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2016年 26冊目『専業主婦になりたい男たち』

少子化について様々な活動をされている白川桃子(とうこ)さんの本です。タイトルに興味を持って手に取ったのですが、偶然今月末にお会いする事なりました。引き寄せの法則でしょうか。お会いするのも楽しみです。

11万人の夫が妻の扶養に入っている!と帯にあります。知人のお兄さんが主夫をしていたり、同僚の旦那さんも主夫なので身近なテーマでもありました。

いわゆる専業主婦と同じような例は、あまり取り上げらていませんした。何らかの制約でなった男性ともっと柔軟に役割を捉えている男性の例が大半で、新しい学びがありました。

第1章は、なぜ主夫になったのかを具体的な事例を含めて紹介してくれます。

・ちなみに帯の11万人は、第3号被保険者の男性の数です。ですので年収130万円未満の男性も含まれています。ちなみに第3号被保険者の女性は949万人です。(ここに大きな潜在労働力があるんだなと思いますね)

・秘密結社主夫の友という会もあるそうです。この会のCEOの堀込泰三さんは、東大卒主夫(現在は在宅で翻訳業)として有名な、前向きに主夫に取り組んでいる方の例です。

・この主夫の友のイベントの参加者7人が主夫になった理由は、「健康上の理由」「圧倒的な収入差」「親の介護」「妻の転勤」など。

・妻がキッチンに入る割合は10%以下が5人、最高でも30%でした。

・主夫に向く人は「テーブルのものが落ちそうになったら先に手を出す人」→ならば私は適性ありそう。

・アメリカではStay-at-Home Dadと呼び、2012年で15万人超え、10年で2倍以上に伸びているようです。人口比を考えると日米は遜色ないですね。

・主夫の子育て戦略は4分類できるそうです。

1父親稼ぎ手で、母親が子育て担当だが、父が育児のプレッシャーがある男性二重役割。

2共働きなのに、父親は育児に参加せず、女性が二重役割。

3完全平等タイプ

4主夫戦略タイプ(役割逆転)

・この4になった男性を分類すると

1正直に生きたらこうなった

2職場からの逃避

3子育て大好き

4妻をサポート

5主夫は仮の姿で元に戻りたい

6主夫は仮の姿で自己実現が大事

第2章は女性がいかにして大黒柱になったのかが書かれています。

複数の大黒柱妻に座談会で質問をして、共通項を見つける試みです。

・共通項は「楽天家」「働くのが好き」「外にいるのが好き」「家事にこだわりがなく、苦手」「外では男、マッチョな職場勤務」「マネジメントができる」「好みなら男性を養える」

・面白い例が載っていました。バリキャリの女性とダンサーの主夫の組み合わせのケースです。3ヶ条あります。

・彼をニューヨークに連れて行ってはいけない。・・彼の夢を応援してはいけない。すると「タニマチ」にはなれても幸せな結婚にはならない。

・高いご飯は女友達と。彼におごりすぎてはいけない。・・デートは割り勘。これが彼を「ヒモ」にしないコツです。

・育てる。・・・山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」

第3章は主夫志望男性と主夫が欲しいキャリア女性のためのアドバイスです。

・キャリア女性は「男が働かないというと、なぜか大きな怒りを覚えるようです」

・働かない=ヒモと思われるようです。

・白川さんは男女20名ずつでイベントを開催してみました。実際の参加者は専業主夫と言うよりも共働き志向で、女性の収入が高くても問題ない男性など多様な人が集まって意見交換をしたようです。

第4章は「大黒柱マザー」を書いた小島慶子さんとの対談です。

・小島さんの場合、旦那さんが退職し、働かざるを得なかった。というのがきっかけとあります。その際に出てくるのが「無職のハニーを愛せるのか?」問題というがあるそうです

無職になった旦那さんを小島さんはなじったそうです。しかし、その際の旦那さんのリアクションが素晴らしくて(なじっているのは、過去小島さんにひどいことをした父親を含んだ男たち全般の話であり、私はそんな事を考えていないし、していないと言う説明)、関係性が良くなったようです。

・小島さんは言います。女性は目を覚まさないと。あなたが思うより、未来の夫は稼がないんです。20代なら年収400万円以上の人は4人に1人。600万円以上は100人に1人なのです。主夫はともかくも、自分が大黒柱になる気がないと拙い。

・企業のこと、イクメンのこと、日本の主夫レベルのこと、話題は多岐にわたり面白いし参考になります。

第5章は、あなたにも来るかも「ある日突然夫が主夫になる日」の話です。

・つまり急に夫が仕事を辞めるケースです。白川さんは友人などの声を聞いて丁寧に事例を説明してくれます。

第6章は、これからの夫婦戦略についてです。

・外国の事例や学生へのアドバイスなどが載っています。

・基本的なメッセージは、合理的に判断したほうが良いという事です。女性が高収入である場合、男性もハードワークな方を選ぶと、育児の際にどちらかが辞めるなどの厳しい選択を迫られるケースがあります。定時に帰られる仕事を選んでもらうと言う選択肢もあるという事です。

・滅私奉公的な会社で継続的に働き続ける事は出来ません。そこで無理をせずに「降りる」事も考えてはどうか?とアドバイスします。両方とも「降りる」事もあってよいのではないかと言います。

・私の知人も夫婦とも降りて、2人ともフリーで仕事をして、楽しく子育てをしています

・どのような形であっても、大事なのはカップルの関係のクオリティを上げていく事で、従来の考え方や因習に囚われない事だとあります。その通りだと思います。

・ちなみに主夫は「家事や育児を主体的に担う夫」の事だそうです。

・夫婦共働き(そのために働きやすい社会、企業を増やす)、夫婦共育児(そのために育児しやすい社会、体制を作る)が重要なんですね。

主夫の本とありながら、結論も面白く納得感の高いです。

▼前回のブックレビューです。

▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。

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