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【人類は歴史から学べるのか】大暴落1929が何度も読みたくなる名作だった

大暴落1929が面白すぎて一気に読んでしまった。これはすごい。名作だ。

1929年に世界恐慌が起きたことは皆さんもご存知かと思う。この本の素晴らしいところは「私は一切予想はしない」と前書きがあるところだ。過去の出来事にあれこれ原因を後付けするのは簡単だが、当時はほとんどの人が恐慌が起きるなんて予想しなかった。しかし歴史から学ぶことはできるというスタンスが大いに信頼できる。

著者・ガルブレイスの前書きにこの本の魅力が詰まっている。

「本書は1955年に初版が発行された。以来、40年、版を重ねている。この本がこれだけ長いこと売れ続けているのは、著者はともかく中身がいいからだと評価していただいているようだ。まずいくらかは役に立つかも知れない。だがこの本が時代を超えて長寿を保っているのは、別に理由がある。増刷され本屋に並ぶたびに、バブルや株安など何事かが起きるのだ。すると、この本への関心が高まる。そう遠くない昔に好景気が一転して深刻な恐慌につながったときのことを、多くの人が知りたいと考えるからだろう」

この本で特に興味深いのは、株価が大暴落したとき、ほとんどの人がこれは一時的な暴落ですぐに回復すると思っていたことだ。一般大衆ではない。経済学者や銀行の取締役まで、みんながみんなそう考えていたのだ。予想に反してさらに株価が下がっても、「大丈夫。すでに下がり切った。あとは上がるのみ。」と予想を打ち出し、ことごとく外れ、さらに株価は下がった。1度や2度ではない。株価はひたすら下がり続け、恐慌はその後10年以上に渡って続いた。

著者がどんな予想も役に立たないと断言するように、いかに未来を予想することが困難か本書を読めば分かる。そして株価を決めるのは人間であり、みんながバブルに熱狂すれば、あたかも永遠に株価は上がるかのように上昇し続け、ひとたび「もうバブルは終わりかも。売ろう。」とみんなが思えばそれまでの上昇分を吹き飛ばすくらいの暴落が起きる。そして1929年に限ったことでなく、同じことが何度も何度も繰り返されている。コツコツドカンなのだ。

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僕がお金を学んだ漫画「インベスターZ」の好きなセリフ

リーマンショックも同じだ。「誰でも家を持てる」を売り文句に低所得者向けのサブプライムローンが人気を博し、様々な金融商品に組み込まれた。格付け会社が最高の評価をつけ、誰もがこれは安全な金融商品だと疑わなかった。当然ながら低所得者はローンが払えなくなり、それが不安材料となり次々に暴落。リーマンブラザーズの破綻をきっかけに経済が一気に崩壊した。

著者が繰り替えし言うように、理由の後付けはいくらでもできる。リーマンショックも、今考えれば低所得者向けのローンがいつまでもうまくいくわけがないと誰でも分かる。しかし当時は誰も疑わなかったのだ。そして同じことが起きている可能性は今この瞬間にもある。

昨今の株価は実体経済を反映しているようには到底思えない。日銀がお金をすりまくり、ETFを買い、日経平均を下支えしている。さらに給付金バブルが起き、余った個人のお金が株に流れている。債券の利回りが低いため、一さらにマネーは株に流れる。さて、再び暴落は起こるのだろうか。

著者に倣い、僕も予想はしない。しかし人類は歴史から学ぶことはできる。1929年のバブルに熱狂して大損を叩き出した彼らの教訓から、常に疑いの目を持ち、みんなが良いと思うものに疑問をぶつける重要性を理解することができる。冷静さを忘れず、客観的に状況を俯瞰することはいつだって大切だ。しかし、人類は忘れてしまう。同じような過ちを一定周期で繰り返している。僕は過去の失敗から学べる人間でありたい。もし浮き足立ってしまったときは、またこの本を読もうと思う。それでは素敵な1日を。


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