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6月14日「ジャンヌダルクに会いに:オルレアンへの旅」

フランスの朝はいつも特別なものだ。この日も例外ではなく、SNCFの列車に乗り込み、オルレアンを目指す。心の中では、勇敢なるジャンヌ・ダルクに会いに行くという一種の使命感が芽生えていた。彼女の伝説に触れ、その勇気と愛に満ちた精神を自分のものにできればと願いながら。

列車の窓から見える景色は、まるで北海道のよう。果てしなく広がる麦畑と、時折現れる小さな集落。それぞれの集落には、高くそびえる教会の塔が見える。赤茶けた屋根と白い壁、そして窓辺や庭には色とりどりの花々が。ヨーロッパ特有の石造りの家々が、長い歴史を物語るように、堂々としていた。新しい家を次々と建てるのではなく、長年にわたって大切にされてきた家々には、先人たちの知恵と物語が詰まっているに違いない。

しかし、オルレアンに着いたとき、私は少し途方に暮れた。インフォメーションセンターが閉まっていて、どこに行けばいいのか分からなかった。それでも、ふとした瞬間に、ジャンヌ・ダルクの銅像がある広場に辿り着いた。馬に跨り、剣を振りかざすジャンヌ・ダルクの像を前にして、何か大きな力をもらえるような気がして、黙ってその姿を見上げた。そこに立つだけで、彼女の強い意志と勇気が伝わってきたようだった。

今日の宿をまだ見つけていない現実に戻り、荷物を引きずりながら再び歩き始めた。ロワール河の静けさと、遠くに見える石の橋や古城跡の美しさに少し心を落ち着けてから、再び宿探しの旅に出た。

ダウンタウンを歩き、いくつかのホテルを見つけた中で、「Hotel de Paris

」に足を踏み入れた。フランス語で空き部屋の有無を尋ね、提示された27ユーロという価格には驚いた。しかし、部屋を実際に見せてもらうことにした。廊下の暗さ、壁紙のはがれ、ギシギシと音を立てる床。それでも、シャワーと奇跡的にバスタブがあること、トイレが廊下にあるものの鍵がかかることを確認し、2泊することに決めた。

初めての☆なしホテルでの宿泊は、少々古びてはいるものの、シンプルで愛らしいと感じた。夜間のトイレ使用は少し心配だったが、誰もいないことを確認してから、まるで忍者のようにそっと廊下を渡った。

この旅は、単なる観光旅行以上のものだった。ジャンヌ・ダルクの不屈の精神を肌で感じ、フランスの田園風景の美しさに触れ、そして人生のささやかな冒険を味わった。オルレアンで過ごした時間は、勇気と冒険の精神を改めて私の心に灯した。

ホテルメモ
6月14日~15日 オルレアン「Hotel de Paris」…宿27€


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