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アスリートの増量に関連する栄養補給(運動直後に補給する糖質に関しては、1~1.2g/kg(BW)/hがよいとされ、それに準じて3:1の比率に応じてタンパク質量を決定することが望ましい)

アスリートにとっての増量とは

競技種目にもよりますが、アスリートにとっての増量とは、いわゆる骨格筋量の増加が主になります。

筋量増量を達成するためには、レジスタンストレーニングとホルモン応答、それに伴う適切な栄養補給が重要であるとされています。

そのため、エネルギー産生栄養素の比率や量、タイミング、食事回数、個人差(遺伝的要因も含む)を考慮し、エネルギー出納をいかに計画的に調節された負荷量をもってプラスにするかが重要になります。

運動と摂食の間における基質の利用調節

運動と摂食の間における基質の利用調節は、生化学者の間でも長年研究されている分野になります。

従来のグルコース-脂肪酸回路とは対照的に、現在では、インスリンが脂質の酸化を制限するだけではなく脂質の分解も抑制するという事実から、運動中の脂質の酸化は主として糖質(CHO)の利用可能量によって制御されるということが広く認められています。

さらに、運動前のCHOの摂食が脂質の分解率と酸化に及ぼす抑制効果は、食事の摂取後最大4時間継続します。

この点で、グリセミック指数が低~中強度にランクされる(したがってインスリン反応性の低い)CHO摂取は、グリセミック指数の高いCHOほど脂質分解と脂質酸化を低減しないと考えられます。

栄養補給のタイミングとその内容

レジスタンストレーニングに関連する栄養補給のタイミングとその内容については、2008年に報告されたニュートリエントタイミングのポジションスタンドが示すように数多くの研究がなされています。

1) レジスタンストレーニングが、主に筋タンパク質の合成を増加させ、筋肉のタンパク質代謝出納を正にすること
2) レジスタンストレーニングの前に必須アミノ酸と糖質を摂取した際の筋タンパク質合成は、運動後よりも有効であること
3) 運動直後における糖質とタンパク質の同時摂取は、インスリン反応が大きく、筋グリコーゲンの増加量や、筋タンパク質の合成も同様であること(アミノ酸や糖質のみを摂取するよりも筋タンパク質の合成も大きいこと)
4) 運動直後に筋グリコーゲンの再合成を最大化するためには、糖質:タンパク質を3:1の比率で補給すること(競技特性に応じて糖質の割合を2~4の間で調整)

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