2022年 86冊目『日本文化の核心 ジャパンスタイルを読み解く』
10月から4回目になる松岡正剛塾AIDAに半年間通います。
その最初の事前課題です。
この国の深い魅力は本当に理解されているのだろうか?とあります。
メモしたところを残しておきます。
日本文化はハイコンテキストで、一見わかりにくと見える文脈や表現にこそ真骨頂がある。
理解する手がかりをジャパン・フィルター
・客神フィルター
・米フィルター
・神仏習合フィルター
・仮名フィルター
・家フィルター
・かぶきフィルター
・数寄フィルター
・面影フィルター
・まねびフィルター
・経世済民フィルター
日本文化の正体は、「変化するもの」にある
たいてい、「おもかげ」や「うつろい」を通してやってくる
→ジャパン・スタイル
「変化の境目」に詳しくなる必要がある
→白村江の戦い、承久の乱、日清戦争
村田珠光:心の文
九鬼周造:いきの構造
柳宗悦:民芸とは何か
岡潔:春宵十話
山本兼一:利休にたずねよ
岩下尚史:芸者論
中村昇:落語哲学
日本には何度も黒船(グローバライザー)が来た
・稲、鉄、漢字
稲:祈りと祝いの1年のサイクル
鉄:頑丈な農耕器具と武器
漢字:記録ができ、いつも読むことができるリテラシー
→日本語として使うようになった
日本の古代は柱の文化であり、中世は間の文化であった
立てる文化のルーツ
・柱を立てる
→村立て、国立て、身を立てる、志を立てる
結びと産霊(むすび)
・新たな力を生むものを示す
→注連縄(しめなわ)、水引
→息子:ムス・ヒコ、娘:ムス・姫
地鎮祭:4隅に4本の柱を立て、そこに注連縄を作り、決壊を張る
日本の神々は客神であった
・常世からやってくる神、帰っていく神、迎える神
和漢の境を磨く:引き算
・茶室
・枯山水
・衝立や板戸→襖や障子
→日本は「漢」に学んで、漢を離れ、和を仕込んで和漢の境に遊ぶ
中国語学習ブーム→日本語
紀貫之の革命
・古今和歌集の序:真名序と仮名序
・土佐日記(女性になって仮名で書いた)和漢の境と男女の境を超えた
日本の生活文化の基本に、「しつらい」「もてなし」「ふるまい」がある
くにぶり
・和漢の境をまたぐ→国内にも良いものがある
→六古窯:信楽、瀬戸、備前、丹波、越前、常滑焼
・儒学の日本化←国学(賀茂真淵、本居宣長)
・日本の農作物
・日本の薬
・鎖国(海禁)
古事記伝:本居宣長が1000年前の古事記を40年かけて日本語の文章として読めるものへ
中国離れで日本はこのままいけるのではないかとおごりが出てきた
・そこにアヘン戦争(1840)が起きる
→次は日本かもとオランダ国王の親書(オランダ風説書)に警告
1853年黒船
・西洋の力+日本にとってグローバルスタンダードの清国が蹂躙
→ジャパン・フィルターを通さずに取り込んだ
→和魂洋才にはならず、洋魂米才になった
→それではいかんと奮起して日清戦争、日露戦争→日本主義、アジア主義
イノリとミノリ
・日本人のグルーピング(柳田国男)山人、海人、常民(お百姓さん:様々な仕事の人)、遊民(商人、工芸、遊女)
・苗代→立春から八十八夜で田植え、二百十日収穫
→敬虔な祈りと稲の稔りに対する喜び
・稲穂の中に何かが稔る→稲魂(いなだま)→田の神
・奥能登のアエノコト(田の神を迎える行事)→お正月(江戸時代に全国に広がった)
・ハレ(フォーマル:よそゆき)、ケ(カジュアル、ふだん)
・新嘗祭(にいなめさい):天皇家でのイノリとミノリ
→新天皇の初めての新嘗祭が大嘗祭(おおなめまつり)
・米は国の富であり、租税や年貢も米、収入源も石高
・税制:租庸調
・土地は国有:公地公民制と班田収授法→三世一身の法→墾田永年私財法→荘園
神と仏の習合
・日本は多神多仏の国
・日本人の信仰はシンクレティズム(混淆的信仰感)→そのつど信仰の向きを選択
→リミックス(エディティング)が得意
・多神多仏→インドからの流れ、日本の神が八百万
・エディティングリミックス:和光同塵←老子:優れた才能を隠して塵のように世間とまじわること
→本地垂迹(遠いインドや中国で生まれた神や仏たちが化身として日本に来た)
・本地仏(インドなどにいる仏)→垂迹神(日本に仮に表れた)
→変化する
神様:皇室神道、神社神社、民族神道、教派教派、原始神道、古神道、国家神道
→明示せずに暗示的にしておきたかった
仏:もともとは他国神
→蘇我は仏を敬う、物部は仏を排斥→蘇我+聖徳太子が勝ち仏!
→鎌倉期:浄土真宗、日蓮宗、時宗、禅宗・・・日本的霊性
→徳川時代:寺請制:寺と地縁と檀家
→仏の見せ方(仏像)と神の感じ方
和する、荒ぶる
・和事と荒事の併存
・和、大和、日本
→倭→7世紀後半から八世紀 日本(701年)当時はやまと
・和魂(にぎみたま)と荒魂(あらみたま)
・アマテラス(伊勢神宮)ースサノオ(出雲大社)
→出雲が基礎を作った国を高天原が譲り受けて、大和を作った
サビ、もののあはれ、あっぱれ
・サビ:寂び←すさび:別のことに夢中になっている
→もののあはれ につながる
王朝貴族が好んだ美意識や心情
→あはれ→あっぱれ
詫び
・不如意をお詫びして
漂白と辺境
・マージナルを重視する日本
・在原業平の東下り:伊勢物語 昔、男ありけり
・更級日記、土佐日記、奥の細道
漂白者
・ヒルコ→夷三郎殿→恵比寿様
・平家や義経や能舞台の漂白感
無常と惻隠の情
・仏教的諦念→無常観→惻隠の情
みやびとひなび
・漂白、落剝、無常、辺境、巡礼、道行
→うつろいの肯定
・みやび(宮び:都会主義)、ひなび(鄙び)の共存
うつろいと負い目
・負い目を許容する
・日本はディストピアを重視してこなかった
・センター志向が薄弱(家康が初めて作った)
・フラジャイルな島国
・うちなる浮世は常ならず
・神が客神
→地方創生は辺境に着目した方が良い
型・間・拍子
・型:○○道
・五輪書:地水火風空
→型と流儀
・型
→形木:鋳型:テンプレート
→動作がかかわる型
→スタイル、タイプ、モデル、モード、パターン、フォーム、フレーム、
テンプレート、モールド
伸び縮みする間拍子
・型は、間や場を考慮しないといけない
定型
・五七五、五七五七七など
秘伝としての型
・古今伝授:口伝、切紙伝授
→カンナの切りくず一枚
小さきもの
・ポケモン、かぐや姫
・小さい神=スクナヒコナ
・小さきもの うつくしきもの
・扇子とてぬぐいと端唄
・昭和の小さきもの
→根付、印籠
・ミニマリズムとの違い
→大きいのものを小さくしたものではない
・コギャル
まねび、まなび
・日本人はどのように「学び」をしてきたか
・江戸時代の読み書きそろばん
→儒学、仏教、往来物、そろばん→ロジカル・シンキングは育たない
・道理とリクツ
→御成敗式目:価値基準をすべて道理とみなした
明治政府
・新しい日本をつくること
・古い日本を自慢すること
お雇い外国人の功績
教育勅語と国体
・尊王のイデオロギーを近代向けに言い換えたのが国体
・明治政府のやろうとした2つの事は偏っていた
世阿弥の物学(ものまね)
・まなびはまねび←ヴィゴツキー
或るおおもと
国家:国という家、家が集まると国になる
聖徳太子と国家
・十七条憲法
→百姓有礼、国家自治
百姓:戸籍に良として示された多くの氏姓の集まり
・公家の序列
→摂家、清華家(公達)、羽林家(六十家)(公家、貴族)
・武家の成立
→源頼朝(鎌倉幕府)
御恩と奉公:日本封建制度のスタート
・分岐点としての承久の乱
→守護と地頭
→承久の乱:上皇側の惨敗→北条執権政治、朝廷には六波羅探題
→朝廷と幕府の双対性(デュアリティ)
→南北朝、足利、戦国、信長・秀吉、徳川250年
→武家伝奏(朝廷と幕府を繋ぐ役目)
「夜明け前」が問うたもの
・明治政府は「或るおおもと」を失っていた
家元制
・型の継承、流派と流儀の維持、メンバーシップの連携性、一家相伝、お稽古、一座建立、日本文化の重視
→免許制(疑似家族性)
茶道の伝承と家
・利休の詫び茶の様式の確立
・茶の湯や一客一亭:亭主が1人ずつの客にお茶をふるまう
・千家十職:道具つくりの専門家
親分子分と侠客たち
・中世のころ寄親と寄子
かぶき者
・慶長年間(1596~1615) 出雲の阿国 かぶき踊り
・バサラの系譜
婆娑羅(やりすぎ、派手すぎ)
→これが日本を活性化させるカギかも
・北面の武士→悪党→自由狼藉→バサラ→風流陰士→かぶき者→山東京伝→蘇我蕭白→滝沢馬琴→河鍋暁斎→月岡芳年→尾崎放哉→種田山頭火・・・寅さん
一休の過差と中道
・親鸞の悪人正機説:善人なおもて往生をとぐ、いはんや悪人をや(歎異抄)
悪人:too much
市と庭
・庭のアーキタイプ 神庭(こうにわ)、斎庭(いつきのにわ)、市庭(いちば)
・市庭→市場
・貨幣にはまじないの力がある:護符の一種
・支払いはお祓い
・お祓いは神様への支払い
・金の東国、銀の上方
・戦国武将の経済改革
→兵農分離→武家社会を維持するための商人、職人
・株仲間
→問屋家内制
文化
・その時代の、その民族やその地域のライフスタイルや文物のすべて
・リチャード・ドーキンス:文化も大きな意味で遺伝:ミーム(meme)意伝子
3つのアプローチ
A:縄文、仏教、武家、元禄、昭和(大きなくくり)
B:草履、俳諧、漱石、豆腐、団地、おたく(標的)
C:旬、ハレ、数寄、余白、粋(コンセプト)
日本という方法
根まわし、埒をあける(事態が煮詰まり過ぎないようにする)
さまとナリフリ
・様式:モード
・スタイルやモードを表す言葉
→風、様、流、式、派
なり、ふり、ナリフリ
日本文化のナリフリ
・ナリ:身なり、生業→成る
・フリ:振付、久しぶり、振返る→ジェスチャー
→それにあった服装→伊達、粋、通
粋と野暮
・派手:映え出
・粋、通、いなせ
・粋:(遊女の生きざま):寂しさ、恋しさ、媚態、意気地、あきらめ
いなせな男、伊達な女
・元は魚河岸のお兄さん
・鉄火や伝法なお姉さん
ニュースとお笑い:情報の伝え方に文化のフォーマットがあるので類似
・笑いを(過度に)欲しがる社会
・時事と風刺の歴史
→コーヒーハウス
・情報は一握りのものが独占
→王の耳・王の目、ミコトモチ
・キリスト教では、はじめに言葉ありき(神のロゴスがあって)
・漫才の誕生
→お笑い芸人を仕切り役やりたがり病!
・最近の情報文化が見劣りするのは、「いいね」文化の拡張?
→いいねに引っかからない情報を摩滅→それが文化
日本文化に関連する
・日本の電子文化は海外の情報機器に席巻されるのか
・日本人によるアプリやソフトがどのくらいひとってできるか
・記憶や学習の方法に質的変化が起きるか
・音楽や芸能が、日本人特有の間拍子や引き算が後退しないか
経世在民
・日本に広がる症状
・21世紀の黒船
→リーマン、鳥インフルエンザ、TPP,尖閣、徴用工、5G、などなど
→政府やお役所はやられっぱなしではないか
・日本を支配するフィクション
→80年代、貿易摩擦時に態度を改めず、説明もしなかった
日本は最善の選択をできない国、自由資本主義経済以外の経済を行っている国、海外が理解しにくい体制を維持
・与党は責任逃れ、野党は内閣なじり
・中央集権組織なのに、権力構造はどこにもない
哲学なき権力構造
・システムなきシステム
・権力中枢の不在を補うシステム
日本人は日本を説明したり解読したりするジャパン・コンセプトを作ってきたのか
修身より大事な格物致知
・本来は格物・致知・誠意・精神・修身・斉家、治国、平天下
→なぜか修身だけがピックアップされている
経済が失ったもの
・経世済民:世を治め、民衆を救う
景気も経営もアートだった
・和歌に余剰を盛る:景気をつける
・経営:水墨山水画の六法の1つ経営位置(コンポジション)
面影
・ないのにあるもの
・おもかげ(思い浮かべた時に脳裏に映ずるイメージ)とうつろい(変化、常ならず)
→日本は一途なおもかげを追い求め、多様なうつろいを通過してきたのではないか
内村鑑三と2つのJ
・JesusとJapan
→2つのJを愛する。第三のものはない。
清沢満之
・二項対立ではなく二項同体
ジョン・ダワー
・日本はJapanではなくJapansとして見た方が良い
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