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2022年 9冊目『社会学史』


松岡正剛さんの塾に通っているのですが、課題図書です。

特にⅢシステムと意味をきちんと読むようにというお題なので、そこだけメモりました。

Ⅲ システムと意味
1 パーソンズ 機能主義の定型化
1-1 社会学、アメリカへ渡る

アメリカ社会学の勃興←ナチスの勢力拡大でユダヤ人がアメリカに亡命
移民の研究
アメリカ建国の精神→ピルグリム・ファーザーズ
シカゴ大学のシカゴ学派

トーマスの定理
→人がある状況を現実として定義すると、その状況は結果として現実となる
パーク
→ジンメルのStranger(よそ者)を一般化してMarginal Man(境界人)
パージェンス
→同心円モデル(都市の発達の過程)
タルコット・パーソンズ
→構造-機能主義
→主意主義的行為理論: voluntaristic theory of action
2つの敵
重要な敵 功利主義 utilitarianism←合理性と目的のランダムネス
功利主義では解けない問題
 ホッブズ問題:社会秩序はいかにして可能か?
 功利主義だと、ホッブスが前提にした自然状態になり、社会秩序は生まれない

パーソンズの主意主義的行為論
4人の学者が登場(あと2人が重要)
1 マーシャル(功利主義的な世界観の代表)
2 パレート(パレート最適:複数の人の満足が均衡している状態)
 →功利主義的な論理的行為+非論理行為
3 デュルケーム(道徳的な結合性の重要性)
4 ヴェーバー(観念論、理念や道徳を重視)

特徴
1 功利主義の目的合理的行為+感情的行為、伝統的功利、価値合理的行為を考える
2 功利主義の動機や感情+価値、規範、役割などを重視
3 行為の受動性と能動性の両面を見る

パーソンズの「社会システム」
指向:行為者が客体に対して何らかの関心を向ける事
1 動機指向:行為者が客体に対して欲求の充足を期待
2 価値指向:行為者が客体に対して文化的な価値の実現を期待

それぞれ3つのアクセプト
認知的:客体が何か?
カセクシス的:欲求を満たしてくれるか?
評価的:全体として客体にとってどのような価値があるか?
 →価値指向があるから社会秩序は可能になる
 
共通の文化的価値や規範が、行為者に「内面化」され、社会システムに「制度化」されているいるので、社会秩序が可能になる

内面化:社会化を通じて、一定の文化的価値と基本への同調が、行為者の欲求の一部に
制度化:文化的価値と規範が、制度化し、報酬と制裁によってコントロールされる
→社会秩序が成り立っているために社会秩序は可能?←パーソンズへの批判

1-4構造―機能理論
社会システムとは何か
システム:要素の集合であって、かつその要素の間に独特の関係性がある
社会システムの要素:社会的行為(パーソンズ)、コミュニケーション(ルーマン)
構造-機能分析
 構造分析と機能分析の両方を持っている
役割:諸行為や諸集団は、システムの機能達成のために、必要な役割を分担
構造:役割の間の関係
パターン変数:行為者が客体に関わる時の関係性の性質を記述する(あれか、これか)」
1感受的/感情中立的
2集合指向的/自己指向的
3個別主義/普遍主義
4属性主義/業績主義
5無限定性(人格的)/限定性(物象的)
ゲマインシャフト(本質意思:人格的)/ゲゼルシャフト(選択意思:物象的)
ゲゼルシャフト
1 会社:対目的
2 市場:即目的
構造-機能分析の論理
社会状態:社会構造(会社の組織図)、人員を配置し、役割を果たすと会社の動きが起きる
社会状態:互いに関係のある要素=変数の組合せ
→相互連関論:例 会社の各組織が相互に連動している
→機能評価:相互関連論から導かれた社会状を機能要件の達成度に合わせて評価
つまり
機能的要件→(制御)→社会構造→(相互連関)→社会状態→機能評価→機能的要件に戻る

3-2意味構成システムとしての社会

官僚から転身したルーマン
フランクフルト学派(非常に柔軟なマルクス主義者+フロイトの精神分析)のハーバーマス
→なぜドイツはナチスに精神的に支配され、政治的にも支配されたのか
公共性の構造転換
→市民的公共圏が20世紀になって崩壊し、危機に陥っている
→原因は組織的な資本主義(国会が積極的に介入する)
→ヨーロッパでは文芸的公共圏→政治的公共圏
コミュニケーション的行為(話し合い)の理論
→話し合い⇔道具的行為(≒成果指向的 典型は労働→目的―手段の合理性に従う)

コミュニケーション的行為:了解指向的 対話的理性に導かれる
道具的行為:成果指向的 道具的理性に導かれる
対自然的行為(労働)と対他者的行為をはっきり区別、異なる合理性に従っている

生活世界(フッサールから)はコミュニケーション的行為で成り立っている
→国家(官僚制)がここに介入→生活世界の植民地化(公共事業による過当競争)

ハーバーマス­とルーマンの論争

共著:社会理論か社会工学か(俺らは全然違うぜ)
分析への態度の違い
ハーバーマス:社会理論→正義にかなった公平な社会を目指す=規範的
ルーマン:社会工学→どのような社会が良いかはカッコに入れておいて、社会がどのように秩序を維持しているのか客観的に記述する=記述的
ハーバマス:社会は人間から成り立ち、理性的な討議により、合意が可能(少数者の恣意的な支配は排除)
ルーマン:社会はコミュニケーションがコミュニケーションすることで成り立つ(経済システムは、誰がお金を支払ったかは問題になってない)
ルーマン

体験加工の形式
システムとは何か?
1 機械
2 生体(生命)
3 意識システム(人間の精神あるいは人格)
4 社会システム
オートポイエーシス・システム(自己組織性を持つシステム)
→2生体、3精神、4社会
→意味構成的システム:精神と社会は「意味」に関係している
→社会システムの構成要素はコミュニケーション
→精神システムの構成要素は1つづつの思考
社会システムとは
①オートポイエーシス的であり
②意味を校正し
③コミュニケーションを要素とする
意味とは
可能性の地平
→体験加工の形式:複数の選択(可能であった)ものから、他を否定(ここでは排除ではなく、選択肢を貯蔵しながら)し、1つを選択する

意味の3つの次元
1 事象的(事物のレベル)
2 時間的
3 社会的

それぞれを一般化
1 事象的一般化≒抽象化 例 ホワイトボード
2 時間的一般化≒それの同一性が時間を通じて持続 昨日も明日もホワイトボード
3 社会的一般化≒共同体の誰にとっても 誰にとってもホワイトボード
→社会的一般化がコミュニケーションと結びついている

コミュニケーションの構造
3つの選択の総合
・送り手に属する選択(①情報の選択、②伝達そのものの選択)
・受け手に帰属する選択(③理解)
大澤さんは4つ
・送り手 オブジェクトレベル ①情報 メタレベル ②伝達
・受け手 オブジェクトレベル ③理解 メタレベル ④受容/拒絶
とても人間的なシーン

コミュニケーションについての2つの謎
1 接続可能性
接続:前のコミュニケーションで選択されたことが、次のコミュニケーションでは前提
2 伝達されると高い確率で受容される→社会に秩序をもたらしている
 →人類だけ。他の霊長類でも見られない

システムと環境という区別
オートポイエーシス(自己創出的)
第一世代のシステム(部分の総和を超える全体があるが何故か?)
第二世代(ルーマン)のシステム→システムと環境の区別
 システムの内部では複雑性(可能性の大きさ)が小さくなっている
  例 授業中にして良い事は限られている

インプットもアウトプットもない
 インプットやアウトプットとの関係も、システムは自らの中に操作的に内在
 例 免疫システムも、レセプターが感じるものだけに反応する

構造的カップリング
 社会システムはインプットもアウトプットも無いが、孤立しているわけではない。
 互いを環境として必要としている状態
自己組織システム:システムの秩序をシステム自身が自ら作り出すことができる
→最も強いバージョンが、オートポイエーシス
最も強い:システムの要素が、要素どおしの関係を通じて生産されるようなシステム
例 生命、精神システム、社会システム

社会システム:人間の意識的な統御の及ばないかたちでコミュニケーションは次々と接続され、自律的に秩序を形成されていく
複雑性の縮減と増大
ルーマンの社会進化
 進化:複雑性を縮減するシステムの能力を高めるためには、システム自身の複雑性を大きくしないといけない
→最小多様度の法則(システムの内的な多様度と、そのシステムが対応できる環境の多様度には正の相関がある)

社会進化の3つの段階
1環節的システム:同じようなユニットが水平に接続
2成層的システム:権力の大きさに応じて垂直的分化
3機能的に分化したシステム:政治、科学、経済・・・
→分化したシステムはメディアを持つ 経済:貨幣 科学:真理
→メディアは二項対立コードを形成:貨幣を払うか払わないか、真理が真か偽か
ルーマンの要点(二重の偶有性:contingency):不可能ではなく(可能である)、そして必然ではない=他でもありえた
→私の選択も他者の選択も他でもあり得る←大澤さんは他者がいるから偶有性が成立する
普遍化された犯罪としての秩序
問 社会秩序はいかにして可能か
→秩序が成り立っている状態は、複雑性が縮減している時、偶有性が小さく、吸収されているように見える
例 授業で授業以外のこともできるのに、授業だけしかできないように振舞っている
→偶有性は完全に消え去らず、残っている
→偶有的なのに、秩序が成り立ち、互いの期待が満たされるのは奇跡である

ホッブスの社会契約説
→犯罪の普遍的可能性(誰もが殺人や強盗のような犯罪をしている状態)が社会秩序へと変容する。
→消えない偶有性こそが、社会秩序の原点であり、秩序を生み出している。
機能―構造主義

パーソンズの理論は、構造―機能主義
→システムには機能的要件という満たされなければいけないも言う目的があって、その目的を満たすような構造が選ばれる

ルーマンは機能―構造主義

→機能的要件を満たすには、どのような構造が他にあるのかを開示するために、機能を活用
ラディカルな構成主義
ルーマンの立場 ラディカルな構成主義
→「観察」:システムが認識し、対象を識別すること
→「存在」:システムの「観察」によって構成されたもの←根源的な構成主義

ラディカルなアイロニズム
社会の社会:社会はそれ自体、社会の自己観察の産物として実在する
→それぞれのシステムは、それぞれの見たいものだけが見えている
→あらゆるシステムにも通用する普遍的な真理などない
→それぞれのシステムに相関したかっこつきの真理や正義だけを認める
→ルーマンは相対主義(相対的な真理や、システムに相関した正義)

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