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村田沙耶香作『地球星人』を読んで

お疲れ様です。今回は村田沙耶香作『地球星人』を読んだ、私の感想をつらつらと書いていこうと思います。『地球星人』をもう既に読まれた方と感想を共有できたらいいなと思います。

私が読み終わった率直な読後感としては、主人公の気持ちがわかるーというものです。

『地球星人』の主人公の女性は、従兄弟の影響から、自分を幼少期から宇宙人だと思いこみ地球の生活になるべく馴染むように生きてきました。しかし、宇宙人だと思い込んでいる主人公は、地球人のように擬態して生活することが徐々に窮屈に感じるようになってきます。

もちろん、私には幼少期から自分を宇宙人だと思い込んでいた経験はありません。でも、ここ10年程度の都市での生活の中で、「ここはどこか自分の本当の居場所じゃない」「どこかに帰りたい」と思いながら、都会人として擬態して生活している感覚があります。それが、主人公の気持ちと重なる部分です。

主人公は、自分を宇宙人だと考える仲間を増やし、少しずつ地球人の生活を脱皮し、宇宙人としての暮らしを模索していきます。

私はその様子を、羨ましいな、と思いながら読んでいました。自分も仲間を見つけ、自分らしい暮らしを模索したいと思いました。

村田沙耶香作品を読んでいると、いつも主人公を応援したくなります。『地球星人』のように主人公は社会の一般的な価値観と闘います。マトリックスのネオのように、目の前の当たり前を否定し続けています。

私もまた、目の前の、当たり前とされている幸せの条件や生活様式をどこか否定しています。それは私が地方出身で、都市の生活にコンプレックスを感じています。
地方で生まれ育った私の目から見て、都市はとても魅力的に感じてしまいます。キラキラしていて、何をするのにも便利で、いろいろな人間がいます。煩わしい伝統も人間関係も、金銭にならない関係もありません。
でも都市が自分の居場所じゃない気持ちを持っていて、それは何か『地球星人』でいうところの、宇宙人のような感覚です。

私はおそらく仕事の関係で、しばらくすると地方に戻ることになると思います。でもどういうわけか、私は地方に戻っても、私は宇宙人だいう感情からは逃げられないと思います。一生懸命、『地球星人』として振る舞って生きていくしかないと考えています。

以上、村田沙耶香作『地球星人』の感想でした。

しばらく、村田沙耶香作品の感想を書いていこうと思っています。


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