島話16 急にお弁当を配達してもらいにくくなった話
僕が住んでいる瀬戸内海の離島家島には、飲食店は10軒ほどある。
たこ焼き屋、お好み焼き屋、和食料理屋など、どこのお店でも配達料はなく、商品代のみで配達してくれる。
いくら狭い島だからといっても、配達に手を取られるのでかなりサービスが良いと感じている。
移住してきて2年ほど経った時の話だが、毎日魚料理というのも飽きを感じるため、たまに料理屋さんのご飯が食べたくなる。
島にとっても美味しい中華料理屋さんがあって、もちろんここも配達を無料でしてくれるため、出不精を理由にお店に行かずに電話で870円のお弁当1個を注文して配達をお願いしていた。
”大阪から移住してきた若者”という僕の事も、島の中ではあまり知られていない頃だったので何も気にせず注文していた。
しかし、それから何度かお店に食べに行って、ここで働くおばちゃんたちとも顔見知りになって、世間話をするようになると、急に配達の注文をするのが気が引けるようになった。
働いている人がいつも忙しいそうにしているので、「弁当1個で配達してもらうのも悪いな」という気持ちと同時に「あいつ弁当1個で平気で配達頼んできよる」と言われやしないかと思ったからだ。
おそらく、お店のサービスとして提供されている以上、都会だったら何の気兼ねもなく配達をお願いし続けていただろう。
しかし、ここは島であってお店とお客さんという立場よりも、島に住んでいるどこどこの誰々というのが優先されるように思う。
そういえば昔、大阪でコンビニでアルバイトをしていた時にはすごく横柄な態度のお客さんの態度に腹が立った。
店員とお客さんの前に「人と人やろ」と。
そういう態度は、おそらく、相手が知らない人だからできることだと思う。
お弁当を1個から注文できなくなったのは僕にとっては少し不便だが、この距離感が心地よく思う。
いえしまコンシェルジュ
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