ハイエナに会いに行く。~ホーチミン~ミトー#2~
ミエンタイのバス停からバスで一時間半の距離にミトーのバス停がある
そこから市街地までの距離を地図で確認したところ頑張れば歩いていけそうだと目測した。
バイクタクシーを使った方が効率的で楽だが、せっかくベトナムの田舎町まで来たのだからどんな町なのか散策しながら行こうじゃないか
それにお金も最低限で済ませたかった。実をいうとこれが一番の理由なのだが……
もしダメそうなら途中でタクシーを拾えばいいのだ。と自分に言い聞かせるように市街地まで歩いていくことにした。
しかし、これが間違いの始まりだったことに歩き出してすぐに気が付くことになる
道順はいたって簡単でバス停からまっすぐ行けば市街地付近にたどり着く
しかし道のりはそう簡単ではなかった
まずベトナム南部地方の炎天下である
コンクリートの照り返しも相まって体感温度は40度ほどに感じられ
僕の身体を焼け焦がすような直射日光が刺した。
その上、水分を持たずに来たもんだから、のどが渇いて仕方がない
しかしバス停以外に自動販売機や商店などといった気の利いたものは用意されていなかった
そもそも誰も市街地まで歩くことはないのだろう
さすがにこれ以上は危険だと感じタクシーを探したが、一向にタクシーが通る気配がない
そのうち通るだろうと、後ろを何度も振り返り探したがいつまでたっても通るのは乗用車ばかりである
そうしているうちに半分まで来てしまった
もうこのまま歩くしかないと腹をくくりひたすら何も考えず歩いた
前の陽炎を見ていると歩いても歩いても同じところを繰り返し通っているような感覚に陥ってしまう
僕はこんなところまできて何をしているのだろうか
少しの金をケチったばっかりにとんでもない目に合ってしまった
あのとき素直にバイクタクシーに乗っておけば……
頭が朦朧としてきたそのとき見覚えのある赤い看板が目に入った
ロッテリアである
もうミトーのグルメを堪能しようなどということは考えられなかった
今、欲しているのはコーラである。
わずか数百メートルの距離がなかなかたどり着かなかった
そしてやっとの思いでロッテリアにたどり着くとすぐさまコーラを頼みがぶ飲みした。
ストローなどで飲んでいる場合ではない
一気に飲み干し、窓から今来た道を眺めると、気が遠くなるほど遠く感じ、そしてそこを歩いている者は一人もいなかった
当然だろう、普通は歩いていくようなところではないのだ。
そこを40分もかけて歩いて来たのだと思うと、たかだか日本円にして数百円の金をケチった自分が腹立たしかった。
危うく熱中症になってもっと高くつくところだ。
はぁー、と大きなため息をついた
そしてこれからどうするか考えたが
もうミトーの市街地を観光する気力などあるはずがなかった。
つづく
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