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2015年 14冊目『組織が動くシンプルな6つの原則』

大手戦略コンサルのBCGの本です。
部門の壁を越えて問題を解決する方法。と書かれています。
付き合いのある同社パートナーSさんから頂きました。

和訳本で一部理解しづらいところもありますが、とても参考になり、勉強になります。

組織再編、リエンジニアリング、リストラクチャリング、などのハードアプローチは、今日のような複雑な環境においては恐ろしいほど非生産的で、一方でチームビルディング、従業員主導の取組みなどのソフトアプローチの限界も露呈しています。

今、必要なのは6つのシンプルなルールだと言うことです。

これをBCGでは「スマート・シンプリシティ」アプローチと呼び、構成員の「自律」と「協働」を重視し、経営マネジメントのこれらを促進する力を問う点において画期的な方法だと言うことです。

私自身も「自律自転」をサポートするのをマネジメントの起点にしているので、納得感が高いです。ちなみに6つのルールは

1 従業員の行動を理解する

2 協働の要を見つける

3 権限の総量を増やす

4 助け合いを仕組み化する

5 助け合いの結果をフィードバックする

6 助け合った人に報いる

分かりやすくて、一見当たり前の事に思いますが、中身は深いです。
以前担当していた接客業では特に重要に思いました。

特に興味深いのは前半3つで3はなるほどと思いました。
権限の取りあいをするのではなく、権限を増やせば良いと言うのは納得感が高いですね。

ちなみに6つのルールの科学的基盤は、サイモンとシェリングのノーベル賞を受賞した理論に基づいているそうです。アメリカらしいです。

幾つかの事例が載っているのですが、それらが理解を促進させてくれます。

1つ例を挙げると、ホテルの受付の事例があります。受付の悩みは、顧客からの苦情対応でした。

苦情はテレビの故障、バスの蛇口の不具合。ヒータの不具合など保守管理の事が大半でした。

原因の1つは掃除係が、自分のミッション、生産性達成のため、問題に気づかなかったり、気づいても設備係に連絡しなかった事でした。

この不連携の尻拭いを受付係がしていたわけです。

受付係はなんとか自分で解決しようとして動き回り、(しかし設備係はすでに帰っている)結果時間がかかり顧客や上司から叱られるのです。

かなり理不尽です。
受付係の離職率はとても高い状態になっていたのです。

怒っている顧客をなだめるために受付係ができるのは、他の部屋を紹介するか、値引きをする事でした。

しかし、結果、部屋の稼働率は下がり、平均宿泊単価は下がり、収益は悪化の一途を辿っていたのです。

当初、受付係に客室稼働率を上げることでインセンティブ付与を行いました。

しかし、効果はありません。

なぜなら、受付係にできるのは苦情対応のために予備の部屋を確保しておくことだけだったからです。

また若い受付スタッフのトレーニングを行いましたが、これも効果を上げませんでした。理由は同じです。

つまり、掃除係が設備故障を見つけ、設備係が修理をすれば、苦情が減るのです。

それができれば、受付は予備の部屋を準備する必要もなく、値下げも不要で、受付係の離職率も下がるはずです。

どうするのか、それが上記の1から3です。

キャリアパスを複数部門経験を必須にしました。

また受付係に掃除係、設備係に指示を出す権限を付与し、評価に反映をしたのです。

効果は劇的でした。
2年間で各種数値は向上し、株価が3倍になったそうです。
行動観察の賜物ですね。

これ以外の事例も興味深いです。
お勧めです。

▼前回のブックレビューです。

▼PIVOTに出演しました。よかったらご覧ください。

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