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美容室の開業 業務委託の美容師の創業融資には裏技がある。

美容室専門税理士の中嶋です。
美容室開業で知っておきたい知識をノートでまとめて配信しています。
一定記事までまとまりましたら一部有料化を予定しております。
今回のテーマは、「業務委託の美容師の創業融資には裏技がある」についてです。

最近では業務委託サロンの上場やM&Aのニュースを聞くようになりました。業務委託サロン、シェアサロンの数も増え、そこで働く美容師の数も当然ですがたくさんいます。今回は、業務委託で働いている方が、ご自身のお店を持ちたいと思った時に創業融資が使えるのか、についてご紹介します。

〇業務委託で働くとは
 「業務委託で働く人」とは、簡単に言えば個人事業主です。個人事業主としてそのサロンと業務委託契約を結びお店で働いている人です。雇用サロンで働いている人のように雇用保険も、社会保険も、所得税も天引きされることはありません。お店としては、社会保険の負担、税金の負担が無い分、スタッフに多くのお金を渡せるため、雇用サロンと比較すると高い歩合率でお金を払うことが可能です。そのため、経験のあるスタイリストの方ほど業務委託サロンで働くことを選ぶ傾向があります。

〇個人事業主が創業融資を借りられるの?
 業務委託サロンで働く人は、個人事業主となります。つまり、既に事業を開始している人となります。
 日本政策金融公庫の「新創業融資」を利用するための要件としては下記の条件があります。

  • 新たに事業を始める方

  • 事業開始後税務申告を2期終えていない方

 そうすると、業務委託で働いている方は「新たに事業を始める方」ではありませんし、業務委託サロンで2年以上働いていると2つ目の要件も満たさないこととなり、新創業融資を使うことができないことになります。業務委託サロンで働き始めて2年以内であれば大丈夫、ということになります。
 雇用サロンで働いてきた人が創業融資を受ける時は、この「新たに事業を始める方」に該当することになりますので、創業融資を活用することができますが、業務委託サロンで2年以上働いている人は、この制度が使えないことになります。

〇個人事業主が使える融資制度
 創業融資というのは、これから事業を開始する人のための融資制度ですので、これからの事業性と、これまでの美容師としてのキャリア、コツコツと自己資金を準備してきたのか?にお金が借りられるかどうかの判断基準とされます。
 既に事業を開始している個人事業主がお金を借りようとすると、これからの事業性よりも、これまでの事業で結果を作ってきたのか?つまり、事業としてちゃんと利益を出して納税をしてきたのか?で判断されます。確定申告でほとんど税金を納めていない状態であれば、金融機関からお金を借りることは出来ません。独立すると分かりますが、特に開業したばかりの個人事業主は社会的信用がほとんどない状態です。クレジットカードも作れなくなったりします。

〇業務委託で働く美容師はお金は借りれるのか?
 業務委託で働くということは「個人事業主」になる訳ですが、実は、日本政策金融公庫の「新創業融資」を利用することは可能です。個人事業主として既に事業をしている人、であることには間違いないのですが、新創業融資制度の利用が可能です。
 個人的な見解なのですが、業務委託で働いているとはいえ、お店からの報酬の受け取り方が違うだけで、実質的には「雇用」と同じで立場と認識されていると思われます。実質的にはどのような立場なのか?で判断されているようです。
 雇用サロンを退社し、自分のお店を持つためにお金を稼ぐ目的で報酬の高い業務委託サロンで働く人もたくさんいます。

〇業務委託で働く美容師が使える裏技がある。
 業務委託で働く美容師の方も、実質的には「新しく事業を開始した人」ではないと判断され、日本政策金融公庫の新創業融資制度が使えるとお伝えしました。でも、実は、「既に事業をしている人」として日本政策金融公庫の事業用資金の融資制度を利用することも可能な場合もあります。見方を変えれば、実質的には開業前の人でもあり、既に事業をしている人にも見えます。どの視点で見て、どの融資制度を使うかは金融機関の方としっかりと相談をして活用することが重要です。
 これがどんな場面で役に立つのか、と言えば、美容組合に加入すると融資金利を下げることができますが、組合加入せずに、40歳以上の方の開業となると、金利を低くできる創業融資制度が使えません。この時に、一般の事業性融資を選択した方が融資金利を引き下げることができる場合があります。もちろん、必ず使える、という訳ではありませんのでご注意下さい。
 業務委託で働くということは、既に事業を開始しているという側面は事実ですから、業務委託での期間が長くなると実質的に事業と判断される可能性もありますので注意をしてください。

〇終わりに
 業務委託サロンでも、雇用サロンでも、働く目的は将来の独立、ということであれば、どちらの創業融資は利用できると考えても大丈夫です。どちらの働き方であっても、創業融資を受ける為に必要なことは、美容師としてのキャリアとコツコツと自己資金を準備することです。もちろん、必ず生存する美容室をつくるための事業計画の準備も必要です。将来の独立に向けて、しっかりと準備をしてください。

ではまた。

美容室専門税理士 中嶋 政雄

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