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たなっちの發【4fuzz128C】

端的に言うと、「ツカない」。

2年連続のシードをもらって、意気揚々と臨んだ初戦だったからこそ、たなっちこと棚澤龍昇は悔いた。

それでも彼の口から出てきた言葉は、反省の弁だったんだけど…。

たなっちは、本当に人間ができてるよなぁ。

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まずは1回戦東4局、棚澤が親番の配牌から見ていこう。

いや、もう、とんでもない一向聴。この麻雀が仮にスマホゲームだとして、課金してもここまでは望めないし、普通の対局なら10巡目だとしても嬉しいレベル。さすがに勝ったと思うし、「ドラ縦」以外は受け入れられないって感じがする。

ちなみに、上に書いた「ドラ縦」ってのは、ドラである7sをもう1枚引く意味で、牌図にすると、ツモ7sに打1pとした下の形を意味する。

これぞ分かりやすい記事の極み

■縦=同じ牌を重ねて対子や暗刻にすること
■横=隣の牌をくっつけてターツやシュンツにすること

サッカーでいう「ボランチ」や、野球でいう「マジック5」みたいなもので、こういう用語は使うと「おっ?」と思われるのでオススメしたい。ドラ縦キボンヌ。

ツカない棚澤は、タンヤオも平和もつかない1pを引き入れて聴牌。しょうがないからドラを切って立直宣言した。ツモって4000オールならギリ及第点、出和了りの7700だとちょっと不満なくらいだ。5mはないものの、8mは4枚マルマル山に生きていた。

しかし棚澤は、この局を和了り切れなかったばかりか、阿賀に聴牌まで取られてしまい、わずか1500点の収入で終える。自身が出した立直棒のことを考えると、実質500点しか増やすことができなかった。ツカん。こりゃツカん。

いったん58p待ちの聴牌を入れつつも、棚澤にとってのダブ東となる東を抑えて重ね、再び聴牌を取り切った阿賀の打ち回しが見事だったことは、ここでは割愛させてもらう。主役は阿賀っちじゃなくて、たなっちだからね。

さて、ここからは、タイトルにもなっている南1局。

実はこの記事には、本人への取材が入っている。棚澤が悔いたのは、下の瞬間だった。

棚澤は打南とし、ドラ縦を見つつ、2−5−8s/1−4pの一向聴をキープした。

『ここで南ではなくドラの北をリリースできていれば…

(田口の)立直に対して、發の対子落としはしなかったんじゃないか。』

と。

北が田口の入り目であることは、放送を見ているこちらからは分かる。だが、棚澤には分からない。

しかし、田口の河からその手役が七対子であることを、棚澤は見抜いていた。

1回戦南1局・田口の立直

七対子だと思ったからこそ、ドラ単騎は危ない。そして、現物が6sしかなく、ピンズはピンズでメンホンに当たりうる牌だったからこそ、棚澤は發に手を掛けてしまった。一発目で引いてきた9mがキナ臭いことも、棚澤には災いした。

Twitterのフォロワー数28万7千人の今をときめく人気者だが、棚澤はそこに甘えず愚直に麻雀と向き合う。今回の放送対局以外で嬉しかったことや悔しかったことはないかという筆者の問いに対して、

『新人王戦ベスト32の最終半荘、苦労してなんとか通過条件を作れたのに、南3局・4局でそれが崩れて敗退になってしまったことです。』

と語った。

人に見られていない場所でも、いや人の目がない場所だからこそ、棚澤は全力で河を見、相手の手役を考慮して、方針を決め一打を放つ。そもそも、日本プロ麻雀協会の公式ページより閲覧者が多いTwitterアカウントを運用していながら、こんな取材に丁寧に応じてくれたこと自体が、棚澤の人間性を示しているとは言えないか。

放送対局に惨敗し、プロ雀士が1番悔しい夜に、棚澤は、

『僕がプロになった時は麻雀のルールをわからなかった人が、僕から麻雀を知って配信を見てくれたりお店のゲストに遊びに来てくれたりしてとても嬉しいです!

プロになって数年経ち、元々麻雀ファンだった方々で僕の活動を応援してくれる人も増えました!温かくて幸せです!

応援してくれる皆様に活動で恩返ししていくので、これからも応援よろしくお願いします!』

と前を向く。

1年間みっちり鍛錬を積み、一回り大きくなった棚澤龍昇が、第5回fuzzカップできっと待っている。

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たなっち、お疲れ様。素晴らしい対局でした!ありがとう!

今田孝志さんが執筆したfuzz公式観戦記は、下のリンクからどうぞ。


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