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第4回fuzzカップ観戦記ベスト128C

(選手は敬称略)
1回戦(成海-田口-阿賀-棚澤)

洋の東西、時代を問わず、他者に影響を及ぼすことには価値があるとされ、とりわけ多くを動かす者は、時に英雄と呼ばれる。
現代において影響力はSNSのフォロワー数で可視化され、とりわけ多くに影響を及ぼす者は、インフルエンサーと呼ばれる。

東1局は流局。東1局1本場に⑧ピンをポンして卓上に影響を及ぼしたのは棚澤。

筆者不勉強にして存じ上げていなかったが、棚澤のTwitterフォロワー数は28万7千人超。思わず二度見したほどの人数で、ひと言つぶやけばたちまち数百のいいねが乱れ飛ぶ。
⑧ピンに続いて中にもポンの声をかけ、ホンイツで1000-2000(1100-2100)のツモ。

東2局は「リーチ」の発声で他家に対応を要求する。

田口から四萬が出て、5200のアガリでまず一歩リード。

その田口。言わずと知れたスーパースターで、フォロワーはアカウント2つ合わせて3万8千。

東3局、ここから打①ピン。
さすがに六萬切りかと思うところだが、スーパースターらしい華麗かつ強欲な一打とも見える。

試合後に「序盤はミスが多かった」「ふわふわしていた」と語った田口。
これは果たしてどちらだったか。

このあと田口は赤五萬を引く。①ピン残しならピンフドラ1赤2の⑥-⑨ピン待ちテンパイである。
このあと成海が⑨ピンを捨てる。もし田口が先のテンパイを取り、ダマテンを選択していれば、成海のマンガン放銃の未来があったかもしれない。

現実は田口のアガリ逃しではなく、棚澤に過酷だった。
田口は成海の捨てた④ピンをチーしてフリテン解消し、⑥-⑨ピン待ち、⑥ピン片アガリのテンパイ。
ドラを対子にしていた棚澤が飛び込み、痛い8000放銃となった。

阿賀は日本プロ麻雀協会1期入会。
第2期新人王で、ハンドレッドリーグSILVER WOLVES監督。
フォロワー数6500弱。他が凄すぎるだけでかなりのインフルエンス力。

東4局。親の棚澤がリーチ。さらにリーチ後に⑤ピンを暗槓。
阿賀は回しながら1つチーを入れてタンヤオでテンパイを入れるが、生牌の東を掴むとテンパイを崩し、その東を重ねて再テンパイを果たす。流局で渋くテンパイ料をゲットした。

東4局1本場。
ホンイツのテンパイに至った棚澤からあふれたドラの東をポンすると、成海から六萬をロン。8000(8300)でトップに立つ。

美人女流プロの成海はフォロワー1万3千超。
本選シード争奪戦投票で638pで女性部門3位となり、この場に座っている。
南3局。高め9索を棚澤からロン。棚澤はタンヤオドラ2赤2のテンパイが入っていた。

オーラスは置いていかれた棚澤が4000オールで成海に迫るところまで回復し、そのあとの1本場が激戦。
1着 阿賀 35100
2着 田口 27800
3着 成海 18600
4着 棚澤 18500
阿賀は逃げ切りたい。
田口は阿賀まで7300。マンガンならどこからでも。
成海はマンガンツモで2着だが、棚澤に捲られてのラス落ちをより警戒。
棚澤はアガるのみだが、4000オール一発でトップに肉薄するところまできた。

まず動いたのは阿賀。③ピンをポンしてドラの發を捨てて自ら終わらせにいく。

このドラを田口がポン。
阿賀は⑥ピンをチーしてイーシャンテン。
田口は九萬をチーして3-6索待ちテンパイ。どこから出ても逆転トップ。

阿賀が田口のあがり牌6索を組み込んで単騎のテンパイ。
成海がこのテンパイ。

役なしだが、リーチ棒を出すとラスに転落する。
成海の選択は⑨ピン切りダマ。

そして親の棚澤がついに追いつく。

絶好の赤5索で、高目なら出和了でもハネマンである。

棚澤からリーチ棒が出たので、成海がリーチ棒を出してもラス落ちしなくなった。成海は覚悟のツモ切りリーチといった。

これで全員テンパイ。
直後に田口が引いたのが、全員に無筋の四萬。

この表情からの、
苦悩

決断は四萬勝負!
誰からも声はかからなかった。棚澤の一発目のツモが6索で、そっと河に捨てられた。田口の勇気は報われた。

1回戦を終えてポイントは以下の通り。

棚澤はトップ必須で阿賀を3着以下に沈めたい。
成海はトップを取れば。
阿賀は大体成海との着順勝負。
田口は圧倒的有利。

2回戦(田口-阿賀-成海-棚澤)
東2局1本場に阿賀がリーチして棚澤から5800のあがりで先行。

東2局3本場。この勝負の行方を決定づけるあがりが阿賀に出る。

ここから打二萬
打⑦ピン(⑧ピン2枚切れ)

このあと9索引き→⑤ピン切り。
1索引き→六萬切りでジュンチャンに決める。
田口、棚澤もまとまった形だったが、テンパイ一番乗りは阿賀のこのジュンチャン。

14巡目に成海が追いついてカン五萬待ちリーチ。ドラ2赤1内蔵。
トップ目の阿賀は無理をしない選択肢もあったが、無筋の三萬をノータイムで押すと、成海が海底牌で掴んだのは③ピンだった。

この一撃で阿賀は成海と37900点差。棚澤と28100点差となり、かなりの優勢となる。
また1回戦2着の阿賀がトップを取ると、田口もほぼ通過となるので、田口にとっても好都合。

上下が分かれる展開になり、成海・棚澤は苦しくなるが、東4局2本場に、成海は棚澤からメンホン・イーペーコー・發・河底の12000(12600)をあがって追いすがる。

南3局4本場の親番。

ドラを重ねて七対子テンパイ

四萬切りダマテン。
2巡後、赤⑤ピンを持ってくるが、ツモ切りで八萬単騎続行。
その次巡、1枚切れの發を持ってきて待ち変えするが、ダマテンは続行。
ここから成海は3巡ダマテンのままツモ切りを続ける。

この時点で阿賀までの差が35600。
リーチでの押さえつけよりも、阿賀からの9600の直撃を狙ったか。
もし他家から發が出たらどうしたか。見逃しもあり得たか。阿賀は山越しがかけにくい並びだが・・・。

現実は3枚目のドラ2索を引いて空切りの發単騎リーチに行き、棚澤が一発で掴んで18000(19200)の放銃。棚澤はキツイ展開が続く。

成海と阿賀の差はこれで16400。あと一息のところまで迫る。
だが南3局5本場は終わらせたい田口のアガリ。タンヤオ・イーペーコーの2600(4100)
放銃者は成海。この失点で阿賀まで20500点差となり、オーラス倍満ツモでも届かない差となる。

オーラス、阿賀が③ピン単騎で早々に七対子をテンパイすると、そのまま棚澤から出アガって決着となる。

約34万人のフォロワーが見守った試合を勝ち抜いてベスト64進出を決めたのは阿賀と田口。

阿賀と田口は阿賀が監督を務めるハンドレッドリーグ「SILVER WOLVES」のチームメイト。
さらにfuzzカップベスト128Bを勝ち抜いた石川和男選手もチームメイトとのこと。
SILVER WOLVESはハンドレッドリーグ2022で優勝しており、このあとfuzzカップでもSILVER WOLVES旋風が巻き起こるかもしれない。

最後に。
fuzzカップスポンサーの『株式会社fuzz』様。
選手が座っている椅子をご提供いただいている『COUGAR』様。
選手が飲んでいるピンク色のドリンクをご提供いただき日本プロ麻雀協会とパートナー契約を締結させていただいている『ピンクイオンアスリート』様。
いつも大変ありがとうございます。感謝申し上げます。


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