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(パン!)いただきます

歳を取ると、いろいろな音が大きくなる。
たとえば、くしゃみや咳払い、おならの音。
小さい頃は、おじさんのくしゃみや咳って、なんであんなに大きいんだろう。って思ってましたが、夫も例外なく年々すべての音が大きくなっていった。
おならなんて本当にひどい。地響きに感じるくらいのときもある。
私だけじゃなくそばにいる子どもたちまで目を丸くするくらい。
本人澄ました顔してパソコンしたままだけど。

ただ、私も年齢を重ねてくしゃみが大きくなっていることを自覚している。
若い頃は「くしゅん」だったくしゃみが、今や花粉症で「へっっくしょい!!!」てなもんである。
なので、くしゃみ咳おならの類は生理現象だし仕方がない、と我慢していた。

私は大きな音が苦手で、電話やインターフォンの音もそうだけど、夫の出す大きな音にいちいち心臓が縮み上がる。

生理現象は仕方がない。
ただ、夫が出す苦手な音の一つに「いただきます」がある。

いつからだろう。
思い出せないけど、昔はしていなかった。
1年くらい前からかな。

ご飯を食べる前に夫は自分のタイミングで

パン!

と大きく手を合わせてから「いただきます」と言う。
別にみんなが席に揃うのを待って、とかではない。自分が食べるときに自分のタイミングで。他の子が揃ってなくても。各々いただきますを言って食べ始めてても。

この「パン!」って音がそこそこに大きい。
いただきますを言ってくれるのは嬉しいけれど、この不意打ち「パン!」がとても苦手だった。

だった、と過去形にしたのは、昨日からそれをしなくなった……というか、いただきますを言わなくなった。
言わなくなったのには少し腹も立つけれど、私的には「パン!」がなくなったことが快適で嬉しい。

モラ気質のある人はよく大きな音を立てるみたいだけど、夫は洗濯物を干すとき、シワを伸ばす時の「パン!」も大きい。
そんなに力入れんでも……ってくらいフルスイングでめちゃくちゃ大きい音が出る。地味にこれも辛かった。
でも最近、洗濯を干すお手伝いもしなくなったけど。

私が昔より大きな音が苦手になったのもあるのかもしれない。
夫の声も、咳も、くしゃみも、おならも、音がするたびに心がざわっとする。
せめて夫の部屋があったらよかったね……。

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