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裏銀座縦走Day1_日本三大急登ブナ立尾根を登る(2024/09/07〜09)

2024年9月上旬、土日月の三日間で裏銀座をソロテント泊縦走してきた。この裏銀座縦走、今までの登山の中でも過去一の楽しさだった。衣食住を担いで北アルプスど真ん中の山々を歩くという非日常感がなんとも言い難く、稜線を歩いているだけでただただ楽しかった。

裏銀座というと七倉から日本三大急登であるブナ立尾根を登り、槍の北側から回り込んで槍ヶ岳に繋がる一連の縦走路を指す。
北アルプスの奥地であり、テント場が少ないということもあり、割と行くハードルが高くなりがちな山域ではないだろうか。
特にテント泊だと烏帽子小屋から三俣山荘までの間はテント場がないため、その区間は長距離を歩かざるを得ない(小屋泊は小屋泊で、収容人数が多くはないため予約のハードルが高そう)。

そんなハードルが少し高いルートだからこそ、人も少なく、静かに山と向き合うことができる。また水晶岳付近は北アルプスのど真ん中で、見渡す限りの山々に囲まれて、山深さを感じることができるのも山好きにはたまらないところだと思う。

ルート

七倉から入山し、ブナ立尾根を登ってそのまま裏銀座を縦走。双六小屋から槍には登らずに新穂高に下山する。途中、時間に余裕があったので水晶岳のピークも踏むことができた。

槍ヶ岳まで含めると最低でも3泊は必要になってしまい、休みが取れなかったので今回は槍には行かずに下山するコースにした。

活動ログ

距離:43.2km
獲得標高:3629m
タイム:Day1: 9時間04分、Day2: 11時間57分、Day3: 8時間56分

詳しくは YAMAP 参照
https://yamap.com/activities/34301536

Day1

今回も毎日アルペン号の夜行バスでアクセス。新宿から乗車したのだけど、バスの調子が悪いとかで談合坂SAで他のバスに乗り換え。北アルプスの他の登山口に行くアルペン号のバスに空席を見つけて、皆それぞれ散り散りに乗り換える。諏訪湖SAで代わりの七倉行きのバスが用意されているっぽいので、そこでまたみんなそのバスに乗り換えるとのこと。北アルプスに行くバスはみんな談合坂SAと諏訪湖SAは止まるからこんなことができるのか。それにしても他の登山口に行くバスに空席があったから良かったものの、満席で乗り切れない場合どうなっちゃうんだろう。

2回もの乗り換えとSAでの長い待ち時間とで、落ち着いて寝ることができずに寝不足のまま到着。予定よりも遅く、降車地である七倉山荘に着いたのが朝の4時半。まあ無事着けただけ良いとしよう。

4:30 七倉山荘

七倉からブナ立尾根の登山口である高瀬ダムまでは自分の足で歩くか、七倉山荘から高瀬ダムまでを往復する乗り合いタクシーを使うかの二択である。歩きの場合は1時間半〜2時間ほどで、タクシーの場合は15分ほどで高瀬ダムに着く。ただし、タクシーの場合、始発の時間までは七倉で待つ必要があり、この時期の始発は6時である。
バスが時間通りに到着した場合、タクシーを待つより歩いた方が早く登山口に着けるので、当初は歩いて行こうと思っていたのだけど、バスの到着が遅れたのもあって、これならタクシーを使っても時間も変わらないし体力も温存できるな、ということでタクシーを使うことにした。

歩く場合はこのゲートを超えてトンネルの中を進む

タクシー乗り場に自分が並んだ時点でザックが7つほど置かれていて、これならタクシー一巡目に乗れるかな、と思いきや一個のザックでパーティ全員分の並び扱いにしている人たちがいて、どんどんと前に割り込まれて結局二巡目になってしまった。並ぶなら全員揃ってからにしてほしいなあ。普通に列に割り込まれた感じがしていい気がしない。

6時になるとタクシーがやってきて、運転手さんが「4人組作ってー」と促してくれるので、並んでいる人同士であらかじめ4人組を作って割り勘して待っとくスタイル。料金が半端で4等分するのが難しかった。潔く1600円とかにしといてほしいところである。タクシー使う人は小銭を用意しといたほうがいいです。

ちなみにこの時期タクシーは二台体制だったので、一度に運べるのは8人まで。往復で30分はかかるので、1巡するごとに30分待つことになる。この日は夜行バスとマイカー組で50人ぐらいは並んでいて、さらにその後から裏銀座登山バスがやってきたけど、その人たちはかなり待ったんじゃないかなあ。

七倉までは、2023年から裏銀座登山バスというのが運行開始されたので、信濃大町からバスでアクセスすることもできる。とはいえ信濃大町周辺に前泊しないと朝のバスに乗るのは結構難しそうなところではある。

崩落の影響で、途中タクシーを降りてヘルメットを借りて徒歩で移動する区間があった。歩いた先でまたタクシーに乗る。
いかにも危なそう

そんなこんなで高瀬ダムに到着。時刻は7時前。

高瀬ダム

このトンネルを通ってスタート。

トンネルを抜けるとすぐ吊り橋。

不動沢吊り橋。
大町↔︎烏帽子岳の看板
濁沢キャンプ場 利用禁止
丸太橋

いい天気で日差しが熱い。
10分ほど歩くとブナ立尾根の登山口に到着。ここから日本三大急登か…。急登を4時間ずっと登りっぱなし。傾斜がすごいらしいんだけどテント担いで登れるだろうか。

7:15 ブナ立尾根登山口
12の看板、つまりここは12分の1合目ということ
標高差1250mなので大体100mごとに看板が設置されている

いきなり鉄階段が出てくる。整備されているのはいいけど、階段なしでも登れる取り付きポイントはなかったのかな。しばらく階段が続きます。

いきなり階段
初っ端から急登

日差しが強くて汗ダラダラ。汗かきすぎてやばいので少しペースを緩めてゆっくり登る。特に危険箇所とかはないけど、とにかくずっと急登が続いている。ちなみに、今回のザックウェイトは13kgぐらい。

看板9
8:20 看板8

6番、ようやく半分!登り始めて2時間弱ぐらいかな。

8:52 看板6
ちょっと広めの休憩スポットになっている

ここまで登ってきてまだまだ元気。今日は調子がすごく良い。そしてこのブナ立尾根、急登は急登なんだけどすごく登りやすい。なんだろう、自分の歩幅とあっているのかな。登りやすくてグイグイ登れる。
この辺から風も吹き始めてそれが心地よい。

途中で休憩中のお姉さんに追いついてちょっと雑談。烏帽子小屋のテント場はサイトを見ると20張程度と書いてあるので、今日はぎゅうぎゅうなのかなあなんて話をした。結果、全然余裕だったのだけど。
話を聞くとどうやら今回が初めてのテント泊らしい。いきなりで烏帽子小屋のテント場を選ぶのか。人からおすすめの場所とかを聞くと、逆にそういうところでやるのは嫌になるとのこと。
先に行ってもらったけど、その後結局追いつけなかったなあ。健脚だ。

上から見るとこんな感じでかなり急傾斜に見える
たまに木々の間から向かいの山が見える

また別のソロのお姉さんに遭遇して少し雑談。RIDGE の山シャツ着てたのでリッジシャツ姉さんと呼ぼう。この人は今日烏帽子小屋でテン泊して、明日は三俣山荘でテン泊して槍方面に行くっぽいので3日目の双六岳まで全く一緒の道のりだ。自分は双六から下山だけど、その人はさらにそこから笠ヶ岳に寄ってから引き返して槍を登って下山らしい。すごい行程だなあ。

9:56 看板3
景色が開けると絶景!あれは不動岳かな?
とはいえ道はまだまだ樹林帯
10:30 看板1
明日歩く予定の稜線が見えてテンションが上がる

お、青い屋根、小屋が見えたー!

小屋とその奥には三ッ岳

10時50分、登り始めて約3時間40分で烏帽子小屋に到着。コースタイムよりちょっとだけ早いかな。ブナ立尾根、実に登りごたえのある道だった。

10:50 烏帽子小屋
小屋前はベンチがあって休憩できる

玄関の看板にテント場でクマの目撃情報多数って書いてあるな、怖いわ。
小屋の前で休憩してたお兄さんと会話。暗いうちから登り始めて、烏帽子岳の山頂で2時間ぐらい晴れるのを粘って下りてきたところらしい。今日はまだこれから野口五郎小屋まで行くっぽい。行程を聞いたら、裏銀座から槍まで行って、大キレット、ジャンダルムを経由して下山するとのこと。この人もとんでもないルートだなあ。長期縦走する人ばかりだ。

外トイレ

小屋のすぐ前に外トイレ。(多分風とかで開かないように)ドアの外側からかんぬきをかけることができるんだけど、自分が中にいる状態で鍵かんぬき下りちゃったら出られなくない?と思った。
手前のは空き缶を潰すやーつ。潰して捨てるスタイルらしい。

小屋でテント泊の受付してテント場に移動。小屋から3分ぐらいかな。

明日歩く稜線はガスの中
テント場に向かう途中に振り返ると小屋の向こうに前烏帽子。烏帽子岳はその向こうに隠れていて、ここからは見えない。

お、テント場が見えた。まだ全然空いてるじゃん!

テント場。奥の方まで続いている

思っていたよりかは広くて、20張どころかその倍は全然張れそうな感じではあった。木々に囲まれてて安心感がある。
テント設営完了。目の前には三ッ岳がどーんと見えている(雲の中だね)。

静かで良いテント場
烏帽子小屋は今年で100周年らしい
今回の食料

小屋に戻ってお昼。烏帽子小屋は軽食やってないのでカップヌードルを購入。

フタ留めに烏帽子岳シールつけてくれる

テントで小一時間昼寝してから烏帽子岳の山頂アタック。ブナ立尾根の途中で話したリッジシャツ姉さんとたまたまタイミングが被ったので一緒に登ることに。この人とはこの後の2日間で何度か顔を合わせることになる。

小屋から烏帽子岳までは40分ほどでそこそこかかる。天気は曇り。今日はまだいいけど、明日の天気が雨模様っぽいんだよねえ。会う人会う人明日の天気が不安だねえと言っている。

白い砂の地を歩いていく

振り返ると明日歩く予定の稜線がドーンと見えているけど、雲がかかっている。時たま青空も見えるけどいまいち天気がスッキリしないので、山々の全容は未だ掴めていない。

野口五郎方面の稜線
前烏帽子までは緩やかに登り
前烏帽子

前烏帽子まで来ると烏帽子岳の姿が見えるようになる。とんがりが特徴的でかっこいい!なるほど烏帽子のように尖っている。烏帽子小屋からだと前烏帽子が重なって烏帽子岳が見えないので、ここに来て急に見えるというのもいい。

烏帽子岳
いい雰囲気

烏帽子岳への登りは結構足場が狭いところや岩登りするところがあるのでやや注意が必要。

鎖場
足場が狭いので注意

烏帽子岳登頂!今回の縦走1個目のピーク ✌️

14:30 烏帽子岳山頂

登頂したはいいものの周りはガスだらけで何も見えない笑
晴れていてば立山が近くに見えるらしいんだけど。

分岐まで戻って、せっかくなので南沢岳の方を探索。

烏帽子岳と南沢岳の分岐

南沢岳までの道は結構狭いところやぬかるみになっているところもあり、地味にアップダウンもあって歩きにくかった。ただ、そこを抜けたところに池がいくつかある湿地帯みたいなゾーンがある。四十八池というところかな?天空庭園感があって歩いていて楽しくなる道だった。
思いのほか南沢岳の近くまで来たけど、今日は夕日見えないだろうし、登ったらそこそこ疲れそうなのでここらで引き返す。

四十八池

テント場まで戻ってまた昼寝して、早めの晩御飯。夜行バスで眠れなかったのでこの日は早々に就寝、しようと思ったんだけどテント場で大宴会している男女5人組がいて全然寝られない!しかも話してる内容が大学生ばりの下ネタでしょうもない笑
結局21時過ぎまで大声で話しているので中々寝付けなかったなあ。まあ深夜まで続かなかったのでヨシ。仲間とのテント泊を楽しむのはいいんだけど、夜はもうちょいボリューム絞って欲しいところ。

さて、明日は割と長丁場で、野口五郎、水晶、鷲羽と登って三俣山荘まで行くロングコース。ワクワクするなあ。天気が不安ではあるが、どうなるかな〜。

Day2に続く。


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