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眠らない猫と夜の魚

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不登校の小学生、草薙波流は夜の街を歩く。 実際に歩くのではない。眠っている間に波流の意識だけが体を抜けて、夜の街を歩くのだ。それを街で怪談を収集する大学生の黒崎朱音は「夜歩き」と…
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2024年6月の記事一覧

【眠らない猫と夜の魚】 第16話

「神隠し」① ■怪異蒐集No. - -(未公開) ■タイトル:神隠し ■話者:Aさん、小学生 ■記…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】 第15話

「地蔵殺し」④ 「……どーすんの、これ」  というわけで私の家に、願いが叶う石(×100)は…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】 第14話

「地蔵殺し」③ 「は? 猫地蔵を砕いた石?」  小夜がソファの背もたれに張り付いて足元のエ…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】 第13話

「地蔵殺し」②  アボカドのクローズ作業を手伝ってから、小夜は宣言通りに帰っていった。 …

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】 第12話

「地蔵殺し」① 「……どーすんの、これ」  私と朱音の間に置かれたサラダ皿の中に、小指の…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】第11話

「落下と移動」③  翌日、亜樹といっしょに、投身自殺があったと思われる三島ビルにやってき…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】第10話

「落下と移動」②  爺ちゃんはウキウキしながら釣り竿を磨いていた。 「釣りに行くの? また亜樹と?」 「ああ」 「亜樹は私の彼氏なんだけど」 「心配するな、夕まずめ狙いだから夜には帰す」 「別にいいけど……で、今日は何やればいい?」 「先月分の帳簿の入力を頼む」  目が弱くなってきた爺ちゃんは、データの入力を孫娘の私に頼む。それで空いた時間は、たいてい釣りに出かける。相方はもっぱら亜樹だ。亜樹、最近は私とデートするより爺ちゃんと釣りに出かけることのほうが多いんじゃないだろ

【眠らない猫と夜の魚】第9話

「落下と移動」① 『自殺者の霊が、同じ場所で自殺を繰り返す』  この手の怪談はよくある。…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】 第8話

「神様が眠る時間」④  ――ひゅっ。  背後から、乾いた呼吸の音が聞こえた。  振り返る…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】 第7話

「神様が眠る時間」③  硬い、土の地面を掘る。  道具はなく、指先で。  尖った石で皮膚が…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】 第6話

「神様が眠る時間」②  翌朝は6時に起きて、いつも通り日課のランニングにでかけた。  高校…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】 第5話

「神様が眠る時間」①  一週間のうちで一番やる気が出ない、木曜日。  読みかけのミステリ…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】 第4話

「埋める」④  薄暗い森。乾いた土の広場。錆びたバス停。  夜歩きのときに見た場所だ。あの…

中村朔
4か月前
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【眠らない猫と夜の魚】 第3話

「埋める」③  ――コツン。  小さな物音に目を覚ました。  木目の天井が月明かりにぼんやりと浮かびあがって見える。頭を動かすと、すぐ近くに朱音さんの寝顔があった。  そうだ、朱音さんの部屋が散らかってて片付けるのに時間がかかりそうだったから、今日は居間に布団を敷いて眠ることになったんだ。私は朱音さんといっしょの布団で、隣の布団に小夜ちゃんと水鳥さん。  小夜ちゃんは寝ぼけて、さらに奥の水鳥さんの胸に抱きついていた。水鳥さんは寝ぼけて小夜ちゃんの髪をかじっている。亜樹さ