6月13日「セーヌ河畔でのピクニック:新鮮な味わい」
朝の光が部屋を優しく照らす中、ゆったりとした朝食を楽しんだ。バゲットにはチーズ、サラミ、オリーブ、そしてマヨネーズを添えて、先日市場で手に入れた新鮮なラディッシュも挟んでみた。さらに、温かい卵スープを作り、香り高いコーヒーも淹れた。この朝のひととき、まるで神様への感謝の祈りのようだった。
9時半を過ぎ、一日の計画を立てようと思いつつ、ふと窓外に目をやると、空の買い物袋を持った人々が行き交っているのが見えた。よくよく観察してみると、彼らの反対方向からは、野菜や果物でいっぱいのかごや袋を手にした人たちが戻ってくる。この光景から、近くに市場があることに気づいた。しかも、歩いてすぐの距離に。
人々の流れを追ってゆっくり歩いてみると、案の定、昨日訪れた市場とはまた違う新たなマルシェが目の前に広がっていた。この市場はさらに活気に満ちており、果物や野菜が山積みにされて売られていた。興奮しながら市場を一周し、ネクタリンを1キロ購入。その値段は日本のそれと比べて格段に安く、少し得意気になった。周りを観察し、情報を得ることの重要性を改めて感じた。
市場の後は川沿いを散策し、やがて広い近代的な公園へと続いていた。川岸には並んだベンチがあり、そこに腰を下ろして、久しぶりに風景画を描き始めた。時間を忘れるほど没頭し、何年ぶりかでこんなふうに風景を眺めながら絵筆を動かす至福の時間を味わった。周りの景色、穏やかな時間がゆっくりと流れていく。
昼食は、自分で作った特製サンドイッチと温かいコーヒーを楽しんだ。この時もう一つの旅の相棒、保温機能付きの小型水筒が大活躍。日本から持参して本当によかった。
この日一日は、パリでの滞在中、心からリラックスし、自分自身と向き合う時間を持つことができた。市場での発見、川沿いの散歩、公園での絵画、そして静かな昼食。全てが2004年の夏、フランスでの旅の貴重な思い出として心に刻まれた。日々の忙しなさから離れ、自分の内面と対話する時間を持てたことは、この旅の最大の贈り物だった。