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【注意喚起】とある投資話の相談を受けた件。最近増加しているらしい

はじめに

友人から投資に関する相談を受けました。
とある投資セミナーに参加し、海外積立投資に関するもので知人から勧められているが、やるかどうか悩んでいるとのこと。

この手の勧誘は昔からあったようですが、近年のコロナ禍でオンライン形式でのセミナーでの勧誘がかなり横行しているようです。

友人が心配だったので私もその投資セミナーとやらに参加しました。
セミナーで説明を受けた後に得た情報を分析した結果、いろいろと判明しました。
セミナー運営側は私が実態の運用利回りを全部分析するつもりで参加しているなんて夢にも思っていなかったと思いますw


①特徴
・香港にある投資会社が運用を行う
・投資家は10種類のファンドが選べる(少ない・・・)
・中途解約手数料はめちゃくちゃ高い。2年以内だとほぼ100%没収(ありえへん・・・)

②発生する経費(高すぎ)
・プラン費は毎月7ドル支払
・初期口座管理手数料は時価総額×0.4%を毎月支払(最初の2年間)
・管理手数料は時価総額×0.12%を毎月支払(年間1.44%)
・信託報酬は時価総額×1%を毎年支払
・支払時のクレジットカード手数料は1%

もうこの地点で投資家にとっては圧倒的不利のため、絶対にやめたほうがいいですね。

といいながらも手数料を加味すると実際どれくらいの運用利回りになるかは気になりましたのでシミュレーションしてみました。

10種類のファンドのうちブラックロックのファンドオブファンズであるグローバルアロケーションファンドがありましたので、実際に契約して21年間運用した場合のシミュレーションを行いました。


前提条件(極めて不利な)

・2000年3月スタートし、21年間運用
・プラン費は毎月7ドル支払
・初期口座管理手数料は時価総額×0.4%を毎月支払(2年間)
・管理手数料は時価総額×0.12%を毎月支払
・信託報酬は時価総額×1%を毎年支払
・クレジットカード手数料は1%とする
・為替手数料は1%とする
・グローバルアロケーションファンドの運用利回りから手数料を除いた分の100%投資家のものになることとする
(実際はマージンみたいなので抜かれる可能性あり)
・グローバルアロケーションファンドはBloomberg Index Ticker(MERGAAI)とする
https://www.bloomberg.co.jp/quote/MERGAAI:LX


21年間運用したシミュレーション結果

投資額合計:12,603,405円
手数料合計:▲5,064,199円
損益:7,712,224円
21年間合計利回り:61.2%
複利(=IRR(内部収益率)):4.2%

グローバルアロケーションファンドの運用利回り自体はそこそこいい
(損益12,776,423円で101.4%の運用利回り)
のですが、間に入っている投資会社の手数料がめちゃくちゃ高いです。
毎年2.44%だけど、手数料も時価総額に連動して指数関数的に増加していくので累計では40%以上もむしり取られる結果になります。

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他のETFとの比較

ちなみに同じ期間で日経平均とS&P500で投資した場合を比較すると差は露骨にでますね。
当然ながら手数料込みの利回りです。

①グローバルアロケーションファンド(某投資会社の手数料差し引き後)
投資額合計:12,603,405円
損益:7,712,224円
21年間合計利回り:61.2%
複利(=IRR(内部収益率)):4.2%

②S&P500 ETF
投資額合計:12,711,495円
損益:27,285,391円
21年間合計利回り:214.7%
複利(=IRR(内部収益率)):9.9%

③日経225ETF
投資額合計:12,514,843円
損益:17,430,122円
21年間合計利回り:139.3%
複利(=IRR(内部収益率)):7.6%

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結論

どう考えても圧倒的不利でありえないレベル。
普通にS&P500のETFを購入している方が圧倒的有利。

ブラックロックのグローバルアロケーションファンドは全く非がありません。
ファンドオブファンズなだけあって、債権なども組み込んでいるためボラティリティがある程度低減されており、かなり優秀だと思います。
リーマンショック時の下げ幅が小さかったのが特徴的です。
ただ間に入っている投資会社や紹介者などの手数料が高すぎてパフォーマンスが悪くなっているだけです。

あと上記シミュレーションでは手数料以外のマージンみたいなものは一切発生していない([ファンドの収益] - [所定の手数料] の100%を受け取る)ようにしていますが、もしマージンみたいなのが発生するとさらにパフォーマンスは悪化します。

当たり前ですが友人には絶対にやめたほうがいいとアドバイスしておきました。
同時にそんな条件の悪い投資話をあなたに持ち掛けた知人とやらの今後の付き合いも検討したほうがいいとも伝えました。

なお紹介者は契約が取れたら投資期間で契約者が支払う総額の数パーセントが報酬として得られるようなので勧誘に必死のようです。
例えば上記の例で月5万円コースで20年間運用だと投資総額は1200万円になりますが、仮に3%だとすると36万円の報酬になります。

あとこのセミナーで違和感があったのは参加者全員が誰から紹介を受けたかを発表していました。
「○○県から参加している△△と申します。■■さんから紹介を受けました」
みたいな感じです。
ネットワークビジネス臭がすごかったですw


残念ながら契約してしまって後悔している人が国内のあちこちに多数いるようですね。

日本人は先進国の中ではファイナンシャルリテラシーが低いと言われていますが、カモにされているような印象を受けました。

ポンジスキームなどの投資詐欺ではないと思いますが、条件が悪すぎですね。

こういった投資話で失敗しないためには日々の学習しかありません。
他人から持ち掛けられた投資話なんてロクなものがないと考えた方が無難です。
投資で成功したいのであれば勉強と実践のみです。

さいごにバフェットの格言を紹介します。

「相談しようと思うとき、私は鏡を見る。」


ツイッター(@nakatsukasa_k)とFacebookもやっていますので、ぜひ感想などお寄せください。




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