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Netflixで大勝利の「梨泰院クラス」。これは、半沢直樹とハチクロのいいとこ取りだ!

コロナで外出自粛生活を過ごすこと早2ヶ月。迫りくる「今週末何しよう?」で、ついに話題の韓国ドラマに手を出してしまった。

Netflixはかれこれもう2-3年ほど観ているが(主にアニメとテラスハウス目的)UIがInstagramストーリーズのような仕様に変わりランキングが上位掲載されるようになってから、なんとも気になってはいるが手を出せない作品があった。それが韓国ドラマ『梨泰院クラス』と『愛の不時着』。

私くらいの世代だと『チャングム』『冬のソナタ』『美男ですね』を思い浮かべる人が多いかと思うが、かくいう私もそれらの内容から韓国ドラマといえば【ありえない設定】【美男美女】【逆転劇】のイメージ。

本作も変わらずその要素を引き継ぎつつ私がハマってしまったのは、これに追加して半沢直樹をはじめとする池井戸作品に醸し出されるような【身近な生活感】とハチクロに代表されるような【全員片想いポエティック群像劇】にやられたのだ。

↑この2つ、2010年代で青春を謳歌した私たちなら知らないひとはいないよね!!!!!
初めて聞いたという人のために、あらすじはこんな感じ。

梨泰院クラスとは
「梨泰院クラス」は、辛い過去と犯罪歴を背負って生きる青年が、国際色豊かなソウルの街・梨泰院で飲食店を開店し、胸に復讐の炎をたぎらせながら、仲間と共に成功を目指し歩き始める青春サクセスストーリー。 大人気漫画が原作とあって多くの注目を集めた。
引用:https://navicon.jp/news/58913/

そもそもなぜあんなに半沢直樹にハマったのか

もちろん弱者が強者を負かしていく勧善懲悪的なドラマは古くから多くのヒット作品があったけれど、私が半沢直樹にハマっていたのは2つ理由があると思う。
1つはよく知る「倍返し」という言葉に現れるような復讐劇。ただ、王道すぎずに何度もへし折られ、あらゆる部分に伏線が張り巡らされている描写は視聴者にフラストレーションを溜めさせ、今日こそは仕返しできるんじゃないかと毎回私を虜にしてきた。

2つ目は主人公の職業が「銀行マン」という実際に働くサラリーマンに少なからず近しい存在であったこと。これまでもキムタクのHERO、織田裕二の踊るシリーズなどごくごく普通の地位にいる主人公が巨大な(悪の?)組織に立ち向かう系はあったけれど、弁護士や警察官などちょっと普通のひとにはとっつきにくい職業だった。そんな中、半沢直樹という作品はサラリーマンをヒーローにしてくれたのだった。

サラリーマンの復讐は1つじゃない(微ネタバレ含む)

梨泰院クラスは主人公が高校生からビジネスマンとして成り上がるまでが描かれているが、そのひとりだけを追うのではなくその周りにいる人々にもスポットをあてる群像劇である(ハチクロぽさの1つでもあるが)。

登場人物には、いじめ、毒親、片親、孤児、セクシャルマイノリティなど現代において注目される社会問題を抱えているものが多いが、彼らは最終的に皆サラリーマンとしてビジネスの世界で闘っていく様子が描かれている。
何かしら暗い過去や持ちながらもそれをバネに奮闘する姿が、暴力だけではない復讐。人を見返すという行為は、誰かを傷つけるということだけではないと教えてくれる。

ハチクロがただの恋愛漫画じゃないことはもうお墨付きだと思うが

え、そうなの?てかハチクロなんて世代じゃないわ。という若造のためにハチクロが好きすぎて最終巻まで読めなかった私が解説しよう(いい子はちゃんと最終巻まで読んでね)
あらすじはこの辺で↓
https://thetv.jp/program/0000003895/plot/

羽海野チカ先生「ハチミツとクローバー」の有名なキャッチフレーズといえば【全員片思い】であるがゆえに、ただの恋愛漫画と思われがちだがそこには登場人物の群像劇として【天才とそうでない者との葛藤】を美大生というステージでより鮮明に描き出されている。

主人公竹本が恋するはぐみ(通称はぐちゃん)とその恋敵となる森田は誰もが認める天才で、そうあるがゆえに本当の意味でわかり合うことはできずに孤独を抱えていた。だが、お互いがそうであるからこそはぐちゃんと森田には惹かれ合うものがあり、竹本ははぐちゃんと本当の意味でそばにいることはできなかったのだ。
では、はぐちゃんと最後まで側にいることができたのは誰だったのか。そこを考えると梨泰院クラスでも似たような解答にたどり着けるので今は言わないが、天才の紡ぎ出す感覚的な言葉を「画」の力だけではなく「文」の力もふくめてポエティックに表現したことこそハチクロの新しい作品世界であり功績であったと私は考えている。

全員片思い。だけど、わたしたちは仲間だ(微ネタバレ)

タイトルになっている『梨泰院クラス』
この由来はドラマでのちのち出てくるのだが、主人公セロイの信念に心を打たれて集まった1つのチーム、という意味合いも込められている。
ハチクロの登場人物は「同じ美大に通う」という割とゆるい繋がりだったが、梨泰院クラスはもっと心の底にあるような強固な思いや絆、はたまた怒りや悲しみ憎しみの共有なのだ。梨泰院という韓国の地名がついているが、心がつながっているならばもやは場所(どこにいるか)は関係ない。それでも全員が誰かを思い続け、時には強く想うがゆえに敵対していく様子はとても心が苦しめられるしだからこそキュンキュンするシチュエーションも満載なのだ。

ヒロインの1人である主人公の右腕イソはソシオパスで高いIQを持っている「天才」だが、彼女の苦悩を理解しよう側にい続けようと尽くす(だが空回りしまくる)グンスの竹本っぽさはなんとも愛おしい。
個人的には 演じるキム・ドンヒ君の初期ブレイクのきっかけとなったA-TEENも激オススメ。お金持ち次男、恋愛に臆病な感じが設定似ててハマり役。

また、「단밤(タンバム=甘い夜)」と呼ばれるお店が物語の中心となるのだがそのネーミングにまつわるエピソードや夢回想シーン、また韓国ドラマ特有の例え話セリフなども少々ポエティックで楽しめる。

わりと長々と語ってしまった…どちらも多くのファンがいる作品だと思うのでもちろん異論は受け付ける。(でも最終的には私も半沢直樹、ハチクロ、梨泰院クラス全部好きだから許してね!)

全16エピソードあるがほぼ2日で観終わってしまった。
つまりこのドラマで潰せる週末は1回しかないということ。
きたる「今週末何しよう?」に向けてあと数回ほどになるかと祈るが解決策(という名のエンタメ)を提案してくれたら嬉しい。


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