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腰部痛が改善する運動方向への運動介入(運動に伴いLBPが増悪し、痛みが脚部への下方へ放散する現象は症状の悪化を意味するため、「末梢化(Peripheralization)」を起こす運動は避ける)

腰痛と運動の反復

一定方向の運動を反復することは、腰痛(LBP)の症状に影響を及ぼします。

運動パターンには症状を悪化させるものも、緩和させるものもあり、後者はクライアントが運動を行うための準備に役立ちます。

クライアントが症状が緩和したと気づく運動方向は、クライアントにとって「好ましい運動方向(Directional Preference)」であり、LBPの改善に効果的であることが示唆されます。

一方で、運動に伴いLBPが増悪し、痛みが脚部への下方へ放散する現象は「末梢化(Peripheralization)」と呼ばれ、これは症状の悪化を意味するため、末梢化を起こす運動は避けるべきとされています。

背部痛と股関節伸展筋群の関係

慢性的な背部痛があると、殿筋が股関節伸展筋として働くことを妨げるため、その結果クライアントは、ハムストリングスを殿筋の代用として使い股関節を伸展させようとします。

それに続く背部の伸展は、脊椎伸展筋群を過度に活性化し、本来は不要な圧縮力が生じます。

したがって、殿筋再活性は、背部の負荷を軽くすることに役立ち、このパターンの変化は、スクワット時の脊椎への負荷を高めます。

コアエクササイズのバックブリッジは殿筋を収縮させハムストリングスの補助をなくすことにより、股関節伸展時の殿筋の優位な活動を確立します。

臨床的なヒントの1例として、トレーナーがハムストリングスを触診し、活動している場合は、クライアントに合図して膝の伸展とともに両足を押しつけて、股関節を外旋し、殿筋を確実に優位に活動させます。

腰部痛が改善する運動方向の介入

最近の体系的レビューにより、LBPの管理に、症状が改善する運動方向を取り入れることが効果的であるとの結果が得られました。

Surkittらは、6件の異なるランダム化比較試験を評価し、症状を改善する運動方向で介入を行うと、他の介入に比べ、より良好な結果が得られたことが証明されました。
また、Longらによる一連の症例研究では、症状を改善する運動方向に反する運動療法を受けたLBPお客は施術結果が思わしくなかったこと、施術のパラメーターを修正し、お客にとって好ましい運動方向と一致させた時点で症状が改善に転じたことが記載されています。

さらに、大規模なランダム化比較試験では、症状を改善する運動方向を決定する標準化診断を行ない、急性、亜急性また慢性のLBPを有する312名のお客を評価しました。

研究者らは、好ましい運動方向と一致しない介入を受けたクライアントに比べて、一致する介入を受けたお客のほうが、症状が有意に改善したことを明らかにしました(p<0.001)。

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