協会魂!矢神と陽南が目指したそれぞれのゴール
タイトルは、とんねるずの石橋貴明氏がスポーツ特番で言っていた「帝京魂!」を意識してみた。
今回のシンデレラファイトは日本プロ麻雀協会から矢神ゆのと陽南まこが出場していて、その日本プロ麻雀協会の公式ルールは「トップが偉いルール」と言われている。ウマが10ー30つくのに加えて、トップ者にはさらに+20pt分のオカがつくことになっているからだ。
オカというのは、25000点もちスタートで30000点を基準にした点数の多寡を競うので、5000点×4人分=20000点分がトップ者に加算される麻雀界の慣わしで、筆者は麻雀がおじさんたちのギャンブルだった時代の場代だったという説をnoteで読んだことがある。
加藤博己さんのnoteは上の記事以外も素晴らしい内容のものばかりなので、まだ読んでいない方にはぜひ読んでみることをお勧めする。
「読んでみることをお勧めする」つながりでもう1つリンクしておくと、対局者の最高位戦・梶田琴理プロが自戦記を書いているので、そちらもゼヒ。
野球やサッカーに代表されるプロスポーツでも、選手はリアルタイムで思考を説明することができず、その代わりに実況者や解説者が「こう思ったんでしょうねぇ」という方向性の話をすることで補っている。この観戦記もその1つだろう。
それで言うと、梶田のnoteはヒーローインタビューだ。プロスポーツ選手の「内角のストレートをうまく振り抜くことができました。」とか「ペナルティエリアに入ったら勝負しようと決めていました。」という言葉を直接聞くようなワクワクを味わってほしい。
しかも、東場と南場の2本立てだ。静かな立ち上がりだった東場よりも、高打点が飛び交い着順取りへの激しい戦いが繰り広げられた南場の方が多くのスキを集めていて、視聴者のリアルな反応が見て取れる。
ちなみに筆者は両方スキした。スキだからね。
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前述した通り、4者の緊張にプラス聴牌がなかなか入らなかったことも相まって、東場は穏やかなスタートとなった。この時2着目だった梶田は自戦記の中で「ここから鳳東(ネット麻雀天鳳の東風戦)だと思って」と記している。
その梶田がやった。10巡目に中と6sのシャンポン待ちで立直をかけると、13巡目に高めの中をツモり2000/4000で一躍トップ目に。
続く南2局では、タンヤオ・ドラ1・赤3の聴牌。立直なら跳満からになるものの、待ちが嵌4mのためダマに構え、これが功を奏して矢神から討ち取った。
時系列が前後するが、矢神がふくれているスクショを貼っておこう。この放銃を含め、全体的に辛い展開が続いた。
放銃者として名前が出たので矢神の話をここにまとめておくと、矢神はいわゆる緊張しぃというかアガリ症なのかなという印象があったことに加え、対局中に上着の左肩が落ちるシーンが再三再四見られた。このシンデレラファイトは衣装の色を指定されているみたいな話を聞いたことがあるが、もしかしたら着慣れない洋服だったのかもしれない。
さて、ここからがタイトルにもある【協会魂!】の話になる。南4局を迎えて、4者の点棒状況は、
東家・陽南まこ26200
南家・旭茅乃20100
西家・矢神ゆの12000
北家・梶田琴理40700
となっている。親の陽南は3着目の旭と4000点以上離れているため、ノーテン宣言をして伏せることができた。トップに次節免除の特典があるとはいえ、ラスが脱落するというルールもあるため、筆者ならそうしたかもしれない。ラス目の矢神に8000を放銃することができないのだ。
ところが、陽南は嵌4pを入れると、4sを切って立直宣言。怯まず真っ直ぐにトップを目指した。ちなみに、Mリーグも協会と同じルール(ただし協会は赤なし)になっているので、男女問わずMリーガーになってほしい協会員は少なくない。
実はこの8m、山にはなかったのだが、後に5mが切れたことにより、出和了りすることができた。立直・一盃口で3900は4200の加点。トップまであと一息だ。
陽南がトップを目指すなら、先輩の矢神も黙ってラスを受け入れるわけにはいかない。ラス抜けの条件がより厳しくなった続く南4局2本場では、ドラで自風の西ポンから入り、ホンイツに赤も入った12000は12600でどこから出ても着順上昇というチャンス。西・ホンイツ・ドラ3で跳満になっているので、36p待ちになった時あえて赤5pをリリースする技が見られる可能性もあった。
さらには、6p3p4pと河に並んでいる陽南から立直が入ると、苦しかった辺3pもチーできて力強く前進。
矢神は赤5sを引くと、【西・ホンイツ・ドラ3・赤】から【西・ドラ3・赤赤】にルートを変更し、あくまでも跳満和了でのラス抜けを追う。
3副露し、他家にはピンズ聴牌に見えたかもしれない。特に立直者の陽南はどうだったか。
「雀力って何だろう?」と考えた時に、その局必要な点棒になるように手組みをできるかどうかというのが挙げられる。
◆この手が何点になるのか分からない
◆手役を覚えることができない
◆押していいのかオリた方がいいのか迷う
と悩んでいる麻雀愛好家の方々は、この局の矢神を見たら勉強になるだろう。
Mリーガーで例えると、KADOKAWAサクラナイツの沢崎誠を彷彿とさせる南4局親番・陽南の立直攻勢と、TEAM雷電の萩原聖人を想起させる矢神のギリギリの粘りだった。結果は2人とも思い通りにはならなかったが、それも含めていい麻雀を見せてもらった、と書き残してこの稿を閉じる。
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