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雑感54 “ヴェネツィアの宿”から、備忘録1

 いつかは読んでおきたいと思っていた本の1つに、須賀敦子著「ヴェネツィアの宿」があった。通っている大阪文学学校の推薦図書の中にあって、機会があったら、と考えていたのだ。
 外国語も堪能な著者による選ばれた言葉は、硬質な文章の中で際立っている。最低限のカタカナ、といっても地名や人名によってカタカナが多いけれど、それでも日本語の美しさを感じるエッセイ集だ。
 カタカナが多いから文章が硬質なのかと思ったが、たぶん違う。日差しや木立など、自然を描く表現は日本人の細やかさが出ている。だとしたら、色かもしれない。鮮やかな色から、淡い色まで。
 そう、須賀敦子の描く文章は洋画みたいだ。京都を描いても、くっきりとした世界が広がる。描いた線がくっきりとしているから硬質に思えるのなら、わたしもくっきりとした線を引いてみたい。(続く)


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