見出し画像

Route3776(ゼロ富士)挑戦記Day3-2: 始まったら終わる。

↓前回の記事はこちら。

Day3(2023/08/06)続き

遠い始発

ゼロ富士後の身体で、夜な夜な小田原の健康ランドで1時間半交代浴をすることになるとは思わなかった。

始発列車が動くまで残り80分ほど。
私のハーフマラソンの持ちタイムは79分31秒。
21km走れるくらいには時間がある。

休憩室はゾンビの山。
暗がりに倒れ込んでいる人の身体を踏みそうで怖かったので軽く眺めて退散してしまった。

さて、どうしよう。
とりあえず座れるところを確保した。
隣には今にもおっぱじめそうな若いカップル。
花火大会後にこのアクシデントに巻き込まれたのだろう。
二人にとって良い思い出になるといいなと思いながらスマホをいじる。

交代浴で完全に副交感神経が優位になっている。
猿カップルの隣でも、ゾンビの山を見ても、人が寝てる中をバッグを失くしてそれを子供のせいにする母がいても、頭がぽわぽわして心地よかった。

そんな中でこの挑戦記のアウトラインを書いていた。
電池残量を気にして、画面のバックライトを暗くして。
自分がこの数日で体験したことを目次ベースで記載した。
ギリギリの意識で書くこの記録は楽しいものだった。

すると突然先輩が現れた。
奇跡的に仮眠スペースで場所を確保できたようで、少し休めたらしい。
これから風呂に行くという。
ブランケットを受け取り、ゾンビの中に紛れてみる。

ものの数分で無事ゾンビの一員になった。
意識を飛ばして30分ほど寝ることが出来た。
副交感神経が優位の状態は凄い。

天災が起きて避難を余儀なくされるときも、きっと私はどこでも寝れてしまうタイプなのだろうと少し安心した。
コテージでもグリーン車でも健康ランドのゾンビ部屋でもすぐ寝られた。
これは今後の人生できっと役に立つスキルだろう。

小田急線の始発へ

ロビーで再び先輩と落ち合い小田原駅へ向かう。

白んだ空がなんだか優しく見えた。
何事も始まったら終わる。
そして終わったら始まる(ことの方が多い)。

少しずつ、着実に土地勘のある方へ向かっていく。
新宿を目指して電車は進んでいった。

電気がしっかり通った電車は心強い。

自然と頭を垂れてしまうくらいには体力が限界を迎えていた。
正気を取り戻した頃には多摩川を渡るころだった。

登戸。狛江。
世田谷区に住んでいた頃はよく多摩川沿いを走っていたので懐かしい場所だ。

話は逸れるが世田谷通り沿いにあるこの店がずっと気になっていた。
ランニング中に通るたびいい匂いをさせていた。

そんな回想を挟んでいるとすぐ都心に迫っていた。

今となっては遠くなってしまったけど、小田急線沿いの店もまた開拓したいな。

新宿の安心感

終点、新宿。
新宿に着いた。
ここまでくればどうにでもなる。

一泊三日を共にした先輩とはここでお別れ。
先輩のおおらかな人柄があったからこそ、やることだけに注力してこの多難を乗り越えられた。
こういうときのバディは本当に大事だ。

ここまで来て新宿のゴミになるわけにはいかないのでもうひと頑張り。

帰宅

一度乗り換え、最寄り駅に着く。

歩きながら自販で買ったチルアウトを飲む。
エナジードリンクは滅多に飲まないけど、反対に位置するこのリラックス系ドリンクはたまに飲む。

飲み物で元気になりたくない。

唯一あった写真はこれだった。

7時半頃、帰宅。

すぐ寝てしまうかと思ったが、意外とまだ身体が揺く。
あとで後悔しそうなことだけ済ませよう。

48℃のお湯を浴槽に張る。
たし湯ボタンを3回押す。

着ているものを全部脱いで浴槽に投げ込む。
ザックの中身を分別して洗うものは投げ込む。
ザックを湯に沈める。
オキシクリーンをたっぷり入れて馴染ませる。

ここでようやくゼロ富士への挑戦が終わったような感覚を得る。

そのままシャワーを浴び、髪は乾かさずにベッドに倒れ込んだ。
そしてこの長い旅が終わった。

続く。


この記事が参加している募集

夏の思い出

よろしければサポートお願いします。励みになります。