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6月16日「地図との格闘:目的地への道のり」

旅の始まりは、レンタカーの予約から。友人と前夜にかけた苦労が実り、計画通りに出発することができた。私たちの目的は、ロワール河沿いに点在する、古の息吹を感じさせる古城群を訪れること。未知の地での運転、地図との格闘、そして遺跡への憧れ。これまで経験したことのない一連の出来事は、不安でいっぱいだったが、同時に見たい、触れたいという情熱が、私たちを勇気づけ、前進させる力となった。

Michelinの地図を頼りに、「D951」などの国道や県道を辿りながら、表示板に一喜一憂する日々。何度も道を間違えながらも、その都度立ち止まり、方向を定め直す。目的地への固執を捨て、どこかに辿り着けばそこが今日の宿という、流れに身を任せる旅のスタイルを楽しんだ。視界一面に広がる麦畑が、旅の静かな伴侶となってくれた。

そして、127の橋が架かる運河の町、Montargisに到着。運河に浮かぶ花を積んだ小舟が、この場所特有の穏やかな空気を醸し出していた。ここで、私は時間を忘れ、運河沿いの風景を描き始めた。筆を動かすうちに心は穏やかになり、旅の疲れが癒されていくのを感じた。

しかし、古城訪問の夢はまだ叶わず、小さな町に足を踏み入れる。夕暮れが近づく中、宿探しの旅が始まった。見つからない不安の中、たどり着いた写真屋のご夫婦は、私たちの窮状を見かねて、心を尽くして助けてくれた。彼らの親切に感謝して、折り紙で作った鶴と風船をプレゼント。その小さな交流が、旅の記憶に新たな光を加えた。

結局、BriareのPon canal近くのホテルに落ち着いた。ホテルのレストランで味わったレバーソーセージの煮込みは、この旅での最高のご馳走となった。お任せコースとワインの飲み放題で、その日の疲れを癒やした。

この数日間の冒険は、予期せぬ出会いと経験に満ちていた。初めての地での運転、古城を目指した旅、そして温かい人々との出会い。全てが私にとってかけがえのない宝物となり、心の中に深く刻まれた。ホームシックを乗り越え、未知の土地で出会ったすべてに感謝しながら、私は再び旅立つ勇気を胸に秘めている。

6/16~18 Briare …宿32 Hotel de Midi

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