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70年代ベストアルバムランキング20位〜16位

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20位

Roger&the human body/introducing roger

zappになる前のロジャー。自主レーベルからのリリースでオリジナルは希少らしい。
1曲目からハンド・クラップにトーク・ボックスが登場するなどすでにzapp感満載。とはいえ前半はまだまだ荒々しいファンクが立て続けで、個人的にはzappより好き。後半は雰囲気がやや変わってメロウでポップな感じに。ガッツリファンクなA面が大好物。

19位 Rusty bryant/fire eater 

表題曲のアイドリス・ムハマッド(aka.レオ・モリス。イドリス表記も)のドラム・ブレイクがネタとして有名だが、その前のビル・メイソンのオルガン・ソロが素晴らしい。正に「火をも喰らう」入魂のオルガン。最初こそ比較的おとなしく始まるが、アイドリスお得意のミドル・テンポのズンドコ・リズムに煽られたのかだんだんと暴走し始め、凶暴極まりない音を撒き散らす。
その勢いそのままに続く②もメイソンのオルガンからスタート。しかしながら、残りの2曲、B面はなぜかオルガン・プレイヤーのみ交代という謎采配。(レオン・スペンサーJr)メイソンはイースト・バウンドからリーダー名義の作品もリリースしており、そちらも熱血ジャズ・ファンクで最高。

18位 The band/ stage fright

自分の青春。グループとしは次の「カフーツ」と並んで地味な作品。
圧倒的な音楽情報量を誇る1st、2ndは有無を言わさぬ名盤で、それに比べれば確かに比較的シンプル。無観客でのライヴ録音だったそう。
リヴォンのルーズなドラムとヴォーカルが最高な①から軽快なロック。同系統の③④も良い。このグループのスタジオ盤はロビーがいると緊張感かあるというか、かなり硬い感じになるが、本作はけっこうリラックスしていい感じ。⑧はガースのアコーディオンとリックのヴァイオリン、というかフィドルが土着的で素敵。歌詞もアメリカ南部の寓話的。
このルーズな感じが魅力的だったのに、2021年リイシューのデラックス・エディションは、存命メンバーがガースだけになったのをいい事に、ミックスだけでなく曲順も変えてしまったロビー。そういうとこだぞお前。

17位 Groove holmes/new groove 

名義に「リチャード」がついたりつかなかったりする人。ブルー・ノートからリリースの「comin' on home」はウェルドン・アーヴィンのエレピとのバトルが最高。プレスティッジにも作品を残す巨漢だが本作はグルーヴ・マーチャントより。
爆発しそうでしないジリジリと焼き付くような①でスタート。ヴォーカルを迎えた②は激シブソウル。そしてスティーヴィー・ワンダーの⑤はオドネル・リーヴィ(レヴィとも)の疾走感溢れるギターがカッコ良い。グルーヴ・マーチャントに数作リーダー作を残し、同レーベルではグルーヴ・ホルムスとジミー・マクグリフとのダブル・オルガン・ライヴ名盤にも参加していたギタリスト。
グラント・グリーンやメルヴィン・スパークスらストロング・スタイルのジャズ・ファンク・ギタリストに比べれば、スムーズではあるがどこか線が細い印象だが、その分ここでは実に心地良い軽快なフレーズを聴かせてくれる。

16位 Roy ayers/he's coming 

70年代のロイ・エアーズはレア・グルーヴ界の王様である。
自身のグループを「ユビキティ」と命名し名盤を連発するが、本作はその中でも最高峰。
後のN.W.Aを彷彿とさせるジャケもヤバめな①から怪しげな妖気を漂わせる。メロウな②やポップな⑤でもこの時期のこの人にしか出せない妖艶な輝きを撒き散らす。その決定版が⑥。この時代流行っていたブラックスプロイテーションのサントラのような物語を感じさせる煙たさ。実際翌年には「コフィ」のサントラを手掛けているし。
ヴァイブ奏者でありながら、自身のソロ演奏はかなり少なく、適材適所に歌や演奏を配置し名曲を生み出す彼はプロデューサー的な要素が強い。このアルバムでも本人のプレイが堪能できるのは最後の1曲のみ。
本作後も名盤が続くが、時代的にディスコやフュージョンになっていき、そこへ巧みに順応していったため、この作品はそれらと異なる唯一無二の怪しげな魅力を封じ込めたものになっている。


続く!


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