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2021年 43冊目『それでも日本人は戦争を選んだ』

東大の加藤陽子教授が高校生に日本近代史を授業した内容です。
中身も面白いし、勉強になるのですが、この進学校は賢い(質問が鋭い)なと思い、日本の未来は捨てたもんじゃないと感じられます。


いくつも参考になる話が載っています。
この先生に教えて貰いたいと強く思いました。
戦死者、捕虜、摂取カロリーの話は考えさせられますね。
12mの壁を破った話も凄いし、中国の胡適さんも腹のくくりが違いますね。

・戦死者の死に場所を教えられない国、日本
最後の1年半で戦死者の9割を出した。実際は戦争ではなく、病気や食料不足なども多い。

・捕虜になったアメリカ兵の死亡率の違い
ドイツでは1.2%、日本では37.3%

・日本は国民の食糧を最も軽視した国の1つ
敗戦間近の国民の摂取カロリーは10年前の6割
→農民が41%いたのになぜ?
→農民には徴収猶予がなく、ノウハウを持った人も全部兵隊に。素人が農業をしたが、生産性が落ちまくる。政府が農業に技術が必要だと気づき徴収猶予をしたのは44年。
→ドイツは降伏する2か月前まで10年前の1,2割増しのカロリーを摂取可能。

・ハワイの奇襲がなぜ成立したのか
ハワイ湾の水深が浅く、12mしかなかった。当時の技術(水深60m必要)では魚雷が機能しなかった。
しかし、日本軍は訓練して、3か月で12mの水深で攻撃できるようになった。

・歴史は数だ(レーニン) 
 数:戦死者の数
 →膨大な戦死者が出た時、国家は新たな憲法を必要とする。

・国民の力を総動員するために、国家目標を設定する

・戦争は政治的手段とは異なる手段をもって継続される政治に他ならない(クラウセヴィツ:戦争論)

・戦争とは相手国の憲法を書き換えるもの(ルソ―)

・歴史とは現在と過去との間の尽きる事のを知らぬ対話(カー:イギリスの歴史家)

・間違っていたのは国際連盟のほうだ(カー)
→だからドイツは第二次世界大戦を始めざるを得なかった

・政策掲載者は通常、歴史を誤用するという事。(メイ)
→自分にとって都合の良い事例だけを選ぶ

・中国喪失のトラウマがベトナム戦争の泥沼を導く(アメリカの歴史の誤用)

・満州に進出したのは
民党は新たな領土(植民地)に官僚ポストを取れ(福沢諭吉)

・日清戦争が起きたのは
日本が強い国であることを実証し、見せるのだ(陸奥宗光)

・日本切腹、中国介錯(胡適)

・アメリカとソビエトを巻き込むには、中国が日本との戦争をまずは正面から引き受けて、2,3年間負け続ける事だ(胡適)
→これからの中国は絶対に逃げてはだめだ。膨大な犠牲を出してでも中国は戦争を受けて立つべきだ(胡適)
→胡適さんは、その後駐米大使になって活躍(中国は凄いかも)

・ソビエト化を防ぐために、日本と妥協する(汪兆銘)
→胡適さんのいう事をすると、中国が共産化する(実際になった)

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