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高強度運動時のアシドーシスの原因(筋内乳酸の蓄積は、ミトコンドリアが適切な割合でATPを供給できなくなるタイミングとされる)

高強度トレーニング時の疲労とアシドーシス

運動中の血中乳酸の蓄積は、水素イオンの発生を伴う代謝副産物とみなされてきました。

しかし、速い解糖系によって生み出される乳酸の一部は、タイプⅠ筋線維内で酸化されます。

したがって、乳酸産生に関しては、水素イオンは蓄積される以上に除去されており、筋のphを低下させるよりも上昇させるという見方が現在は一般的になっています。

言い換えると、高強度運動時の疲労に伴うアシドーシス、すなわち「筋肉が焼けるような感覚」は乳酸の生成とは無関係になります。

アネロビックキャパシティー

Hermansen博士は、酸素需要量を測定できない超最大強度(最大酸素摂取量よりも高い強度)の酸素需要量を最大下の強度における運動強度(走運動であれば走速度{m/min}、自転車エルゴメーターならワット)と酸素摂取量の直線関係から、外挿し、酸素需要量を求めました。

アネロビックキャパシティーとは

2分から3分程度の疲労困憊に至る最大酸素摂取量の140%の強度の酸素需要量を推定し、その最大酸素摂取量(l/min、ml/kg/min)に運動時間(min)を乗じて、当該運動の総酸素需要量を算出し、そこから運動中継続的に測定した酸素摂取量を引いて、当該運動の酸素借を算出しました。

その結果、30秒から10分程度で疲労困憊に至る運動では、運動時間が長くなるにつれて総酸素借が多くなり、そのピークが2~3分程度で疲労困憊に至るような運動であることが示されました。

それをその個人の最大酸素借(Maximal oxygen deficit:MOD)とし、Hermansen博士はアネロビックキャパシティーと命名しました。

後に、最大酸素借は、ミドルパワーの競技選手に多く、持久性の競技はあまり一般人と差がないことが明らかになりました。

有酸素性エネルギー供給機構の評価が最大酸素摂取量であるように、無酸素性エネルギー供給系の評価が最大酸素借として評価可能になりました。

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