2024年 58冊目『エーリッヒ・フロム 孤独を恐れずに自由に生きる』
人はなぜ非合理な行動に走り、集団では理性を失うのか?
この問に対して、フロムはフロイトの精神分析とマルクスの社会科学を融合させた「真の人間法則」にたどり着いたのです。
私はフロムの『愛するということ』を読んで衝撃を受けました。
愛されることではなく、愛する事であり、それは技術だという話でした。
今回の本も素晴らしい本でした。
ドッグイヤーをつけた個所をメモしておきます。
2種類の権威
・合理的権威:客観的な能力に由来する権利:専門家
→自律的服従:自分自身の理性で受け入れる
→他律的服従:そのまま受け入れる
・非合理的権威:人を支配する力
→服従していることを自覚していない人は更に問題
→合理的で実際的であるから従っている
ユダヤ人大虐殺の責任者アイヒマン
同調
・匿名(誰か分からない)の権威が働くメカニズム
・同調圧力に屈すると個性を失い私ではなくなる
→現代人の危機から救い出すのが「理性」
→「理性」は「考える」と「見抜く」の土台
→「理性」には、関係づけと自己感覚が必要
私としての個性を失っていない時だけ、私は考え、理性を行使できる
→私を持たないように教育を受けた人は、根本的に不幸
良心の声に耳を傾ける
・良心の声を聴く技術には、自分一人でいるという能力が必要
・しかし、現代人は自分が所属する集団での孤立を恐れるので、これができない
・人はその集団での一員だけではなく、人類の一員でもある
→人類との本当の連帯を感じることができれば、社会か人類かという葛藤は無い
同化と社会化(世界との関係の持ち方)
・同化:ものを獲得すること
1ものを与えられる
2ものを力づくで獲得する
3ものを貯蓄する・交換する・生産する
・社会化:自分を他者(及び自分自身)と関係づけること
1服従する
2支配する
3破壊する、愛する
生産的な愛と思考による孤独の克服
・人間の「孤独を脱したい」
・人間の「他者と一体になりたい」
→完全な答えは、愛の中にある
→愛だけが、人間存在の問題への唯一の、健全で満足のいく答えである
愛における共生的な結びつき
・母親と胎児の関係
・共生的な結びつき:独立した存在になってもこの結び付きの中で生きたいと思う人
・共生的な結びつきの受動的な形が服従
・同 能動的な形が支配
成熟した愛
・孤独になったもの(自分と相手が切り離されて疎外した状態)同士の結びつき
愛は能動的な活動
・自分の人間としての力を信頼している人が与える(愛する)ことができる
※生産的な人は与えることに見返りを求めない
愛の基本要素
・与える、配慮、責任、尊敬、知識
▼前回のブックレビューです
▼PIVOTに出演しました。よかったらご覧ください。
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