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6月12日「セーヌ河畔でのピクニック:新鮮な味わい」

朝5時、夜明けと共に目を覚ました。運河の水面が朝日に照らされてキラキラと輝き、その美しさにしばし見とれた。本当に息を呑むほどの美しさで、心から美しいと感じた。これからの二日間の滞在先がすでに決まっている安心感からか、非常に平穏な気持ちで一日を迎えることができた。

朝食は、バゲットに切り込みを入れて、トマト、フロマージュ(チーズ)、オリーブ、サラミを挟んで楽しんだ。そして、旅の相棒である携帯コンロで湯を沸かし、淹れたてのコーヒーを一杯。このコンロがあればどこでも自分の手で温かい食事や飲み物を作れることに、再び感謝した。

今日の目的地はムフタール市場。昨晩、パリの地図を広げてじっくりと計画を練った。Corentin Cariou駅から地下鉄に乗り、Censier Daubenton駅で降りた。駅から市場へはわずか1分。マルシェ(市場)に到着するやいなや、色とりどりの新鮮な野菜や海産物が目に飛び込んできた。日本の市場も味わい深いが、こちらの市場はさらに色鮮やかで華やか。赤や黄色、緑といった野菜たちがお互いを引き立てるようにディスプレイされており、見るだけで食欲をそそられる。市場の人々のセンスと技術には、まるで芸術家のようだと感心させられた。

坂を登り、パンテオンへ向かった。フランス革命で亡くなった人々を祀るこの場所は、何とも言えず胸が痛む。パンテオンを後にする際には、そこで眠る人々の冥福を祈り、しばらく目を閉じて手を合わせた。

ノートルダム寺院に向かう途中、もう一つの市場に出会った。ムフタール市場に比べるとやや価格が安いように感じた。マイナーな市場ほど、節約旅行には味方してくれる。

歩き疲れたので、ノートルダム寺院近くでドネルケバブを購入し、セーヌ河沿いのベンチで食事をした。市場で手に入れたラディッシュにマヨネーズをつけて食べたところ、その新鮮さとシンプルさが絶妙で、体が喜ぶ美味しさだった。安さに釣られて買ったが、結果的には大正解。しばらくはラディッシュが我が家のテーブルを飾りそうだ。

遊覧船がゆっくりとセーヌ河を行き交うのを眺めながら、この旅の贅沢な一時を満喫した。

帰路、ホテルの近くのパン屋さんで、翌日の朝食用にバゲットとクロワッサンを購入。この日の歩き回った疲れが一気に襲ってきて、夕食を食べずにそのままベッドに倒れ込んだら、朝までぐっすりと眠ってしまった。旅の疲れを癒す深い眠りは、また次の日への活力を与えてくれる。2004年の夏、パリでの日々は、記憶に新たな彩りを加えてくれた。

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