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【感想】歩山録

本当に不思議な本でした。
作者は上出 遼平さん。
元テレビ東京のディレクターの方です。

著書とは関係ありませんが、少し調べてみると、元テレビ東京アナウンサーの大橋未歩さんと2015年に結婚をさえているようです。

ReHack 「なぜ会社を辞めたんですか」
この動画を見て上井出さんを知り、本著を読み始めました。

1度目だと消化不良

めちゃめちゃファンタジー感が強い本でストーリー的には意味不明というのが、読み始めての印象でした。

主人公が登山をしながら何かが起きそうな雰囲気を醸し出しながら、独特の表現力を駆使した、描写が続いていきます。

ところどころで“生き方” “価値観” “人生”というような哲学的なことを語り口が入って心に引っ掛かりを作ってくれますが、物語全体のファンタジーが結局どうなるのか。
それが気になって読み進めた1回目。

そして、いざ終わるとオチの衝撃さはあったものの、ここまで溜めに溜めてきた何かが起きそうな予感を満たすものではありませんでした。

が、逆にこの消化不良感が2周目の読書を誘いました。

2周目こそ真骨頂

当然、2周目は最後のオチを前提にしながら読むことで読み物としてストーリー以外を楽しむ余裕が生まれました。

“博士” “少年” “熊” “貫太” “ゴリラ”などの登場人物は果たして何なのか。
複数回登場するこれらの象徴するもの。作者の意図であり、自分の人生に置き換えたらどんなことになるのか。

1回目に感じていて以上に哲学させられる構成に驚かされました。

自分の人生は自分で決める

2度読んで感じたこの本の私なりの教訓です。
わかっているようで実践出来ている人は少ない「自分のことは自分で決める」。
当たり前のことですが、何度でも頭に刷り込むべきことだと思います。

正確には、「自分のことは自分で決めたと納得する」です。
どんなに環境な事情があろうとも自分が選択した行動や進路に関しては、「他責」にしない。

主人公の山田は真面目でどこにでもいる日本人的な人物像です。

本著の山田のエピソードで親が喜んでくれるから、本当は生きたくない部活の時間を削って勉強をした話。
本当は下山したほうがいいと考えているのに、博士から伝えられた「真の目的」のために登山継続する決断。

いずれも自分はどうしたいのか。決断に対して自責的なことを考えようとしていません。

それが最終的にどんな結末を迎えるか。
ぜひとも本著をお読みください。

1つ1つの局面では最適だと判断した決断を積み重ねても最終的なベストにはなり得ません。

重要なことは、どんな決断でもいいので、「あれがあの場のベストだった」振り返った時に言えるような決断出来ているか。
人間は、自分の気持ちとは裏腹だとしても、他者や外部要因を含めた総合的な判断でベストだと思って決断をしているはずだからです。

何が起きても自分の責任として受容し、“じゃあ、どうするか”と未来志向で物事を考える、そんな人間でありたいとこの本を読んで改めて感じました。

リハックの動画も面白かったので、是非とも動画・著書もろとも触れられることをおすすめします。



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