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美容室の開業 創業融資の後スグに追加融資を受けるための方法

 創業融資でお金を借りた後は、基本的に追加融資が難しいと前回の記事でご紹介しました。そうはいっても、現実には予期しなかったトラブルによりお金が必要になる場合もあり、創業融資を受けた後スグに追加のお金が借りられないのか?という相談を頂くことがあります。こういった場合にどんな対応ができるのかをご紹介します。

〇創業融資の枠がある場合
 日本政策金融公庫で創業融資の借入を行い、創業融資の上限である1000万円以下で融資を借りていた人は、まずは公庫での追加融資を検討してください。
 お店をオープンしてから数か月であれば、運転資金としての追加融資の選択も可能です。もちろん、追加融資であることに変わりはないので、オープンから融資申請までの売上、経費の状況を明らかにして、今後の見通しをしっかりと説明できる必要があります。数か月であれば、当初の創業計画の見通しが甘かった程度で認めてもらえる可能性はありますが、1年以上経過した状態での追加融資は、明らかに経営上の問題が発生しているため創業融資の枠に残りがあっても追加融資は厳しいものとなると考えておいてください。

〇民間銀行からの借入がない場合
 創業融資を日本政策金融公庫だけでお金を借りている場合の追加融資は、基本的には民間銀行からの融資が最も借りやすいです。
 理由としては、民間銀行も創業した事業者に対しては比較的積極的に融資をする場合があり、ましては公庫から大きなお金を借りた後で、お金を貸す民間銀行としては少額の融資で済むことが多いので、それほどリスクを背負うことが少ないからです。
 ただし、相談する銀行は出店したお店の近所にある地方銀行や信用金庫が望ましいです。民間銀行からの追加でお金を借りる場合も、公庫での追加融資と同様に、オープンから半年程度であればスムーズに融資は受けやすいですが、オープンから時間が経過するほどオープンしてからの実績を重視する傾向にありますので、時の経過とともに融資が難しくなると考えておいてください。

〇創業融資を公庫と民間銀行の両方から既に借りている場合
 最も追加融資が難しい状況となります。それでも借りなければならないため、公庫、もしくは民間銀行との交渉を丁寧に進める必要があります。既に事業計画を提出し、必要なお金を借りた後の状態ですから、金融機関からすれば基本的に追加融資が必要な状況になっては困る訳です。お金を貸した側としても、追加融資の相談に来られると融資をした担当者としては難しい状況に置かれてしまいます。それでも融資をお願いしなければならない訳ですが、当初の計画の誤りを認め、具体的にどんな対策を打つ必要があるのかを根拠をつけて説明する必要があります。

〇追加融資が受けやすくなる方法
 追加融資を受けるためには資金が必要となる具体的な根拠が必要になります。それも金融機関側も納得できるような根拠が必要です。
 最も追加融資が受けにくい借入の理由は、スタッフを採用するから運転資金を借りたい、という理由です。なぜ認められにくいのかと言えば、今の状況がダメなのに、他人を入れたら何とかなると考えている経営者にはお金は貸してくれません。スタイリストを採用することで売上が上がる要素はあるわけですが、オープンしたばかりにサロンに優秀なスタッフが採用できる可能性は普通に考えれば無いわけで、金融機関側から見た客観的な根拠とはなりません。
 客観的な根拠があり、売上につながる投資としては、ホットペッパービューティーのランクアップのための投資を根拠とすると、私の体験では比較的スムーズに融資が進むことが多いです。ホットペッパービューティーのランクを上げることで、どれくらの新規客数の増加が見込まれるのか、ホットペッパービューティー側で統計値を持っており、金融機関からしてもある程度の信頼性のある根拠とみられているからです。

〇おわりに
 そもそも追加融資が必要となるような事業計画を立ててはいけないですし、そのようなお金の使い方をした時点で間違った開業と言えます。とは言え、何が起きるか分かりませんので、万が一の際の対応としては、融資担当者が上司に説明しやすいような根拠を準備しておくことがとても重要です。売上増加、客数増加の客観的な裏付けのあるホットペッパービューティの広告予算を事業計画に織り込み、具体的な新規客数の増加、リピーター増加の予測から返済可能性を説明できるような準備をしておくことがお勧めです。

美容室専門税理士 中嶋 政雄

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