの工事を通して、新たな価値を創出していく必要があります。
古いものをそのまま使用することも一つの価値ですが、現代の生活や求められる性能に近づけていくことでより永くその建築を使用する可能性を広げていくことを試みていきます。前回書いた豊かさを作るための解体とも言えます。

なぜ自分で解体をするのか?

古い建築物の場合、図面がたいてい残っていません。残っていたとしても平面図と立面図程度でどのような性能を有しているのかは不明です。
今回の建物は図面は一切残っていなかったので、現状の具合を観察するためにはある程度、壊してみる必要がありました。
一般的に内装を解体する場合、どのようにしたいのかを決めて、そこから一気に壊します。もちろん描いた姿にはなりますが、もしかしたらその建築が持っていた良さまで壊すことになるかもしれません。今回は天井、床、壁と少しずつ解体することにしました。そうすると、確認しながら壊していくことで意味を付け加える箇所とそうではない箇所を分けることが出来ます。
また、一般的な解体では廃棄材はある程度仕分けた上で捨てられてしまいますが、今回は廃棄材を敷地内に一旦ストックしておくことで再利用できるものとできないものを分けるにしました。使えるものを使うことでコストダウンにもなりますし、その材料の持っている寿命をまっとうしてもらうことも出来ます。

解体した箇所

・1階の天井(下屋部の天井は除く)
・1階の床。全部。
・内壁 幅90cmx4箇所
改修というと内装を全てやり変える。ように感じるかもしれませんが、
手数は最小限に留めて現代的な性能を確保したような建物へと修正していく作業が
リノベショーションと言えるのだと思います。
今回1階の床を全て解体しているのは、シロアリの被害がどこまでなのかをきちんと確認し、対策を練ることのためです。今までと同じように作るのであれば、同じようにシロアリの被害が発生するはずです。
床をめくり、土台を全て金槌で叩き問題箇所を探ります。今回は幸いなことに土台における問題箇所がありませんでした。
(どうやってシロアリが侵入してきたのかが謎なのですが…。)
シロアリは湿気のあるところを好むので防湿シートを敷く予定をしています。
また、土台、根太、合板には防蟻塗料を塗り、対策とします。これらのことを行うには床の1回解体せざる得ないのです。この建物を長く持たせるには必要なことなので、手間もお金もかかりますが行います。

天井に関しては表面の素材だけ張り替えればいいのですが、せっかく長い年月を得た梁が見えないのも寂しい。梁を露出することで天井も高くなりますし、天井は撤去することにしました。一部撤去していない箇所はどうも後から増築をしたようで、味わいもない感じがしたことと、天井の断熱の問題もあったのでそのままにすることにしました。


現代の建物ですと壁はプラスターボード 一枚で構成されていることがよくありますが、今回は内装の壁までなんと土壁!
天井や床はそれほど使い方に制約を与えませんが、壁は使い方に直結します。壁の中には耐震要素となる筋交がある場合もあり、筋交を無くしてもOKだと有難いのですが、古い建物はそもそも現在の耐震基準よりも耐力壁が少ないことが多いので耐震要素となる筋交をとるわけにもいきません。と言っても、土壁を剥がしてみないと実態がなかなか分からないのですが…

2階は寝室で利用するのでほぼそのままで使用することにしました。
と言っても、天井の断熱材がないことが予想されるので、汚い小屋裏に入り込んで断熱材を敷き込むという地獄の作業が待ち構えています。

解体に使用した道具

・工具:バール、金槌、ノコギリ(安いもので揃えれば一式5千円程度)
・装備:マスク、ゴーグル
・電動工具:電動ドライバー、電動ノコギリ、ハンマードリル(全部で6万円程度)
上記のものを使用して解体を行っていきました。
バールと金槌は無いと全く何も出来ないと言っても大袈裟ではありません。
ノコギリも無いと困ることが多々あります。この3点セットが解体の3種の神器と言えるでしょう。道具では無いのですが、身体を鍛えておくことも大切です。重い金槌を何度も振り回すのはかなりの重労働です…これを8月の暑い中、毎日行っている職人さんには頭が下がります。
古い木造住宅の場合、接合部がおおよそ釘で接合されているので、バールと金槌があれば解体していくことが出来ます。バールは大きいほどテコの原理が働きますし、金槌は重いほど簡単にいろんなものを壊すことが出来ます。
が、大きいほど、重いほど、扱いにくくなります。このあたりのバランスが少し難しいかもしれません。椅子に座ってばかりの設計事務所の人間でも使用することが出来たのでおおよその方にご使用頂けるのではないかと思います。
モノを切断するときはやはり手動のこぎりよりも電動ノコギリの方が楽です。(危険も伴います。)プロの方が使用するような電動工具があるとやはり作業が楽だし、早い。肉体を酷使し続けることには無理もあるので、電動工具に頼りながら進めたいモノです。

浴室の床がコンクリートだったのでハンマードリルを使用しながらコンクリートを割ったのですがネットで調べてみると軽ハツリならばオッケーなのだけど…と書いてある。どうやらコンクリートを割るような器具ではないらしい…が、ハンマーで強振してみても、手が痛いだけだったので、ハンマードリルを使用して解体を試みる。やはり、少しずつしか壊すことは出来ないが、ハンマーで壊すよりは前に進む。このコンクリートを割る作業が肉体的には一番しんどい箇所でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?