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ハイエナに会いに行く。~バンコク#3~

スマホから流れる目覚ましのアラームを止めると、昨日転んだ拍子に液晶を割ってしまったことを思い出し、同時に地面に突いた手首もジンジンと痛んで、朝からいい目覚めとはいかなかった。

2月のバンコクとあって外は快晴である。


スネークファームへ到着したのは11時で、受付を済ませ三種類のワクチンを接種した。

アフリカ大陸へ入るには欠かせない黄熱病を打つ目的だったが、他にも何種類かの予防接種が受けられるらしく、僕は念のため腸チフス、日本脳炎の三種類を選択した。

三種類打って2,110バーツ、日本の1/3程度の費用で打てるのだ。

予防接種を打ち終われば、バンコクでやることはすべて完了し、明日のインドへの出発に備えるはずだった

しかし、スマホの液晶が割れてしまってはこの先ストレスで仕方がない

どうにか修理はできないものか、もしくは安くスマホを手にできないものかと考え、MBKセンターに行くことにした。

MBKセンターにはスマホ修理や中古スマホを取り扱うスペースがあるらしくそこなら何とかなるかもしれない

しかし、事はそう簡単にはいかなかった。

MBKセンターの4階に中古スマホがずらりと並ぶガラス棚がありそこを一通り見て回った

しかしどれも僕が出せる予算での販売はなかった。

すると、上唇に髭を蓄えた販売員に声をかけられた

何を探しているの?

スマホを……

僕は液晶画面の割れたスマホを見せた

販売員はとても苦そうな顔をして

これはいけない、買い替えなければ

でもどれも高くて……

いくらでほしいの?

僕の予算ではおそらく買えないだろうと思ったが、一応正直に出せる値段を提示してみた

3,000バーツでないか?

販売員はここから交渉を始めるつもりなのか

おいおい、それはない9,000バーツでどうだ?

と返してくる

吹っかけるつもりはなかったが相手はそう捉えているらしい

本当に金がない3,000バーツしか出せないのだ

分かった、8,000バーツだ

僕はめんどくさくなって、3,000バーツで修理はできないかと話を変えた

しかし相手にもしてくれず、まだ値段交渉をしてこようとする

めんどくさくなって、その場をあとにした。

それからMBKセンター内にあるカフェに入りコーヒーを注文した

一服していると、液晶画面が割れたことぐらいなんだと思うようになってきた

故障して動かないわけではない、文字を閲覧できないわけではない、ただ少し見えづらいだけではないか

僕はスマホを持つようになって、液晶画面が割れるということが初めてだった

割れていながら使っている人の気が知れなかったが、いざ自分の身に同じことが起こるとようやく気持ちがわかるものである。

おとなしく宿に帰って、明日のインド出発に備える方が先決である。










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