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在日外国人のキャリアを考えるー日本政府に隠された在日外国人の実態#2

 こんにちは!法政大学キャリアデザイン学部1年の中野です。前回から全3回かけて「在日外国人の実態」をテーマに私のおこなった研究・調査に関してお話ししています。高校での卒業論文レベルですので、優しい目でご評価ください。今回、第2回として「暮らす」に関わるに軸を置きお話します。

生活上の諸問題
Ⅰ.「香辛料の匂いがキツイ。」

 埼玉県川口市にある芝園団地には約5,000人の住民が住んでいますが、その半数近くは外国人担っています。1970年代の高度経済成長に伴い、都市部を中心に団地が数多く建設されました。そんな中、芝園団地は1978年に着工され、2,500戸に対して応募が殺到たものの、現在では、高齢化に伴い、団地内にあった小中学校は閉校となるなど、人口が減少していました。それを救ったのが在日中国人でした。

 新山勝利氏(2019)によると、「―前略―1979年当時、韓国・朝鮮の住民数は1910人、中国は86人しかいなかった。それが1993年にそれぞれ2601人、2683人になり中国が追い抜き、2019年には3047人、2万1036人と約7倍の差がついた。この鋭角の右肩上がりの人口増加は、今後も増えていくだろう。―中略―川口市芝園町は川口芝園団地の9割程の面積を占めるが、2016年にとうとう外国人が日本人の人口を抜き、2019年には外国人比率が54.5%に達した。現地や川口市役所などで取材したところ、住んでいる日本人は高齢者が多く、外国人のなかでは中国人比率が60%を超えているそうだ。」としている。

 2019年4月の入管法の改正により、事実上の移民政策が解禁されたこともあり、川口市の外国人はさらに増加。この芝園団地では、多文化がともに共存しているからこそ様々な問題が生じています。外国人による不法投棄の問題や居住地での一般的なマナー(例えば、ゴミの日も守る、ゴミを分別する等)を守らないなど多々あります。他にも、芝園団地では中国人の使用する「香辛料」の匂いがキツイという問題も生じました。中国人は食文化を背景に多くの香辛料を使用。これは彼ら中国人にとっては普通のことであるが、日本人にとっては一般的ではありません。文化の違いによって様々な問題が生じている事実があります。つまり、ここ芝園団地には国籍による壁ができています。

 これらの解決のために動いたのが、首都圏に住む大学生を中心とした学生ボランティア団体の「芝園かけはしプロジェクト」。彼らが活動を始める前は、日本人による外国人住民の差別が多かったといわれています。ベンチに誹謗中傷が書かれるなどといったことが横行。彼らはこういった差別の根絶に挑戦しました。その一つが、落書き机直しプロジェクト。住民たちによって差別的な落書きのあった机やベンチにカラフルな手形を付けて机をアートに変えることを行いました。

 芝園かけはしプロジェクトではほかにも様々な交流を生む企画を学生主体で行ってきています。しかし、それだけでなく、公募企画を募ったり、その企画・運営に住民が携わることで、より日中を始めとした密接な交流が生まれ、これを通して相互理解を生ませる活動もしています。これが彼ら学生ボランティア団体のモットー「多文化・多世代が共生できる、より暮らしやすい芝園団地を目指して」に通じるものなのでしょう。

Ⅱ.日本人の異文化共生上の課題

 なぜ日本人は外国人と共生することが難しいとされているのかということについて考えていきます。アメリカのような多文化がかつてから共存している国とは何が違うのか。異文化共生を実現していく上での課題として3点あげます。

 第一に、日本には、「敬語」という文化があります。これは、お互いの距離を確かめるのツールと言われ、現在では、上下関係をはっきりするためのツールという印象が強くなっています。本来は、人同士の「間」をとるための言葉使い。日本人とアメリカ人でのコミュニケーションの違いは、この「間」が関係していると考えられています。日本人は、周囲の反応・周囲の目を意識し、「空気を読む」といった傾向があります。それは、お互いの「間」を意識するがゆえに起こるもので、さらに言えば、「間」の意識が強いからこそ、上下関係にこだわるとも言い換えられます。

 アメリカに幼少時代に住み、日本へと移住してきた方の意見では、「よく日本語は美しい言語だなんて言いますが、コミュニケーション言語としては最悪だと思います。日本人が初対面の人にフレンドリーに話せない理由の一つは、敬語があるからだと思います。」と述べている。英語には、丁寧な表現はあるが、初対面の人に対しそれを用いなかったからといって失礼に当たるということはありません。中国語も同様です。日本語と英語の人称代名詞を比べればその差は歴然。

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 日本語では、1人称の単語として、「俺・私・僕・自分」など様々な言い方があるのに対して、英語や中国語では、「I」や「我」など使い分けがありません。前述の通り、日本人は「間」を意識します。それゆえ、初対面の人の年齢や立場を気にし、無意識的に相手に応じて言葉を使い分けています。そのような言語的特徴もあり、気軽に話しかけるといったことは容易ではありません。アメリカ人がフレンドリーなのは、この「間」を意識せず、「平等な立場」を保とうとするからであるといわれています。

 第二に考えられる要因は、「和」の精神というものだろう。日本人は、第三者となるべく争いを避け、周囲と平和的に協力しようとします。言い換えれば、「他人に迷惑をかけるな」といった精神の生んだ結果であるでしょう。世の大半の家庭では、「他人に迷惑をかけてはいけない」としつけられて育つ。これもまた、前述の「間」の意識に通じるものであるといえます。日本が外国人受け入れきれない理由には、こういった言語・文化・精神に関する背景があるといえるだろう。この固定概念を打破しないことには、日本に異文化が共生するといったことはまずないだろう。

 第三の問題は、この固定概念にあると考える。以下の図は日本と中国双方がお互いをどのように感じているかという調査の統計である。

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 この図からわかることは、中国人の日本に対する印象は近年、良い方向へと推移している他、中国国内の大手新聞社が行ったアンケートによれば、中国人にとって日中関係は戦後最も良好であるという結果が出ています。しかし一方で、日中関係は改善の歩行には進んでいません。その要因は、日本人の中国に対する印象が悪すぎるということでしょう。これは近年急激に悪くなったというわけではありません。2011年以降、80%以上の日本人が中国に対し悪い印象を持ち続けている現状にあります。これは日本人の持つ、中国への固定概念が影響しているとも考えられます。つまり、外国人に日本の理解を求めるのも重要ではあるが、一方で外国人を受け入れる日本がこういった固定概念で判断する現状では相互理解は進まないだろう。


 今回はここまでにします。次回は「学び」の分野から「在日外国人の実態」として不就学問題と日本語教育に関しての話をします。このnoteを読んでくださっている方の周囲にも在日外国人がいるのではないでしょうか。あなたのその視線が彼らを苦しめている可能性が大いにあります。是非1度、外国人に対するあなたの考えを振り返り、偏見のない平等な目で接することが重要なのかもしれません。

 今日のニュースでもアメリカで黒人男性が警察官に首を絞められるという残念なニュースが流れてきました。日本も今では多文化が共存する社会になっています。「共存」から「共生」へと変化できるよう、外国人のキャリアに関して今一度考えるべき局面に立たされているのかもしれません。

それではぁ~!


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