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いつかのあなたへの手紙(その② 産まれてから1ヶ月くらいのこと)

ひろくんへ

いつの日か、ひろくんに産まれたときのことを伝えることがあるでしょう。その時にちゃんと伝えられるように手紙を書いておきますね。

ひろくんが産まれた時のことは、前の手紙で書きましたね。
今度は、それから1ヶ月くらいのことを書きます。

ひろくんが産まれてから5日間は病院で、その後1ヶ月くらいの間はじいじとばあばのお家で過ごしました。
毎日とにかく一生懸命で、産まれてきたひろくんの”いのち”を守ることに必死でした。
でも、ひろくんはお母さんにとって初めての赤ちゃん。
どんな風にお世話をするのか、なんでえんえん泣いているのか、全くわかりませんでした。

赤ちゃんを産むことはわかっていても、その赤ちゃんをどうやって育てたらいいかわからないまま、
お母さんはひろくんを元気に育てるための『チームひろ』のリーダーになってしまったのです。
これは大変…

病院でおっぱいのあげ方やおむつの替え方、着替えさせ方、お風呂の入れ方を教えてもらって、子育ての大先輩のばあばにも教えてもらいながらの手探りの毎日でした。

どうしたらひろくんはおいしくおっぱいが飲めるかな、
どうしたらひろくんは気持ちよくねんねできるかな
そんな一つ一つを、考えながらいろんなことをやってみながら、ひろくんのことを知っていきました。

初めて、お母さんがひろくんに歌った歌は「虹」でしたね。
えんえん泣いてしまったひろくんをお母さんはどうしていいかわからなくて、歌える歌を歌ってみました。
ひろくんはびっくりした顔でお母さんのことを見て、ぴたっと泣き止んでくれましたよ。またすぐに泣き出しましたが…

もっとえんえん泣いてしまった時は、お歌を歌いながらスクワットをしました。
「さんぽ」の歌がとっても好きで、この歌に合わせてスクワットをすると泣き止んでくれましたね。
お母さんに産後ダイエットをさせてくれてたのかしら…と思うくらい、毎日やりました。

ねんねできない時は、お母さんのいろんな話をしました。
お父さんと旅行した話、お母さんの小さい頃の話、季節の話やお天気の話などなど。
お母さんのお話を聞きながら、ねんねしましたね。

とにかく手探りで、何をやっても自信がもてないお母さんを助けるために、じいじとばあばも『チームひろ』のメンバーになってくれました。
お母さんがお昼寝できるように、じいじがひろくんと遊んでくれたり、
栄養たっぷりのおっぱいが出るように、ばあばがごはんをたくさん用意してくれたり、
ひろくんが夜中や朝早くにおっぱいで起きた時も、じいじやばあばも一緒に起きてひろくんを抱っこしたり、おむつを替えたりしてくれました。

『チームひろ』みんなの力と、なによりもひろくん自信の力で、ひろくんは元気に大きく育ってくれました。
体が大きくなっていくのはもちろん、いろんな姿や表情をみせてくれました。

おっぱいを飲むのがどんどん上手になって、ごくごくと飲んでぷはーっと満足した表情をしたり、
眠いよ、お腹すいたよと力強くえんえんと泣いたり、
かと思えば、すやすやと穏やかな表情で泣いたり。

いろんな表情を見せながら全身でお母さんを頼ってくれる姿に、どれだけ励まされたかわかりません。
一生懸命やりたい、上手にお世話をしてあげたいと思うのに、全然うまくできないことばかりのお母さんだったけど、
こんなお母さんでもひろくんにとってはたった一人のお母さんなんだ、頑張らなくちゃ、と思えました。
それと同時に、いや、そう思うことで、お母さんは少しずつ”ひろくんのお母さん”に育ててもらったのかもしれません。

元気に育ってくれて、ありがとう。
お母さんのところに産まれてくれて、ありがとう。
お母さんをお母さんにしてくれて、ありがとう。

ひろくんはお母さんにとって、とてもとても大切な存在で、
お母さんに頑張る力をくれる希望です。


お手紙の2通目は、ひろくんが産まれて毎日必死だった時のお母さんのお話でした。

また、手紙を書きますね。

お母さんより

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