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シングルオリジンとブレンド

コーヒーを飲む人で「シングルオリジン」「ブレンド」という言葉を聞いたことがある人はいると思います。どちらが美味しいとか、どちらが優れているかとかということを比較するのではなく「紐解く」という感じで綴ってみたいと思います。

【シングルオリジン】
シングルオリジン、コーヒーやチョコレートなどで原材料が特定の地域に限られた商品のこと。コーヒーならば国や地域ではなく単一の農園で品種も混ざることなく単種であることが「シングルオリジン」と呼ばれているものになる、ということになるでしょうか。

基本的にフレーバーが豊かで特定のフルーツを連想させたりるフレーバーであったり、とてもきれいな口あたりであったり、厚みがあったり絹のように滑らかなマウルフィールであったり、甘さがしっかりある(カラメルの甘さではない)するコーヒーは評価が高くなります。

その中で他では感じることができないユニークな味わいがあるコーヒーであれば、他のものと混ぜてしまうことなくそのものだけを取り出して飲むことで

その産地でしか生まれることのない唯一無二の味の体験ができる

でしょう。そういうものが「シングルオリジン」と呼ばれる存在になっていくと思います。

いうなれば熊谷和徳のタップを見るなら彼だけがタップを踏んでいるところを見たい、というところでしょうか。

ここで重要なのは「単一の農園である」ということもそうですが「評価が高いものである」ということです。コーヒーを育てた農家の努力、風土などが重なって初めて登場するものです。まさにコーヒーを育てた農家の方の努力の結晶が「シングルオリジン」であるといえます。それを引き出すのが焙煎士の仕事。よい品質に依存するのではなく、磨いた技術でコーヒー豆のポテンシャルを引き出すことが仕事だと言えます。

【ブレンドコーヒー】
ブレンドコーヒーとは、シングルオリジン以外のコーヒー。といえばよいでしょうか。焙煎した複数の国や地域、または農園のコーヒー豆を混ぜればよく知られる「ブレンドコーヒー」です。また、同じ畑で収穫されてもその時点で複数の品種が混ざっていればその時点でブレンドされているといえます。

シングルオリジンに対してブレンドで使われるコーヒー豆は劣るのか?というと一概にそうだとは言えないと思っています。シングルとなるコーヒーはとてもユニークな風味を持っているものが多いと思います。それは他のコーヒーと混ぜても突出して存在感を表します。たとえ全体の1割だけブレンドしたとしてもその存在感は1割に留まりません。他の豆の風味を押しのけて前へ前へと出てきます。いわば「ブレンドには向かない」部分も持っているのです。

ブレンドは「チームプレー」とでも言えるのではないでしょうか。ミュージカルを見るようにアシディティ、フレーバー、スウィートネス、マウスフィール、アフターテイストなどそれぞれよいものを持っている者同士を絶妙な配合でブレンドしてひとつの味を組み立て披露する。

そこは焙煎士としてそれぞれの個性を引き出す「焙煎技術の駆使」、その引き出した個性を組み合わせて新しい風味を作るという「ブレンド技術の駆使」その双方を目いっぱい出すことができます。

焙煎士としての力量をふんだんに盛り込むことができる世界

それがブレンドです。

ブレンドで使う豆はコマーシャルだけではありません。スペシャルティもブレンドで使用します。スペシャルティはそれだけで十分いける(シングルで飲める)ものでも組み合わせることでその味わいはもっと伸びていきます。
そのためには数多くの豆を扱い、数多くのブレンドを配合し、数多くの焙煎をしていなければできません。

ブレンドにはコーヒー農家の努力に加えて焙煎士の技術がシングルオリジンよりもふんだんに盛り込まれています(きっと、多くはそうだと思います)。

シングルオリジンはコーヒーにはテロワールを感じることができる世界があることを感じさせてくれる類まれな味が

ブレンドには組み合わせることで稀有とまではいかないまでも焙煎士たちの技術と経験が詰め込まれた奥行きのあるコーヒーの世界が

きっと詰め込まれているはずです。

どちらが優れているのかではなく、どちらも異なる良さをもっていますのでそんな視点で飲んでいただければ楽しめると思います。

また、ご自宅に端数がでたシングルなどがあればぜひ、ブレンドしてみてください。結構楽しめると思いますよ。

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