美容室の開業 公庫融資が難しいと言われた人が次に融資を受けるための対処法
2-2-3 美容室の創業融資 創業融資が難しい人の特徴
美容室専門税理士の中嶋です。
美容室開業で知っておきたい知識をノートでまとめて配信しています。
一定記事までまとまりましたら一部有料化を予定しております。
今回のテーマは、「公庫融資が難しいと言われた人が次の融資を受けるための対処法」についてです。今回は前編と後編に分けてお伝えしています。
〇融資が難しいと判断された人は、何をすればいいのか?
前回の記事で、希望金額の融資が難しいと言われた場合の対処方についてお伝えしました。
美容室の開業は、美容室の内装、機材の購入に多額のお金が必要となります。そのため、創業融資が受けられないと開業そのものが出来ない場合がほとんどです。また、創業融資自体は受けられるが、希望した金額が借りられない時は、よほど余分に借入申請していない限り必要なお金を準備することが出来ず、同じく開業が出来ないということになります。
今回は、希望額が借りられなかった場合ではなく、そもそも創業融資自体が難しいと判断された場合の対処法についてご紹介します。
〇融資自体が難しいと判断された場合の対処法
融資が難しいと判断された理由を明確にする必要があります。その内容を把握できるかどうかがまずは重要です。ここでは、自己資金要件を満たしていない場合と、信用情報に問題がある場合の2つについてご紹介します。
まず、自己資金要件を満たしていない場合です。日本政策金融公庫で融資申請金額の10分の1以上が必要となります。ただし、この自己資金要件がクリアーしていたとしても融資が受けられるとは限りません。自己資金が自分でコツコツと貯めたものであるかどうか、信用情報に問題がないかも一緒に確認されます。「自己資金要件をみたしていない」というのは、融資が難しい理由としては伝えやすいため、融資ができない理由として言われることが多いです。この場合の対処法は、兎に角、自己資金を増やせばいいんでしょ?という問題ではなく、自己資金要件以外にダメな理由は何かないか?を考えることが大切です。まずはコツコツとお金を貯めて自己資金要件をクリアーし、その他の思い当たる理由も改善する必要があります。この場合は、その他の理由に致命的に貸せない理由があることは少ないく、ほとんどの場合は、コツコツとお金を貯めることを通じて、金融機関からの信頼を得ることで次の融資を受けることが可能となります。
もう1つは、信用情報に問題がある場合です。
融資申請をすると、金融機関はCICなどの信用情報機関からあなたの信用情報を事前に取得して面談をしています。どれだけ隠していても、少なくとも過去3年間のカードの支払い状況、借金の返済状況、ローン残高がすべて分かります。融資面談の場面で、創業計画書に記載した借入の状況の欄に自己申告した内容と、信用情報に記載されている借入の状況に大きくギャップがあると、事実を隠している、何か都合の悪いことがあると思われてしまいます。まずは、自分の借金の状況を自分の口で説明ができるようにする必要があります。自分の信用情報は500円で自分で取得することが出来ますので、過去の信用情報に不安のある人は、ご自身で信用情報を取得しておくとよいでしょう。
〇信用情報に問題があった人の対処法
過去に債務整理をした経験のある人でも創業融資が受けられたことがあります。自己資金は200万円あると言っていた人が、カードローンが150万円残っており、融資が難しいと言われた人でも、半年後の融資申請で創業融資が受けられた人がいます。その人達は何をして創業融資が受けられることが出来たのかをご紹介します。
・過去の債務整理をした経験のある人の創業融資について
少なくとも3年以上前の出来事であり、それ以降に借金がゼロであることが条件です。5年以上前の破産、債務整理、支払いができない時期があったというのは、まずは気にしなくても良いです。ただ、注意が必要なのは、この事実があったことを正直に伝えることです。融資を受ける大原則は、良いことも、悪いことも、正直に話す、ということです。都合の悪いことを隠して、後から分ってしまうとそれで信頼を失ってしまいます。3年以上前に債務整理があったとしても、その当時に残っていた借金はすべて計画通りに返済した。そして、過去を反省し、これからの美容室を開業するために少ないながらもコツコツとお金を貯め続けた。この事実が何よりも信頼に繋がります。むしろ、過去に金銭的な問題があったことが、その事実を反省し、コツコツとお金を貯めてきた実績は、むしろ肯定的に受け取られます。この方がラッキーだったのは、過去のカードローンの返済に過払い金返還請求できることが分かり、創業融資申請は満額通過しただけでなく、過払い金返還請求で100万円近くのお金を手にすることが出来たというおまけつきでした。
・自己資金は200万円あると言っていた人が、カードローンが150万円残っており、融資が難しいと言われた人でも、半年後の融資申請で創業融資が受けられた人の対処法
この人の自己資金200万円のうち、自分で貯めたお金は70万円ほど、それ以外は両親からの支援金でした。両親からの支援金自体は金融機関からは肯定的にみられていましたが、融資申請の段階で150万円のカードローンの残高が残っていたことが致命的となりました。
金融機関からすれば、まずは、今ある借金を返してから、創業融資の申請をしてほしいと考えています。創業融資で借りたお金で、個人の借金を返済されたら困るわけです。創業融資で借りたお金の返済は、あくまでも美容室を開業した後に発生する利益から返済します。開業前に発生した借入は、いろいろな事情はあるにせよ、事業とは関係のない借金であり、事業とは関係のない借金がある人にお金は貸せない、というのが金融機関のスタンスです。
まずは、両親からの支援金を使って、カードローンを一括で返済しました。この方の場合は、幸いにもご両親からのサポートがあったので、すぐに一括返済が可能でした。そうでない場合はどうしたら良いか。どんな場合でも、カードローンなどの残高が残っていると創業融資申請は難しいです。どんな事情があったとしても、事業とは関係のない借金は返さなければならないと考えてください。ただし、美容学校の奨学金、常識の範囲の自家用車のローン、住宅ローンは残っていても大丈夫です。特に、住宅ローンに関しては言えば、住宅ローンがあることで、この人は信頼できる人だ、と判断されます。住宅ローンが組める、ということは収入も安定しているはずだし、金融機関の審査を通過してきている、という証明にもなります。
まずは融資申請時点で残っているカードローンはすべて返済すること。そして、ここからはコツコツと自己資金を貯めること。コツコツと自己資金を貯めるということは金融機関からの信頼を得る上で、とての重要なポイントとなります。
〇終わりに
創業融資はあきらめなければ、いつか必ず受けられる融資です。そのためには、今の自分の現在地をしっかりと把握することです。自分と向き合い、金融機関からの信頼を得るために何をするべきか。このことと向き合えば、必ず創業融資を受けられる時は来ます。あきらめない限りは。
ではまた。
美容室専門税理士 中嶋 政雄
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