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2022年15冊目『社会システム理論』

ニクラス・ルーマンの著書です。
松岡正剛さんの塾に通っているのですが課題図書です。

ルーマンが対象にしたのは、開放系システム
開放系のシステムは、情報がシステムの内外を出入りしている。
システムが情報をつかって(自己編集して)、自分自身を再生産している。
→再帰的、自己参照的、自己言及的

ルーマンは「意味」こそが社会システムの自己参照的な特徴を支えている“糊とハサミ”だと考えた。

社会や人間におけるモノとコトを成り立たせているものがルーマンの意味。
モノとコトの本質は不安定で不確実なこと。
モノやコトは、不安定で不確実。だから「意味」をつくりだしている。

意味創出にはリスクが伴っている。
意味はその不安定性や不確実性によって、みずからを突出させている。

どういうふうに突出させたのか。
→基本的には「区別」(distinction)と「表示」(indication)。
→システムが情報を区別し表示し、「意味」が生まれてきた。
→情報と意味とはシステム状態のちがい。
→システムは情報を自己準拠的に扱い、意味という社会性を生み出している。

意味創出の3つの意味次元(きっかけ)
1事象的次元
2時間的次元
3社会的次元
→3つの次元を通過するたびにコミュニケーションが動く

→社会システムはコミュニケーションを媒介に、社会的価値観にも心理的価値観にも結びつく
社会システムが価値をまさぐるときには、「相互作用」「鏡像作用」「相補作用」が組み合わさって、ダブルコンティンジェンシーをおこしている。

コミュニケーションは相互に調整されたオプションである
→コミュニケーションというのは不確かなもの。意図やメッセージが相手に伝わるかどうか、保証はない。

3つの不確実性
①自己と他者のあいだの理解の不確実性、
②コミュニケーションの到達範囲の不確実性、
③コミュニケーションによる成果の不確実性
→不確実なコミュニケーションが社会を行き来し、社会システムが多様なオプション構造をかかえうる。そのオプション構造を明示しているものが「メディア」。

環境システムは、物理的生物的なプロセスを包含しているから、社会システムより複雑で、非対称で複合的。

環境と社会は非対称。重要なのは環境が社会よりも複雑だということではなく、社会システムは環境を参照できるということ。

社会が環境を参照して、社会史は環境の複雑性を縮減する方向にむかって進んできた。
→「環境は社会システムのなかでは分化されていく」
→環境システムと社会システムのあいだには「意味境界」が見えてくるはずだという“予言”。

参考 バシュラールの認識の障害
①社会は人間の生活から考えなくてはいけないと思いこむ障害
②社会は人間たちのコンセンサスによって成立しているはずだと思いこむ障害
③社会は領土的な空間の単位であって、そこには別々の社会があると思いこむ障害
④社会は外部から観察できると思いこむ障害

ルーマンは次のようなことを相互的に自己記述していけば、社会システムは記述できると考えた。
①部分システムと社会システムの関係
②部分システムの相互の関係
③部分システムが自己自身に関して
この3つを相互的同時に進めるという方法。ルーマンはオートポイエーシス理論を採用。

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