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『ミトンとふびん』吉本ばなな

4月の全体研修が終わり、
5月からは各配属先の部署で研修が始まった。

関東での暮らしもだいぶ慣れてきて〜と言いたいところだが、全然慣れない。

乗った電車は思うところには行かないし、満員電車ではこれでもかと言うくらい押し込まれ、行き交う人はちっとも避けてはくれない。

見も知らぬ人と0距離になって電車に揺られたり、急ぐサラリーマンと肩がぶつかったりする度に毎回心が疲弊していく。

駅の改札口で少し手こずっただけで大罪を犯したかのような目で見られるこの社会を生き抜くためには、スイカを買い、好きな本を読むことが必要だと思う。

🌻

心が忙殺されそうな人は、ぜひ吉本ばななさんの『ミトンとふびん』を読んでほしい。


相手の好きなところを好きなままにするには、距離をちゃんと丸く置くことだと私はいつのまにか思うようになっていた。

『ミトンとふびん』より

彼は猫を抱き上げて、手を振るような仕草をさせた。
そして猫をそっと床に置いた。決して落としたりしない。彼はそういう人だった。

『カロンテ』より

特に表題作の『ミトンとふびん』は周囲から同意を得られずに結婚した夫婦がヘルシンキに新婚旅行に行く話で、もう一度訪れたいフィンランドの街並みと、人知れぬ事情を抱えつつものんびりとした二人の関係性が素敵な話だった。

当然のように電車の列を横入りしてきたおじさんに、この本を配り歩いていきたいと思う。

金夜
🩷

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