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薬物依存のお話①

薬物の乱用・依存からの離脱・回復に関する心理ケアに詳しい心理士が

ゆるっとシリーズでお届けする “薬物依存のお話”


芸能ニュースや週刊誌を賑わすこともある薬物の話ですが、

実際は少々重たい内容になりがちです。

どうか無理に読もうとはせず、お時間と心に余裕があればお目通しください。


「薬物依存」と聞くと自分には遠い世界の話と思われる方も多いと思います。

でも意外と身近なものなのかもしれません。

今回はそんな薬物依存のお話を。



まず、薬物依存とはどういう状況なのか?

薬物依存は、薬物を本来の目的とは違う目的(遊びなど)で使用する「乱用」を繰り返した結果、自分をコントロールできなくなり辞められなくなる状態です。

では、そういった薬物依存の人ってそもそもどれくらいいるのでしょうか・・・?

2019年、国内で行われた調査では、覚醒剤、MDMA(合成麻薬)、危険ドラッグ、コカインなどの使用経験者は推計で318万人にものぼります。(薬物使用に関する全国住民調査)

これを多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれではありますが…。


薬物を使用したキッカケは、ストレス発散だとか、皆がしていたからなどなど。

危険ドラッグや覚醒剤等以外で最近増加傾向にあるのが、通院している精神科で処方された薬に依存してしまう…そういったケースも増加しています。

それを聞くと薬物依存の危険性って意外と身近なものなんだなと思います。



薬物依存は、最初の一回の持つ重みは大きいことから、依存するのに時間はかかりません。あっさり依存してしまう、という感覚です。


一方で、回復するまでにはかなりの時間がかかります。

そして薬物依存は薬物使用をやめて体内からすっかり薬物を抜いたとしても、薬物依存症という病気は変わらず存在します(松本)。


この様に薬物依存症に「完治」はありません。

しかし一日一日薬物を使用しない日を過ごしていくことが回復のイメージです。

そして薬物依存の回復とは一体どういう感じなのか?

ざっくりではありますが、見ていきましょう。



松本(2012)によると、

薬物依存の回復の第一は“身体的健康”の回復です。

その後に“精神的健康”。

そしてさらに時間が経過すれば、

“心”-物の考え方-が回復します。

最後に、“信頼と人間関係”が回復します。



ここまで到達するには何年もの月日を要するのが通常である、としています。

回復に向けて、NAなどの自助グループやSMARPP(スマープ)などプログラムを使用する認知行動療法を実施している機関も増えてきています。


今回は薬物依存の概要を簡単に紹介させていただきましたが、またの機会に薬物依存について…薬物依存に悩む「家族」についても書かせていただけたらと思います。


引用文献

薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の社会復帰にむけた支援に関する研究(2019)

https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/J_NGPS_2019.pdf

松本俊彦(2012) 薬物依存とアディクション精神医学 第二刷 p84-85

公益社団法人日本精神神経学会 松本俊彦先生に

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